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ガルディナ王国興国記  作者: 桜木 海斗(桜朔)
第四章 国家となるために
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息抜き時々仕事

まだモフる!



ティナを存分にモフった後、ゲオルグは試作された網と船の水産業への納入を視察に来ていた。


<ティナを拘束したのはよくなかったか………>


当然ながら水産部門責任者のティナ無しにこれらが進む訳もなく、呆けた状態から慌てて正気を取り戻したティナが網と船を受け取り部下に指示を出している。


幸いにしてティナが責められるようなこともなく、むしろ納入に来ていた木工と鉄工の担当者から事情を聞いた部下達に軽くからかわれていたようだ。


「先程はお楽しみでしたね?」、と誰かが呟いた瞬間にティナが沸騰し再び慌てふためいたのには少し同情を覚えたようだが。


だがその後、「ゲオルグ様ぁ………皆がいじめます……」と、涙目になったティナにすがり付かれたのは役得である。思わずもう一度その萎れた耳を揉んでしまったのは不可抗力だと、少々お怒りになったフェリスに必死に弁解する姿がなんとも情けなく微笑ましいものであったが。


閑話休題。


兎に角、こうしてゲオルグが考案、木工業と鉄工業がタッグを組んで製作された船がようやく試験段階に入ったのだ。これからは実際に運用する水産業からの報告や要望を検討しより良い物を作り上げていくだろう。無論、ゲオルグも意見や助言を求められればいつでもそれに応える所存であるし、いつかはこれらの技術を元に大型遊覧船なども作ってみたいと思っている。それがいつのことになるかはまだ分からないし、そもそもまだゲオルグの腹の内に止められている案なのでその影も形もないのだが。


受け渡しと運用に向けた準備などをかれこれ一時間程見て回った後、ゲオルグはその場を後にした。とりあえず今日の予定はここまでなので、ゲオルグは最近お気に入りの、市街地中央に作った広場へと赴く。そこは、そこにあるのは、ゲオルグの天国である。









「や~んもうくすぐったいです」

「おふ……ん……くっ…ん…」

「にゃふ……っふぁ…」

「あぅん……」

「げ、ゲオルグ様!わ、私もお願いします!」

「おおお俺も俺も!」


現在、ゲオルグは広場中央にて、午後休憩をしていた獣人に埋まっている。

小柄な鼠人族が上手くゲオルグの目の前に入り込み、豊かな尾を持つ狐人族が後ろから抱きつくようにして尾をゲオルグの目の前に差し出し、ちょっと無口な狼人族が隣で後ろ向きに座って尾だけをゲオルグの足に乗せ、豹人族がその反対側からしなやかで美しい尾をゲオルグの首に絡めるようにしてくる。そして近付けなかった者達が外側から必死に声でアピールしてくる。


<まさに酒・池・肉・林!!>


ゲオルグは内心大興奮だが、表情だけはいつもの優しげな微笑みを浮かべるになんとか止めている。


この光景は、最近一週間で見られるようになったものだ。元々は一人ずつ丁寧に対応していたゲオルグだったのだが、一週間ほど前、兎人族の少女を相手していた時、いつぞやの元気狼娘のリーシェが強襲してきたのがきっかけである。


彼女曰く「最近人が増えて私に全然回ってこなくなった。このままではずっとして貰えない、だから形振り構っていられなかった」とのことだが、それをゲオルグが普通にOKしたのが災い、いや、功を成した形である。


ゲオルグが複数でも普通に相手してくれるともなれば、あとはその限界までは早いもの勝ちである。そしてゲオルグがこの広場に来るのは、必ず暇がある時なので、誰も躊躇わない。その結果、モフられたい連中がこうして団子となるようになった。


「ちょっとネイサン!貴方ずっとそこに居るじゃない!そろそろ譲ってよ!」

「ふん、僕はゲオルグ様がまだ撫でてくださるからいるだけ…ひゃっ!」


「調子に乗らない喧嘩しない、警衛隊作った本人がそのお世話になるなんて洒落にならんからな。ほら、代わってやれ」


「うぅ……は~い…」


鼠人族の男の娘…もとい男の子が正面から立ち上がり移動し、そこに兎人族の少女が入って来る。


「へへ…優しくお願いしますね?」


「任せろ。最近慣れてきたからな」


「なんか言い方が…はふん!」


少女の長いくふさふさした兎耳に手を添えやさしく揉んでやると、途端に力が抜けてそんな声を上げる。


「ふっふっふ、ここか、ここがいいのか?」


「兄さん……」


フェリスが呆れた声を出すも、この時のゲオルグに何を言っても効果がないことは学習しているため、それ以上は何も言わない。と言うか、一度苦言を呈したところ。


「フェリスさんは毎晩お楽しみじゃないですか!?」


と、他の亜人からまさかの攻撃を受けて轟沈したことがあるため何も言えないのだ。


それに、この平和の象徴のような光景自体は嫌いではないのだ。


今まで虐げられ、笑顔を、感情を殺されてきた者たちが、こうして笑い、時に喧嘩し、たしなめられてはちょっと寂しげな表情を浮かべる。一体誰が、生きている内にこんな光景を見られると思っただろうか、いや、誰も思ってはいなかっただろう。


これを成し遂げたのがゲオルグである、兄である、親である。誰もが誇らしく思い、故に慕い、こうして心開くのだ。


ゲオルグは段々激しさを増す攻勢に揉まれながらも幸せそうに笑っている。普段は優しくも厳しさを持った彼がこうして心穏やかに過ごしてくれるのが、皆のために悩み心を砕き精神を磨り減らす彼が、その励みとしてくれるのが、彼らにとっても幸せなのである。



この光景は、いつも通り、休憩の終わるその瞬間まで続いたのだった…

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