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ガルディナ王国興国記  作者: 桜木 海斗(桜朔)
第一章 新生ドラグニルと運命の出会い
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放浪と予想外の現実

「………てか、なんで律儀に歩いてるのよ俺」


それは、30分ほど歩いた時のことである。


地形や国境、各国首都などの主要なものに関する知識はあるが、小さな村や集落などまでは把握仕切れていない。そんな状況でただ宛もなく歩いたところで、易々と人里など見つかる訳もなく、この見渡しの良い平原には、食料となる動物や食物も見当たらなかった。


「何の為の竜化スキルか、ロマン?夢?希望?………否、断じて否。今この危急の時にこそのものだろう」


もしゲオルグにこのスキルを与えた者がいるならば、こう言うだろう

「それこそ否」、と。


「いざ、人と食料を求め征かん」


感じ始めた空腹感と、未だ心底からは受け入れられぬこの酷い現実に、半ば自暴自棄になり始めたゲオルグが竜化スキルを発動する。


<おお?………おおおおおおー!!>


体が一瞬、目映い光に包まれたかと思うと、次の瞬間には先程とは比べ物にならない高さに視点があった。


<か……鏡鏡!>


再び光魔法による自己投影を行うと、そこには巨大な竜がいた。


先程まで纏っていた鎧と同じように、鏡の如き白銀の鱗、薄く澄んだ色合いの瞳、頭の先から尾の先までは30Mはあろう巨体に、幅40M近い雄々しき翼。4本の足には鋭き鉤爪があり、後足のそれは鍛え上げられた鋼鉄のような鈍い輝きを、そして前足は右が紅、左が蒼の鉤爪となっていた。どう見てもあの剣の色合いである。


<オッドアイならぬオッドクロウ?、また斬新だな>


冷静を装った口調ではあるが、内心は大興奮である。


竜、男の子ならば誰だって一度は憧れるだろう。大空の覇者、古今多くの物語に登場する伝説の存在。ある時は善なるものとして、ある時は悪なるものとして、或いは善悪などに囚われぬ絶対者として、その存在は伝説に留まらず、様々な漫画、小説、ゲームに登場する。


<はっは、悪くない、てか最高>


とうとう興奮を抑えきれずに、声を大にして歓喜する。

どうせ後戻りも出来ぬこの人生、楽しんで笑って喜んで謳歌しようじゃないか。


この力をどう使うも自分次第。

今まで育んで来た倫理や道徳がある為に、大それた悪事をしてやろうなどとは思わないが、少なくとも、人間時代に諦めてきたあらゆることを、この世界では成し遂げることだって不可能ではないはずだ。


お伽話の英雄に、なんて高望みはしない。ただこの力があれば、まわりから押し付けられるあらゆる雑事、面倒事は確実に回避できるはず。


自分の思うがままに、自分の心に従い、自分の生きたいように生きる。


そんな生き様は、日本では決して出来ない。少なくとも凡庸に過ぎたあの自分には。


<いいね……悪い事ばかりじゃない、無個性に惰性でただ社会の歯車として生きるより、遥かに良い。確実に、な>


或いは、本当にこの世界の有り様を変える力すら持つことも「知っている」


だが、そこまで深く世界に浸透しようとは思わない。


あくまで、自分が何者にも抑圧されず楽しく生きていけるならそれでいい。


そしてそれを成せるだけの力もあるのだと、今、実感した。


<そうだな、俺には国も、権威も、富も名声も無用の長物。ただ在るがままに在ればいい>


そう考えると、急に気楽になってきた。

そう、誰かの為にだとか、社会の為になんて考えなくていい。

そもそも、自分の生きざまを否定できる存在など居ないのだから。


<ともすれば、いよいよ目的なんて要らないような気もするが・・・>


と、そこまで考えて、閃いた。


<待てよ………ここは異世界、剣と魔法のファンタジー、当然存在する獣人、エルフ、ドワーフに妖精、そして同族にドラゴニュート、いややはり第一は獣人だろ。リアル猫耳娘とか萌え………否。燃えてくるな>


現実を前向きに受け入れ始めると、自分の本来の人格、気性が戻って来るが、本人に気付いた様子はない。


<よし、決めた。俺は獣っ娘をモフる、いやむしろ愛でる。イエス猫耳、ゴータッチ!!>


ちなみに、獣人は猫耳だけではない。


<っしゃあ俄然やる気出てきた!!好き勝手に生きてやろうじゃないか!!行くぜ待ってろ猫耳ー!!>


繰り返すが、獣人は猫耳だけで(ry


<ヒャッハー!!>


興奮冷めやらぬ様子で飛び立つゲオルグだが、その3分後には再び人化することとなる。













「いや、竜王の威圧とかマジ忘れてた」


飛び立った矢先、最初は群れなすコウモリ達が墜落していき、近くを通りがかった森からは断末魔のような叫び声の後に静寂が訪れ、街道を移動していた数台の馬車に繋がれた馬が急に暴れだし御者が振り落とされ、人間は気を失った。


控えめに言って、軽い自然災害である。


「なんで竜化したら常時パッシブなんだよ………結局歩くのか?……畜生、大空よカムバック!!」


一人寂しく歩き行く青年の、虚しい叫び声は夜空に静かに吸い込まれていった………

ようやくほのぼの系になってきたかな・・・?

正直、某サイトでシリアス系書いてるからこっちは出来るだけほのぼのいきたい



導入からミスった感があるけどねw

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