表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガルディナ王国興国記  作者: 桜木 海斗(桜朔)
第四章 国家となるために
39/153

会議

祝!!PV100万!! これからもガルディナ王国興国記をよろしくお願い致します!!


それと、今回はちょっと長いです


あと、多分もうしばらくはほのぼの回です

「さて、皆ご苦労、それでは始めようか、席に着いてくれ」


皆よりやや遅れて現れたゲオルグがそう声を掛けて席に着くと、周りもそれに倣い着席する。ゲオルグの屋敷の大部屋に用意された長方形の大型テーブル。その上座にゲオルグが座り、その隣にフェリス、向かって右側がニーナを筆頭とした産業部門の4名で、左側がケイルを筆頭とした工業部門の4名、一番下座に警衛隊二名が並んで座っている。


この席次は、いかにゲオルグ直轄の部隊でも必ずしもその他の組織に優越するものではないと示すためのものだ。この席次を考えるだけでも結構悩んだのはフェリスしか知らないだろうが。


「では、これより定例会議を開催致します。先ずは産業部門、ニーナ」


司会進行はなぜかフェリスである。胸を張り意気揚々と進行するその姿は、ともすれば親の前で見栄を張る子供のようだと思ったゲオルグだが、それを口にするような愚は犯さない。


「はっ、先ずは農業の方ですが、新たに数種類の野菜に加え、家畜用の飼料ともなる大豆の生産も始まりました、ヘレン」


「はい」


ヘレンと呼ばれた兎人族の女性が立ち上がる。どこか不安げな仕草と表情は彼女の気弱さを表しているが、彼女は元々豪農に買われ農場で働いていた為、誰よりも農業に精通していたので、現在では農業部門のトップである。ただし、その気弱さが玉に瑕だが。


「げ、現在、我々の管理する畑と果樹園では特に問題もなく育成が進んでま……います。特に果樹園の方は、予想よりも早く実を付けそうなものも多く、これは適切な管理と、森では周囲の植物に分配されてしまっていた栄養が集中したことによるものだと思われましゅ……す。こ、これからも状態には気を付けながら育成しますが、目下、自給率は問題ににゃらな……ならないかと思います。いいい以上です」


顔を真っ赤にして座り込む彼女に全ゲオルグがスタンディングオベーション、したかは兎も角、なんだかほっこりとした雰囲気が会場内に流れた。彼女の上役であるニーナでさえ優しげな微笑みを浮かべている。これは、ゲオルグがこの程度で気を悪くなんてしないとよく分かっているからだろう(むしろ良くなるのだが)。


「次に畜産ですね、こちらも極めて順調です。クルト」


「応」


クルトと呼ばれたのは鼠人族の男で、小柄で頭上で可愛げに揺れる鼠耳と口調のギャップが個人的にゲオルグのお気に入りの者である。能力も確かだが。


「我々の部門では、以前から抱える家畜と、新たに加わった鶏なども含めて順調に数を増やしております。元々屠殺場にいた奴もおりますし、そろそろそちらの建設を始めて貰っても良いかもしれません。まだ気が早いかと言われるでしょうが、後になってから用地の確保や設備の確認などに追われるのもよろしくないかと思いますので」


如何にも自信に満ちた表情でそう朗々と説く彼の姿は、見るものに安心感を与える。実は警衛隊に引っ張ろうかとも考えたのだが、彼を兄貴分と慕う部下達に止められたという経緯もあったりする。


「ふむ………ケイル、木工業から土木建築担当を設立するという話が前回あったと記憶しているが、あれはどうなっている?」


「はっ、今のところ、閣下より賜った家屋のサンプルを解体、組み立てなどを繰り返し知識と経験を積ませている段階ですが、そろそろ実践も経験してみる良い機会かと」


ゲオルグから話を振られ、一見無表情に、しかしその人間より長い耳をピクピクと動かしながら(エルフは感情に合わせて僅かに耳が動くのだ!)そう答える彼、ちなみに、閣下と言うのはゲオルグのことである。どこでそんな言葉を覚えたのか定かでないが、ニーナとケイルはゲオルグをそう呼ぶ。ちょっと男心をくすぐられる呼び方であり、ゲオルグが止めないこともあり、最近では完全に定着した。


「よろしい、では早速その者らを使って現場を確認し、クルトと相談の上で建築を開始しよう。ケイルは努めてこれを監督し、必要とあらば魔法の行使を以て補助せよ、よいな?」


「ははっ!」


ピクピクと僅かに揺れる耳、これには気付かぬ振りをするのがこの会議での暗黙の了解である。ゲオルグも思わず顔が緩みそうになるのを抑えながら次に移る。


「ではニーナ、続けましょう」


フェリスが再びニーナに発言を促す。


「はっ、最後に水産業ですが………これはまだなんとも、ティナ」


「は……はい……」


ティナと呼ばれた虎人族の女性、彼女は本来明るく気さくな性格なのだが、今は耳と畳み尾を足の間に挟んで萎縮していた。


「我々は………まだ水泳教練の段階です。大分泳げる者も増え、順調に水に慣れ親しみ、後は船と網が完成しこちらに納められれば………実践と研究に励めるかと……」


彼女の萎縮の原因は、まだ水産業だけが実践段階に入っていないところからくるものだ。それは別段彼女のせいではないのだが、どうにも彼女は責任感が強く、自責の念に囚われやすいという欠点がある。


「ふむ……レオナ、カイン、ウィル、新しい船と網について報告は」


順に、繊維工業のエルフ女性、木工業の羊人族男性、鉄工業のドワーフ男性である。


ティナは自分の報告など要らないと思われてしまった、とでも思ったか、立ったまま更に萎縮してしまった。


「はい、繊維工業からは今回の報告はそれでして、網の強度が確保できました。使われる紐を油に浸けては天日干しするというものですが、水に対する耐性もある程度確保出来ましたので、まずはこちらを使って頂いて貰えればと。我らも現場の意見を聞きたいところです」


「船の方も、船体を以前より幅広にし、片側にフロートを着けることで大分安定性の確保が出来ました。これらの要所要所の脆い部分を、鉄工業の方々に補強して貰い、また本体船底に重りとなる石を積みましたので、この湖で転覆することはまずないでしょう。余程の嵐の中船を出すような者がいなければ」


「鉄工業からはその報告と、後はついでに坑道開発の方も報告いたしやす。船はさっきカインが言ったとおりで、あれでほぼ完成と見て間違いないでさぁ。後は使ってみてから改善点の洗いだしですな。坑道の方は、こないだ木工業の連中が作ってくれた松明と油のお陰で大分捗ってやす。今は鉄鉱石が主ですが、これからは貴金属も期待しててくだせぇ」


個性豊かな面子が一気に報告を終えると、ゲオルグはそれを受けて。


「だそうだ。ティナ、これからが水産業の本番だ。効率的に水産物を獲得し、それを加工する方法の検討、模索、提案、忙しくなるな。だが、誰もが期待していることだ、今は人口に対し水産資源の供給は少ない。だがティナの努力次第で、これからこの街の食料自給率が更に上がり豊かになる。俺も期待している、ティナがその手で手にいれ調理した魚、是非いずれ馳走してくれよ?」


「は………はい!!精一杯頑張らさせて頂きます!!」


期待している。ゲオルグのその言葉は、今のこの街の住民達にはなによりの激励である。それを受けたティナは、先程まで萎れていた姿が嘘のように、耳はピンと立ち尾は天を衝かんばかりに激しく自己主張している。


「ん、頼んだぞ」


ゲオルグはそんな、獣人ならではの感情表現が大好物である。だが今は我慢のしどころ、まだ警衛隊が残っている。


「ではヨハン、報告を」


相変わらず自然に流れを察してフェリスが報告を促す。最早完全に敏腕秘書だ。


「ははっ!我々も目下特に問題なく活動出来ております。各小隊のシフト調整も完了し、現在は巡回作業を主に、狩猟での食料確保なども息抜きにさせておりますので、多少は食料事情にも貢献は出来るかと」


ヨハンは真面目さと勤勉さ、そしてゲオルグ個人への忠誠はニーナやケイルに並ぶものがある。彼も最初期の住民であり元からこういう気質だったのだが、ゲオルグが自ら武器や防具を与え稽古をつけてやっているのがトドメとなったようだ。今や剣の腕も警衛隊一であり、彼の双剣を振るう姿に、近頃は恋する乙女も増えてきているようだ。真にけしからんことである。


「そうか、だが、あくまでヨハンらに与えた任は街の警備と治安維持だ、ヨハンならまず心配はいらんだろうが、己の領分を越えた行いは無きようにな」


「閣下の御心のままに」


本当に堅苦しい男である。そこが気に入ってもいるのだが。


「頼んだぞ。では、他に何か報告が有るものは………いないようだな」


「では、これにて今回の定例会議を終了と致します。以上、解散です」


フェリスの言葉に解散する面々………とはいかず、誰もが「この後」を期待した目でゲオルグを見つめていた、男女問わず。


最早恒例行事となりつつあるそれを、心から待ち望むのは彼らだけでなく、ゲオルグ本人もである、その行事とは………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ