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ガルディナ王国興国記  作者: 桜木 海斗(桜朔)
第二章 建国へ向け
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超 開 拓!!

超絶内政チート回、自重なんて一切しない

あれから更に3日。とうとうゲオルグ達は、ガルディナ大森林に到着した。


「………森だな」


「森だねぇ………」


そんな間の抜けた声を出す二人。目の前には、一切人の手が入っていない、原生林とでも言える雄大な光景が広がっていた。


「………広いな」


「広いねぇ………」


風魔法で二人して空中に浮かび上がっている為、その森の広さがよく分かる。ちなみに、風魔法で空を飛ぶということを思い付いたのはつい昨日である。もっと早く思い付いていれば、こんなに時間は掛からなかっただろうが、本来は自分の翼で飛ぶ竜にとってはある意味盲点であった。ちなみに、竜化してフェリスを乗せる、という方法なら思い付いたが、威圧スキルのせいでフェリスが怯えてしまい無理だった。


「………なぁ、俺には森の端が見えないんだが」


「うん、私にも見えてないから大丈夫だよ」


その広さたるや、圧巻の一言である。


「………まぁ、ここでグダグダしてもしょうがない。一気に中央の湖まで行くぞ」


「うん、分かった」


風魔法を操り、一気に加速して移動する。


「ふふ、やっぱりこれ気持ち良いなぁ」


フェリスが上機嫌そうに目を細めて言う。彼女は最近は口調も大分砕けてきて、より親密な感じになってきていた。


<そろそろ耳とか尻尾触ってもいいんじゃないだろうか………>


そんな邪なことを考えながら、ゲオルグは一気に先へと進む。何もかもは、基礎を固めてからだ。二人はおよそ20分ほど空を飛び続け、ようやく目的地である湖に到着した。















「いや、なんとなく想像はしていたが………」


「おっきいねぇ………」


目の前に広がる湖は、恐らく琵琶湖くらいはあるだろう大きさ。波打つその沿岸は、足元だけを見れば海と見紛うこと請け合いだ。


「ま、これだけ大きければ魚なんかも多いだろうし、飲み水にもこまらないか」


「だね、それより、ここにするの?」


「あぁ、幸い、あっちに巨大な岩山も見えるし、地質も………」


土魔法による地質調査を行使する


「ここから半径10Km以内に、鉄、銅、錫、亜鉛、石炭・・・金や銀もあるな……あとは宝石の類いも確認、天然の宝の山だな」


十分過ぎるほどに恵まれた環境である。これを知っていれば、人間も諦めたりしなかったのではないだろうか。


「よし、やるか!!」


「おー!!」


気炎を上げるゲオルグと応援するフェリス。あの村以外で初の内政チート発動である。


まずは周囲の森林を根こそぎ伐採、また食料となり得る果物の木などは別にして土ごと掘り返し空中待避。伐採、選別して更地にした範囲はおおよそ15ha、東京ドーム3個分を上回る広さ(とんでもない環境破壊である)。更にその土地を一度大きく掘り返し、固い部分を地下に、柔らかい土壌が地表になるよう作り替え、そこまでやってから先ほどの岩山の出番である。


「む………流石に魔力消費が激しいな」


「兄さん頑張って!」


「応!」


その岩山を、なんと根本から引っこ抜くように移動させ、形を作り替えていく(岩は土魔法で整形できるのだ)。そして、整地した土地を完全に囲うよう城壁のような形に作り替え、3Mほどを地中に埋める様にして設置、更に湖側を除く三方には、岩山の中や地中に含まれていた鉄鉱石を用いて鉄の城門も作り上げる。城門の高さはおよそ5M、厚さは30cmはある、完璧に精錬された強固な鉄門扉、表面は硬化させておくことも忘れない。


城壁の方も、細かな仕上げ作業に入る。岩山をくり貫いて作ったようなそれは繋ぎ目などはなく、既に相当な強度を持つが、それを更に硬化させ、よく西洋の城などで見る城壁を真似て形を整える。内側には階段もつけて上に昇れるようにし、城壁の上は剥き出しでなくトンネルのような形状にし、外側には大きめの窓、射眼とか銃眼と呼ばれる攻撃の為に必要なスペースを作っておく。また、城門付近は防御を固める為に二層構造とし、より多くの人手が置けるように工夫する。


こうして、史上類を見ない工法で、堅牢な城壁が出来上がる。高さはおよそ9M(城門部分は12M)、幅も6Mはある、巨大城壁の完成である。城壁からおよそ2Mほど離れた外周には堀を作り(当然表面は硬化)、そこに湖から水を流し込み水堀にする。深さは4M、幅は5Mにもなるちょっとした川のような堀である。


そして堀を作る際に出た大量の土を火魔法で超高温に熱し、中に含まれる雑草の種子や虫などを完全に殺し、白く変色したそれらを圧縮、硬化で石レンガにして、三つの城門を繋ぐようにT字に敷き詰めていく。これが、いずれは大通りとなる予定だ。そして湖側にも交差点からレンガを敷いていき、その先に石レンガで自分の屋敷もついでに作った。家具などが無いため外観だけではあるが、ちょっとした城みたくなった出来映えには我ながら感心したものだ。


さらに、都合四つに分けられた城内のうち、南東側(湖が北側である)の区画の半分ほどを農業区画として畑をつくり果樹を植えた。余ったあまりのも多くの木々は、木や枝は細かく裁断して土と混ぜ、城の外側で腐葉土となるようにしておき、太い幹の部分は丸太のまま城内の一角に積み上げておく。一角とは言ったが、南西区画がほぼ埋まってしまったが、これだけあれば建材にも燃料にも困らないだろう。


これだけやって、ようやく拠点の基礎は完成したと言っていいだろう。人間ならば、数千人の人間が数ヵ月、下手したら年単位でやって初めて出来るであろうことを、たったの一時間も掛けずに成し遂げたのは、間違いなく偉業である(場所も場所だが)。


「あ~………流石にもう無理だ………初めてだ、己の魔力をここまで酷使したのは」


出来たばかりの何もない屋敷の中で、倒れ込むようにしながら呟いた。


「お疲れさまでした、兄さん」


それを受け止めるようにしてフェリスが抱き込み、そのまま座って己の膝を枕にしてあげた。


「………だが、全てはここからだぞ、フェリス」


「はい………でも、兄さんならきっと、大丈夫です」


「………そうか」


「はい」


疲れきったゲオルグは、そのまま寝息を立て始めるのだった。

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