二度目の依頼
「あのぉ~、ここが人助けしてる部ってとこで間違いないですよねぇ?」
いかにもチャラそうな金髪の少年が理科講義室の扉を開け入ってきた。身長は180センチ強、チャラくはあってもナヨナヨしているので、不良というわけではなさそうだ。
「ああ、客? んじゃあココ座って」
翔子は先ほどまで遊んでいたトランプのカードを机にばらまくようにして置き、自分の隣の席へ少年を呼ぶ。俺もすぐに翔子の散らかしたトランプを一ヶ所にまとめ、少年が座りやすいよう周りの邪魔な机を押し退け椅子を引いて手招きする。
生徒からの依頼はこれが二度目と少ないが、先生方から雑用で呼ばれることは多いため、この作業も手慣れたものだ。
少年はしばし呆気にとられた様子だったが、翔子の、
「早く座ってください」
という笑顔でかけられた言葉を聞くと同時に、顔を真っ赤にして早足で席に着く。俺の「今日はどういった御用件で?」の笑顔にも顔を赤らめたのは何かの間違いだろう······じゃなくて間違いだ(断言)!
少年は自分の指を弄りながら気持ち悪くモジモジした後、顔を上げ翔子の碧眼を見つめると言った。
「あの! おれ、好きな人がいるんですけど、その······手伝いとかしてくれたらなぁ~、と思いまして」
もの凄くベタな内容だけど、ようやく、ようやく人助けの部活らしい活動ができる! ·········とはいえ、この部活の決定権は全て翔子にある。なので、俺は翔子に精一杯の目線を送る。
翔子はやけに勿体ぶってゆっくり口を開くと言った。
「············いいわよ」
「いいのかよっ!!」
ツッコんだのは俺だ。
目を開いて驚いている少年を尻目に、俺は翔子に質問を投げ掛ける。
「どうせ翔子のことだから断ると思ってたんだけど·········いっつも俺の望むのと反対のことするし」
「は? わたしの行動の全ては皆が望んでいるものよ。そう! 私は国民·········いや、地球人全ての望みであり希望なのよっ!」
「···············???」
何とか理解しようと頭をめぐらせている少年の肩を叩き、小声で「ちょっと中二病混じってるから」と言って理解を諦めてもらい、話の続きを促す。
「ぇえ~おれには好きな人がいまして、告白しようと毎度毎度思ってはいるんだけどダメっていうかタイミング逃しちゃって············で、クラスのやつが人助けの部がある、って話してたの思い出して、廊下に貼ってたポスター見て来ました!」
初めてポスターが役に立った!! めっちゃ嬉しいんだけど!
真剣そうな少年に少し苛立ちを覚えている様子の翔子だったが、一応相槌を打ち話を促す。
「はいはい。で、わたしたちにどうして欲しいわけ?」
「あ~、告白の手助け的なのをしていただければ············とりあえず成功させたいんです」
「まぁいいんじゃない? とりあえずわたしたちに任せておけば大丈夫」
と言いつつ俺にウインクしてくるのは、わたしを抜いてお前だけが頑張れ、ということだろう。
この扱いに慣れてしまった自分に呆れるが、依頼は達成せねばばるまい! 妙なテンションでしか自分の自我を保てないのが辛い·········。
半分涙目になりながらも金髪の少年から更に詳しい話を聞き、依頼を達成すべく俺たち(翔子は除く)は動きだした。
トサカの存在を最後まで忘れていました。·········まぁ面倒だしいいですよね。




