やること(は)決まりました?
「ナカ直りってドーすんだ? カイモクケントーもつかねぇんだけど……」
「そうだなぁ……どうやるんだろうなぁ…」
「あたしも知らな―――ぁ、あたしの場合は相手が勝手にやってくるせいで分かってないだけだから!! あんたらごときとは次元が違うのよ!」
「ナラそのアイテを呼んでみろよ」
「へ、へぇっとぉ!? そのぉ………出張中だから!! そう、出張中! アメリカに出張していて、モスクワに住んでるの!」
「その人以外には?」
「へっ!!? あの………そのぉ…………モデル!! モデルの娘と友達なの! ―――ぇんとぉ……他にもいっぱいいるわよ!? 弁護士とか検事とか裁判官!!」
赤面しながら言い訳をする翔子に俺とトサカは頬を緩ませる。
ツインテールの茶髪少女にはしばらく待ってもらうことにし、俺達は作戦会議を開いていた。
先ほどの会話を聴いて分かると思うが、俺達には仲直りの仕方が分からない。そもそも仲直りの前にケンカする相手がいないのだ。
少女にお引き取りしてもらうことも考えたが、それでは折角立てたフラグが無意味になってしまう。それは避けたい、全力で!
「アタリサワリの無いコト言ってカタチだけでも終わらすってのは?」
「却下! 初めての仕事をうやむやにするのはどうかと思う。だから完全に解決して俺達の、特に俺の好感度を上げるべきだ! 噂が広がって客が増えるし、俺達の評判が良くなるだろ? 特に俺の」
「ちょっとサイ! ほんの少し、ビッミョォ~~ッにあたしと被ってんのよ。そこはツンデレで『私の好感度を上げたいとか思ってるんじゃないんだからねっ! ぷんぷん❤』とかにしなさい」
「もう一度お手本を――ぶぼほぉっ!!!」
お手本の代わりに鋭い回し蹴りがこめかみに突き刺さる。
割れるかというぐらい頭が痛いが、遠慮なく本気でやってくれたことが地味に嬉しい。
「―――――俺はトサカみたいにMじゃないんだからねっ! ぷんぷん❤」
「ゴブホォ!!! ――カワいすぎるぞサイ!! シンガイなハツゲンが混ざっていたキもするが、カワイイから赦しちゃう!」
「ありがとっ! そして死に絶えろ!!」
翔子のように殴りかかる度胸は無いので口だけ言ってみる。
「あの、私の依頼はどうなったんですか? 『なになにじゃないんだからねっ!』って明らかに関係ないですよね………」
「すみません………」
形だけ謝る。
少女のツンデレ口調が可愛すぎたので頭に刻み込むので忙しかったのだ!! (キリッ☆)
「トサカ、あんたもツンデレしなさいよ。この中でやってないのはあんただけなんだから」
「ナニそのフリ!! 誰得だよ!!? ―――オレはゼッテーやんねぇからな!! オトコがやってもキモチわりぃだけだろーが!!!」
「俺も気持ち悪かったからな……」
俺の発言に二人が驚いた顔をしたが、答えを知ったら傷つきそうだったので考えないことにする。
「やりなさいよツンデレ」
「イヤだ!! オレはやんねぇ!」
二人の間でしばらくそのやり取りが続いていたので、俺は少女に話しかけることにする。
「あのぉ……正直出来るかどうか分からないんですけど………」
「つむでれ? のこと?」
「それをいうならツンデレです。――ぇえ~、俺が言いたかったのはですね、そのぉ…仲直りの事です。俺達ははぐれ者の集まりでして……あの…友達が全然いないんです。だからそのぉ………仲直り、というものを経験していなくてですね…」
俺はたどたどしくも頑張って状況説明をする。
少女はうんうんと相槌を打ちながら聴いてくれ、俺の話しが終わると同時に笑顔になる。
「全然大丈夫だよ。私は藁にもすがるような気持ちでここにいるから」
「……、そこはかとなく馬鹿にしてるね?」
「えっ!? そんな風に聞こえちゃった? ごっめ~ん☆」
「……、そこはかとなく馬鹿にしてるね?」
「――――ごめんなさい………。君たちの会話を聴いてて楽しそうだったから、つい…」
お茶目なところもあるなんて可愛すぎるねっ! 可愛いから赦しちゃう!
「えぇ~、こほん……俺たちはもちろん最善を尽くすつもりですが、それでも失敗する可能性はあります。それでも良いというのなら、俺たちは全身全霊を持って、あなたの願いを叶えます」
決まったね! これを今度から決め台詞にでもしようかなぁ……うぷぷぷぷぅ………。
少女は悩むことも無く、
「はいっ!」
と爽やかに答える。
「それでは、俺達はあなたの望みを叶えましょう」
俺は中二病をこじらせたような喋り方で約束する。
「グベルベボォォ…………!!!」
「さっさと言わないからこうなるのよ、ギャッハハハハハァ!!」
後ろから聞こえてきた断末魔と魔王の笑い声は華麗にスルーし、俺は必死に解決策を考える。
……………………あれ、情報足りなくね?
トサカから聞いたのは『友達とケンカした』ってことだけだし、どうしてケンカしたのかだったり、相手はどんな人なのかだとかを全く聞かされていない。
「トサカのやろぉ!!」と叫びたくなる心を抑えつけ、少女と会話できる機会が増えたのだとネガティブシンキングする。
「あの、友達ってどんな人ですか?」
俺は素直に訊く。
少女は「さっきも話したよ」と言っていたが、教室の隅に倒れ込んでいるトサカを見ると気後れしながらも話してくれた。
「友達は『加奈子』っていうんだけど、そのぉ……加奈子の好きな人が私を好きだったらしくて………その…」
「大体事情は分かりました。相手がモテる貴女を逆恨みしているってことですね」
「え!? ぁあ……うん………」
友達だった人にそう思われていると認めたくはないのだろう、返事は重い。
これから俺はどうするべきか·········。
やっぱり仲直りさせただけでは根本的解決になっていない気がする。
ならどうするか?
それは·········、
「貴女を好きな人に貴女が嫌われればいんじゃないですか? もしくは加奈子さんの好きな相手をチェンジする」
「?」
「なになにぃ!? おもしろそうなの考えてんじゃない!」
首を傾げる少女と、赤く汚れた手をハンカチで拭く翔子。
·····················。
「まぁ、とりあえずこれが俺達の部にとって初めての仕事です――――」
「名付けて『恋のいざこざ第三者第四者が現れてあら大変! 大作戦!!』開始です······!」
ダサいなんて言わないでっ!!




