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『キャラ』ってなんですか?

 俺が独りとぼとぼ家路につこうとしていると、昇降口に一人の少女がいた。

 昇降口に人が居ることはなんら不思議ではないが、その少女が体操座りで泣いていたとあっては話は別だ。


 「えぇっと···どうかしたんですか?」


 人見知りで緊張しいの俺にとっては珍しい行動であった。

 いつもなら見つからないように回り道して帰るか、泣き終わり立ち去ってくれるまで待機する。

 何故こんなことをしたのか自分でも分からなかったが、放っておいては可哀そうだと思った。

 「(この子が可愛いからお近づきになりたい―――――とか思ったんじゃないんだからねっ!!)」

 「あ、あのぉ······どおかしたんですか?」

 顔をあげた少女は想像通り―――いや、それ以上に可愛かった!!

 「い、いやぁ!! 何でもないから······ホントやましいことなんて何も考えてないから!!!」

 本能的に目を逸らす俺をじっと見つめてくる少女。

 「うるうるした目でこっちを見ないで!! 惚れちゃうでしょうが!!」

 「へっ!? ぅん、すみま········せん?」

 「何処か疑問に思うようなところがありましたか? まさか俺を百合ゆりの人だとか思ってませんよね!?」

 「ゆり? なんなのそれ」

 小首を傾げる少女。ポニーテールにした茶髪がそれに伴って揺れる………可愛すぎるね!

 「女の子が女の子を好きなやつで、男で言うならゲイですね!」

 鼻の下を伸ばさないようにしながら『何言ってんだろ!?』と自分を責める。

 「おぉ! あなたが前者なんだね。納得納得」

 「納得すんな!!」

 さっきまで泣いていたくせに妙に元気なのが腹立たしい、でも可愛いから赦しちゃう! 可愛いは正義とはよく言ったものだね!!

 「?」

 頭にハテナを浮かべた少女をよそに、俺は涙を流していた。

 「お、俺にもようやくフラグがぁ!! ―――男と曲がり角でぶつかったり不良たちに絡まれているのを男に助けてもらったりした男とのフラグ立ては卒業じゃぁ!!! これで俺も立派な男主人公! 薔薇色の高校生活が……!!」

 そこで突然、スピーカーから高飛車な女の声が聞こえてきた。


 『えぇ~、こほんこほん。――今現在勝手に帰ろうとしてやがる着物を着たサイ、サイ野郎。ちゃっちゃと部室に帰ってこなければ一家崩壊だけでなく一生あたしの奴隷として月500円で働くことになるけどどうする? これは警告でなく脅しです。フェイクではなくリアルです。帰るというのなら良しとしましょう。ただし………………ピンポンパンポーン』


 ―――――――――――。

 「どうしたの? 汗がすごいけど………」

 「う、うん……大丈夫だから…………。今すぐ帰るから、きっとたぶん絶対に大丈夫だから…………おそらく…」

 俺は踵を返して理科講義室へと走り帰る。

 ―――――と、その前に。

 「あの、俺についてきてもらって構いませんか? その…俺の所属してる部は人助けが目的なので、悩みがあるなら聴きますよ?」

 少女はしばし思考を巡らせた後、とびきりの笑顔で「うん!」と答える。


 心臓に悪いな……良い意味で!!


 俺はどんどん充実していく高校生活に期待を膨らませながら、少女を後ろに連れ部室へと戻っていった。





 「どういうつもりよ? 帰ったかと思えば女の子を連れて戻ってくるし……あたしという神がいながらどういうことよ!!」

 「すみませんでした!!!」

 土下座したまま頭を床にこすりつけて謝罪する。

 金髪碧眼で巨乳の可愛い女の子に叱られ、しかもそれが嫉妬からくるものとなれば世の男共は興奮を覚えてしまうだろう。しかしこれは……………異性としてではなく女友達としての嫉妬である。

 「あたしと言う完璧な存在がありながら他に友達を作ろうとするなんて!! あたしがいれば十分でしょ!?」である。

 「(友達は友達でもガールフレンドって意味なら良かったのにぃ………)」

 「あ゛ぁ゛」

 「すみませんでしたぁ!!!」

 再び地面に頭を叩きつけて謝罪する。


 俺の代わりに少女から話を聴いているのはトサカである。

 俺が頑張って立てたフラグをトサカに盗られないか内心ヒヤヒヤだったりするのだが、翔子の説教が小一時間ほど続いたので会話にまじることは叶わなかった。





 「へぇんとぉ……どうなった?」

 翔子の説教が終了した後(トサカとは違い身体的暴力は振るわれなかった。言葉のはあったけどね………ケッ)、俺はトサカに情報の開示を求める。


 「部のトモダチとケンカしたんだと。ソレでブカツにも行けねぇしショーコーグチで泣いてたらしい」


 な~んだ、思ってたより深刻じゃなさそうだな。

 友達の一人や二人消えたところでどうなるわけでもないし、部活に行けなくなるんだったら辞めればいい。

 涙もろい俺でも泣くほどのこととは到底思えない。

 「サイ、しきりに首傾げんのはいいけどあんたの価値基準は間違ってるわよ……」

 「あんたはサイコメトラーですか!!?」

 翔子なら実際にありえそうなので臨戦態勢を整える。

 ―――――しかし、俺の価値基準が間違っているだと!!?

 確かに最初からキャラがブレブレのような気もするが、思考が間違えているとは思えない。

 この中で誰よりもまともなのは俺なはず……! それなのに翔子に正されるだと!?

 ――――――――――きっと翔子が間違えているんだ……そうだ! そうに違いない!!

 「ソーいうトコロだと思うぞ」

 「あんたもサイコメトラーですか!!?」

 トサカにまで……くっ!

 「一番根本的なところで間違えているのは、サイ? ちゃんだと思うなぁ」

 この子は許す!!

 「ソーいうトコロだぞ………」


 『俺のキャラって何ですか?』本気でそう考えるようになった今日この頃である……。

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