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空気

 「ヒト、コねぇなぁ………」

 「そうねぇ……暇だわ………。暇潰しにトサカが一発ギャグでもしなさいよ」

 「ムリに決まってんだろ……。しかし、ナンでヒトがコないのかねぇ………」

 「サイが書いたポスターが悪いんじゃないのぉ?」

 「俺の所為せいかよ……。全然働いてくれなかったくせにぃ……!」

 「仕方ないでしょ? 面倒だったんだから」

 「そうですよね! 面倒事を押し付けるのが翔子様ですよね!!」

 俺は涙を抑えながら天井を見上げる。


 今現在、俺たちは依頼人となってくれる人の登場を今か今かと待っているところだ。

 昨日ポスターを貼り出しただけのなので、宣伝は全くと言って程出来ていない。よって、放課後になって1時間が経った今でも、人が来る気配は依然として無く、俺達は机に突っ伏して待ちぼうけているのだ。


 「やっぱり名前がないと分かり辛いと思うんだけど……」


 俺たちの部に名前はまだない。

 ポスターにも『悩み募集!! B棟4階理科講義室にて活動しているので気軽に立ち寄ってください!』と、名前をはぐらかして入れていない。

 名前とはいわば看板。

 看板が無ければ店の内容が分かり辛い。それと同じように部に名前が無いのは問題である。人を集めなければならないような部にとっては尚更。

 「だから『人助けの部』でイイじゃねぇか!」

 「無理に決まってんでしょうが!! そこは『翔子様と眷属の会』でいいのよ!」

 「オカシーだろ!? ナマエ見ただけでナイヨー分かんねぇし!」

 「よくもまぁあんなダサいネーミングセンスで良くそんな口が利けるわね……」

 「オマエが言うな!! ……オレだってハズかしいとは思ってんだよ···。でもソレ以外には思いつかねぇし······」

 「だからそこは『翔子様と駄犬共の会』で――」

 「名前カわってるし!!」

 二人の口論のようなものが始まる。

 俺はただ呆れながら口論する二人を眺めるばかり。とても入れる余地は無い。

 昨日もこんなだったよなぁ······などと適当に考えながら、俺は新しいポスターの製作に取りかかる。

 翔子に人が来ないのは「サイの書いたポスターのせいだ」と言われたことが地味にショックだったりするので、結構本格的に描いてみる。

 勇者っぽい格好をしたトサカが、真っ赤なドレスを着た翔子をお姫様ダッコしているといったものだ。後ろには黒いローブを着た宮田先生ぐったりと倒れている(額には黄金の剣が突き刺さり、白目を剥いて口から泡を吹いている。もちろん悪意を持って描きました!)。

 「まぁそこそこか」

 中学高校と美術部ではないが、家で暇な時に絵を描いていたりするのでかなり上手い方だと思う。強いていえば絵のタッチが可愛らしいのが問題か。もっと先生をグロく出来たらいいのにな··········。

 「だからあんたはモテないのよ!!」

 「ウッセェ!! オレだってヨーチエンではモテたんだよ!!」

 「うっわぁ、幼稚園時代を引き出してくるなんて小さい男ね! だからモテないのよ!!」

 「「ワキャワキャ―――」」

 いつの間にかトサカがモテない話にシフトしているが俺は無関係なのでツッコまない。代わりに出来上がった絵を見せてみると、

 「トサカが可愛くデフォルメされすぎじゃない? もっとこいつは人を殺しそうな顔してるわよ」

 「ひ、ヒデぇ··········。オレはドコからドー見てもムシ一匹コロせなさそーなカオしてんだろーが!!」

 「ぷっ!」

 「ハナで笑いやがったな!? ヨォシ、分かった。シリ出せシリぃ!! オレのショーガッコー時代のハジをテメェにも味あわせてやる!!!」

 「は? セクハラ発言してんじゃないわよ。警察に強姦等々の冤罪プラスさせてつき出すわよ」

 「エゲツねぇ!!」

 ···························。

 俺いらなくね?

 ―――――ダメだダメ! 教室と一緒だと思うな!! ここでは俺にもいくらかの発言力がある。途中で会話に入り込んで·······、

 「トサカの分際で神のあたしに馴れ馴れしいのよ。体だけじゃなくて心にも覚えさせないといけないわね」

 「コレ以上イタめつけるの!? もうドコにも傷つけられるヨチがないとテイアンしてみますがムリですよね!!? 翔子サマの挙げられたミギウデはオろされないのですよね!!」

 「ううん、降り下ろすわよ? ふんっ!」

 「ぐべびちぉ!!」

 ·························。

 俺はいらないな、うん。

 席を立って理科講義室を出る俺。


 「ポスター貼ってから家帰ってベットで泣こ···········はぁ······」


 既に流れ始めた涙を必死に抑えつつ、下駄の音を響かせながら一人とぼとぼ歩いていった。

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