充実ぅう!!
「お嫁ちゅわぁ~ん! 私の熱いディープキッスを受け取ってぇ~!! むちゅぅう❤」
「キモいので離れてく・だ・さ・いっ!!」
活動方針が決め終わったところで宮田? だったけかの変態先生がやってきた。
キスの形にした唇を押し付けてこようとするお下劣教師の顔面を必死に止めながらトサカに救援を頼む。
「トサカ、助けて!」
「オッシャァ! マカせとけ………ってゴメン。ムリだった」
トサカが包帯グルグル巻きでとても動ける状況で無かったことを思い出した。
仕方ないので翔子に頼む。
「翔子ぉ~~、助けてく――キャァ!!」
着物と下駄のせいで体のバランスが崩れてしまった。それに乗じてエロ教師が俺に馬乗りになってくる。
「ぐへへへへぇ………じゅるり。――どこを攻められたいぃ? やっぱりここかな? ここは!? こんなところもぉ!」
「いやっ! やめ、やめてください!!」
「グホッ!! エ、エロ過ぎ………」
トサカもそんなこと言ってないで助け――あぁん!!
「ぐへ、ぐへへへ……へ?」
俺の体中をベタベタ触っていた変人の手が止まる。
ちょうど俺の股間の所で。
「……お、男ぉ!!? どういうこと? 女じゃなか―――――って、これって正規じゃない!? 合法よねっ!!」
余計に元気になった教師が「イヤッハァ!!」と叫びつつ俺の着物を脱がしてこようとする。
「ちっ! あたしが着付けたんだから脱がさないでよ!!」
これまで黙っていた翔子もさすがに口をはさむ。
「別にいいでしょうが! 着物の帯をグルグル回して『あれぇぇぇ~~』ってやらしてみたいの!!」
押し倒しながらどうやってするつもりだ……。
「サイはあたしの所有物なの! ペットなの!! だからあんたみたいな変態がベタベタすんじゃないわよ!!」
「私は変態じゃない!! 社会的にOKだから! 結婚出来るから!!」
十分変態ですよ………はぁ。
「(いや待てよ…この先生は百合なのに俺のことが好きなんだよな………。つまり、俺は女好きをも惚れさせるほどの魅力を持っている……。てことは俺にも男としての魅力が付いてきた!?)」
「イヤ、ねぇだろ」
黙れ、トサカ!!
俺はトサカを渾身の力で睨みつける。
「っ!」
顔を赤らめて目を逸らしやがった!!
…………ちっ、気にくわないが、今はトサカ如きに構っている暇はない。
俺に馬乗りになった屑教師と翔子が絶賛口論中である。
「あたしの所有物に触ってんじゃねぇぞ!! このロリコンがぁ!!!」
「ロリコンじゃないわ!! ロリもいけるけどこの娘はロリじゃないしぃ!」
「このロリコン!! サイは可愛らしい顔にプ二プ二なホッペが特徴の立派なロリよ! 胸ないし」
「胸がないのがいいんでしょうがぁ!! 貧乳はステータスよ! 希少価値よ!!」
最低な口論だ……俺のことも少しは考えてくれよ……………。
「オイ! テメェら聴いてりゃグチグチとサイの悪口イいやがって!! ムネが無いとかイわれたら傷つくダローが!! 女の子なんですもの!」
いや、お前のが一番傷ついたから…………。
なんやかんやでその日の部活は終了した。
ポスター貼って(トサカが動けないため俺がデザインも貼り出しも行った)、翔子と先生の喧嘩を仲裁し(途中から小学生の喧嘩のようになっていた『バーカバーカ!!』『あっ! バカっていったほうがバカなんだからね!!』的な)、たまたま通りがかった風紀委員長に着物でいることを注意されてコッテリ絞られたり(翔子は俺が勝手にやっていることにして逃げやがった!!)、先生が『惚れ薬』なる液体の入ったカプセルを飲まそうとしてきたり(もちろん何の躊躇もなくトイレの排水溝にぶちこんだ)と、まぁいろいろ大変だった。
寿命が一年ぐらい減った気がする………。
―――しかし、こういうのも悪くはない。
充実しているからだ。
これまでダラダラと過ごしてきただけの毎日だったのが、今、こうして時間が足りなく思えてしまうほどに充実している。
きっと、明日からは依頼なんかが舞い込んできてさらに忙しくなるだろう。
それが楽しみで楽しみで仕方ない!
「フンフゥンフフン♪」
俺は鼻歌まじりに下校した。
今日は着物も途中から脱がしてもらったし、テンションがかなり上がっていた。
だからスキップなんかもしちゃったりしていると、反対車線を歩いていた大学生ぐらいの二人組の男子が俺を観て話を始めた。
「何アノ男装女子! スキップしながら鼻歌とか可愛すぎんだろ!!」
「はぁ、声かけてみてぇなぁ………」
「声かけようぜ! これ逃したら二度とないかも!!」
「絶対無理。あんな可愛い娘に彼氏がいないと思うか?」
「た、確かに………んじゃあ機嫌がよさそうなのも……!」
「十中八九、彼氏とのデート帰りか何かだろうな」
「だよなぁ………リア充爆発しねぇかなぁ……はぁ…」
何言ってやがんだ!! このリア充どもが!!!
微かに聞こえてきた会話に怒り覚えながらも必死に押さえつけ、スキップの裏で苦笑いをしながら家路に着くのだった……。




