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と、言うかただの走りたがり  作者: 玄野 洸
閑章
27/36

XXX:不意な呟きをした俺は――、

 短いですが、短編(?)です。

 これで多少ですが主人公の在り方の元が見えるのでは、と勝手に考えます。



 では、どうぞ――――








 ――――母さんが、死んでからだ。


 

 目の前で大好きな母さんが死に。

 

 その近くで殺した指名手配中の享楽殺人者が取り押さえられた。



 俺はその時、母さんと夕飯の買い物の最中だった。

 その時は夏姉も居ず、秋穂も居なかった。

 だから、あんなに俺は柄にもなく楽しんだのかもしれない。



 結果があれだ。


 俺はそれから、“死”に対して変な意識を持つようになった。

 

 

 俺は、“殺したモノ”に対して異常な憤怒と憎悪を持つようになった。


 俺は、“殺された人”に対して異常な悲しみと悔しさを抱くようになった。



 例で言えば、俺は現実のニュースなどでは勿論。テレビドラマや映画、マンガなどでも“殺したモノ”には必要以上に憤怒と憎悪を抱いたし、“殺された人”には異常なほどの悲しみと、なにも関与していないのにかかわらず、悔しさが溢れた。

 

 中学の頃の話。

 平和な学園マンガを読んでいて、突然に、物語の本筋には関係のない、端の方で殺しをする奴が現われた時、余りの憤怒と憎悪でそれを破いてしまった。

 周りが引く位に引き裂き、もはや原形をとどめていないそれを俺は踏み倒し、最後は燃やして灰にした。

 流石にこれは自分でも行き過ぎたと知覚できる出来事で、それからは出来るだけ自制をきかせた。


 これも中学の頃。

 特に話もしないクラスメイトの親族が亡くなったと聞いた時に、悲しくなって、悔しくなって、泣いた事がある。

 そのあとは出来るだけ気を付けるようにし、そんな事は無くなったが、あれは自分でも制御できないことだった。



 ――――しかし、やはり俺の“死”に対する意識は変な物で、それは人にしか作用しない。


 ゲームやアニメで、人間ではない異形なモノが殺されても、それには何も抱かない。他人と同じように、酷く無関心だった。

 それはたとえ完璧に人の形をしていても、“人じゃない”と心のどこかで思っているのか、やはり何かを浮かべる事は無かった。

 

 これを誰かに話した事は無いけど、封じ込めることでどうにか均衡を保っているのではないか、と勝手に思っている。


 不思議なことで、自分な事なのに、考えれば考えるほどに分からなくなっていった。


 手を伸ばせば伸ばすほどに、どこかに走り去ってしまった。



 追いかけようとも、どこかに飛んで行ってしまった。




 そんな変な心の形だった。







 ――――母さんの死が、きっと今の俺の行動の基盤になってる。




 やっぱりそれは俺のエゴでしかないのだろうが、勝手に自分がそれを背負いたがっている。


 “殺したモノ”を殺すことで、なんとか自制を保とうとしているのかもしれない。


 だから今日も俺は、“殺したモノ”を殺しに行くんだと思う。




 掃除する為に、走るんだと思う――――。







『なんで主人公はこの類のゲームをやっているのか?』と質問があったので、この場を借りてちょっと説明します。


 何故主人公がこの類のゲームを始めたかといえば、バランスを保つためです。

 本当のきっかけは姉に勧められたから、でありますが、やろう決心したのは“ゲーム内の殺すモノ”を殺すことで、無意識に心のバランスを保とうとしたのです。

 

 日常的にフィクション、メディア等に死があふれる世の中で、“ゲーム内に設定されたor現れた悪者”を殺すことで、悲しさや悔しさ……、それらを緩和しようとしているのです。

 これに関しては主人公は自覚しておらず、無自覚にゲームを進めています。

 なので主人公はこういう類のゲームを始め、ここまで来ているのです。


 ……この説明で納得していただけるかはわかりませんが、自分の中と小説ではこうなっているので、ご了承願います。












 不意な呟きをした俺は――、やっぱり、わからない。








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