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《2》『死神さまに微笑みを♪』 (その2)


【○○○姉さんに花束を♡】


《2》『死神さまに微笑みを♪』(その2)


3、


さて、死神?の婆さまの言う事が全て真実ならばさっさと帰るべきかとも思ったけど、しかし滅多に来る事は無い都心まで二人して出張って来たのに、たったこれだけで帰るのも何か癪な気がする。

何より、私と二人での遠出デートを楽しんでいるまりあが残念がるだろう。それは嫌だ!


なので、最大限の注意を払いながら私はこのデートを続行する事にした。

この先、まりあにどんな危険が起こるのかは判らないけど、とりあえず私が側に一緒に居るならば直ぐに対処できるはず。…と、思ったからだ。


というワケで、その後二人で映画を観たりちょっと奮発してお値段お高めなレストランで夕食を楽しんだりしていたもんで、結局私たちが学生寮に帰ってきたのは午後10時近くになっていた。


……そしてそれは、二人速攻で入浴を済ませ「じゃあ寝ようか」と廊下で話している時に突然起きた。大きな地震が発生して学生寮の建物が悲鳴をあげたのだ!


私はとっさに建物周辺の砂や土を遠隔で操り、揺れを最小限に抑えた。

マトモに喰らっていたら、こんなボロい建物はヤバかったかも知れない。それくらい激しい揺れだった!


やがて揺れも収まり、私にしがみついていたまりあが恐る恐る身体を離した時に階段をぬら爺が駆け上がって来た。


「お二人さん、大丈夫だったかいな。かなり大きな地震じゃったな!」


「安心して。特に被害は無いから。(小声で)私がちゃっちゃとやったから」


「おお、そうか。(小声で)お前さんが居て助かった。礼を言わせてもらおうかの」


三人でしばらく様子を見たけど幸い余震は起きない様なので、とりあえず解散して寝る事になった。

まぁ、私が操作した砂や土はそのままにしてあるし、また揺れても大丈夫でしょう。



翌朝まりあの部屋を訪ねると「今日は一日部屋に籠もって原稿描くわ」と言う。

部屋に居る分には危険は無いだろうと思い、私は昨夜の地震の影響が近場に出ていないか確認するため外を廻ってみる事にする。


昨夜、あのあと緊急車両のサイレンがいくつも聞こえていた。

学生寮の危機は私が抑えたけど、TVのニュースでは予想以上に大きな被害状況を伝えていた。

交通機関にも激しく影響が出ている様で、駅周りは人が溢れていた。こんな状況でも会社や学校に向おうとしている人達か…。


街中や商店街とかもひと通り廻ってみたけど、幸いこの地域は深刻な被害を免れた様だった。

1時間ほどして学生寮に帰って来たら私の部屋のドアにこんな書き置きが挟んてあった。


(山寺の宝物庫が地震被害の調査で収蔵品を外に出すので、その間だけ取材許可が取れたと担当者くんが車で迎えに来たので行ってくるね!夜までには帰ってくる予定♡ by.まりあちゃん)


しまった!以前どこぞの僻地にある山寺の宝物庫に「新作のネタになりそうなアイテムがあるんだよなあ」って言ってたけど、それか!この状況で遠出するのは間違いなく危険だと言うのに!!

見廻りに出たのは失敗だった!!


……嫌な予感がする。凄くザワつく。大丈夫だろうか。


私はとりあえずまりあの部屋のドアをノックしてみたのだけど、呆れた事にドアはスッと開いてしまった。もちろん、部屋の中に彼女は居ない。

どうやらキチンと閉めもせずに出かけたらしい。相当慌てたのか、或いは嬉しくて飛び出して行ってしまったのか……。


すぐにでも追いかければ、まだ間に合う距離に居る可能性はあるが、しかし、肝心の山寺の宝物庫とやらの場所が判らない!


私は何か場所の手掛かりは無いかと部屋の中を物色したが、まりあの部屋の中は様々な物が所狭しと大量に置かれ、何しろ散らかっているのでワケが判らない。

時間だけが無情にも過ぎていく。


困り果て立ち尽くしていると、嫌な予感が的中したかの様に今いちばん会いたくない人物がフワッと現れ、今いちばん聞きたくない言葉を彼女が語った。


「残念な知らせじゃ。先程、この娘の魂が冥界に連れられて来おったわい。お前さんには見守る様に忠告しておいたはずじゃがな」


私は『死神の婆さま』の前で言葉を失った………。


4、


力なくまりあ愛用の椅子に腰を落とし呆然としている私に 婆さま は状況の話を続ける。


「昨夜遅くに大きな地震があったであろう?

悲しい事に、あの地震の被害で命を落とした者が何人も出てしもうてな。アタシも魂の保護に駆けずり回るのに手一杯で、ココの娘の監視までしている余裕が無かったわい」


「あの、いったい彼女に何が…」


「それは本人に聞くが良かろう」


「本…人……?え、それはどういう事で……」


すると彼女は懐から取り出し物を何か操作してから私に渡した。


「コレは、携帯電話……?」


それは、いわゆるガラケーだった。


「それは冥界との連絡に使える特殊な携帯電話じゃよ。今、冥界に居る娘と繋がっておる。ホレ、話してみい」


「……も、もしもし? まりあ?」


「砂ちゃん?砂ちゃん なのよね!ごめんね~、ワタシ死んじゃったみたいなの。もうそっちに戻れないんだって!」


ちょっと予想外の展開と、彼女の呑気な言葉に一瞬気が遠くなった。しかし、今はソレどころじゃ無い!


「まりあ、どうして?何であなた死んでるの?!いったい何があって?!」


「あぁ、そうだった!色々話したい事は沢山あるんだけど!今は 砂ちゃん に大至急やって貰いたい事があるの!良く聞いてね!

砂ちゃんって実は『あやかし』だったんだよね?何で言ってくれなかったのよ!作品のネタに使えたのに……じゃ無くて!コッチで 砂ちゃんは凄く強い『あやかし』だって聞いたの。とにかく凄く強いって!」


「ちょっとまりあ落ち着いて!私が強い『あやかし』だとどうなるの?」


一拍置いてまりあは真剣に語った。


「砂ちゃんに今すぐに怪物退治をやって貰いたいの!私達が乗った車を弾き飛ばして潰した巨大な骸骨の化け物が山奥に居るの!

今は動いて無いんだけど、夜になると動き出し街に出て沢山の人の命を奪うんだって!

だからその前に退治しないとマズイらしいの!!なんか凄く強いらしいんだけど、……でも、砂ちゃんなら倒せるってココの偉い人が言ってるの!!!」


私は彼女の言う話を信じられなかった。まさか?!と思った。

さっきまで、ほんの前まで普通にそこに居たまりあがそんな事に巻き込まれて死んじゃうなんて!朝に会話をしたばかりなのにっ…。


「彼女の話が真実ならば、どうやら「がしゃどくろ」が居ったようなんじゃよ。この現代に!」


横で黙って聞いていた 婆さま が まりあ の話に補足を入れてくれた。

『がしゃどくろ』体長20メートル近くある巨大な骸骨の『あやかし』いや、もはや災害レベルの『化け物』が現代に現れたと言うの?で、そいつがまりあを……。


許せないっ!許せないっ!!

そんな『化け物』がまりあを!!


「… わかったわまりあ。とりあえずコチラで確認するから待ってて!」


「うん、お願い、砂ちゃん!

でもダメそうなら無理はしないでね、絶対に……」


私はそこで電話での会話を終え、静かに見つめている婆さま に訪ねた。


「場所はわかってるんですよね。………私をソコまで連れて行ってくれますか」


「「がしゃどくろ」は大むかしの合戦で討ち死にした武士や武者達の怨念が集まって生まれたと言われとる巨大な化け物じゃ。

多くの武者のむくろを奴隷の様に使役し、さらに生き物を溶かしてしまうほど強力な『瘴気』を撒き散らす凄まじいチカラを持っているそうじゃ。ソレでも行くのじゃな」


「……私の大切な『親友』の頼みだもの。しかも……許せない、絶対に許せないっ!」


「そうか、では行くか。ほれ、アタシの手を握れ」


そして、私と婆さまの姿が部屋からスゥっと消え『主』を失った部屋の中には静寂が訪れた。


ーーーーー


「なにっ?!あの古の化け物「がしゃどくろ」がこの時代に現れたと言うのか!」


冥界王と念話をしていた大天狗は声をあげた。


「昨夜の地震で犠牲になり冥界に連れてこられた魂たちは、皆まだ死亡予定では無かった者たちばかりじゃから死因の詳細を確認する必要があってのう。

そこで一人ひとり、自身の亡くなった状況について覚えておる事を聞き取り確認しておったのじゃが、その中に地震とは全く関係無く亡くなった者が居った」


「その者が「がしゃどくろ」に?」


「巨大な骸骨の怪物に襲われたと言うておる。巨大な骸骨と言えば「がしゃどくろ」としか思えぬ。魂となったからには嘘などつく事はできんのでな。おそらく真実であろう」


大天狗は頭を抱えた。

もし本当に「がしゃどくろ」が現れたと言うのであれば、天狗族で討伐に当たらなければならない。

それは、世に災いを及ぼす『あやかし』が現れた際には、人知れず天狗族の烏天狗からすてんぐたちが対応しているからなのだが、しかし「がしゃどくろ」が撒き散らすとされる「触れると身体が溶ける」ほどに強悪な瘴気には対抗できない。

と言うか、生きとし生けるもの全てが対抗できないのでは無いだろうか……。

自分が知る記録では、最後には姿を見せ人里で暴れたのは今から1500年前とも2000年前とも言われている。

その際には、旅の高僧が祈祷で彼の恨みを鎮め山奥深く封印したそうだ。現代で再現する事はまず不可能であろう。


ん?しかし、居たっ!一人居たぞっ!!あ奴なら瘴気など問題無く「がしゃどくろ」に対抗できるはず!!

いや『古の化け物』に唯一対抗できるのは『彼女』だけだ!!!



大天狗は再び冥界王へと念話を送った!


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