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《4》『物語の終わりは、終わらない』(その3) 


【○○○姉さんに花束を♡】


《4》『物語の終わりは、終わらない』(その3) 


3、


「危ないっっ!」


公園に突然現れた『アイツ』が砂場で遊んでいた二人の子供を狙って突進していた!

武器を構えていては間に合わないと判断した私は、その瞬間ダッシュして足元の砂を掴み『アイツ』の顔に叩きつけて一瞬怯ませ『子供たちをカバーする様に覆い被さった。よしっ!間に合ったっ!!

子供たちに襲い掛かろうとしていた凶悪なツメは、子供たちでは無く私の背中を深くえぐった!

身体を突き抜ける激しい痛みと辺りに飛び散る血しぶき。私はそれを子供たちに見せないように強く抱きしめた。


(良かった!鍛えた私の身体でもコレだ。この子供たちなら一瞬で引き裂かれていた!)


遅れて駆けつけてきた仲間たちが撃ち込んだビームガンで『アイツ』は絶叫をあげて燃え尽きた。


李依りえ隊員、気をしっかり保て!直ぐに救急班が来る!」


仲間が声を掛けてくる。でも何だか遠くに聞こえる……。

ふと、視線をあげると悲鳴をあげて走ってくる母親らしき女性に子供たちは泣きながら駆け寄って行った。


…あぁ、ホントに良かった。子供たちが無事で。


私はそう思いながら段々と意識が遠のいて………。


ーーーーーーー


「………なに、これ?」


私はガバっと顔をあげた。

周りを見回すと、そこはユウキの歓迎パーティーをしているアパート1階の大部屋で、どうやら私はいつの間にか机に突っ伏して寝ていたらしい。


私の肩には昔まりあが着ていたコートが掛けてあった。

おそらく、まりあかユウキが部屋から持って来て掛けてくれたんだと思う。

時計を見ると朝の5時を過ぎていた。大家くんの読書の邪魔にならない様にこの場所に移動したのは確か1時になった頃だったから、う〜ん4時間も寝てたのか……。

大家くんに『あのチカラ』を使った反動かしらねぇ。


周りを見ると、大家くんは夢中で読書中。ぬら爺と婆さまは何やら密談してるわね。まりあとユウキは見当たらないけど、たぶんまりあの部屋じゃないかな?他に行くところが無いものね。

それと、いつもの起床時間になって2階から降りてきたらしいミケタマちゃんとわらしちゃんが、昨夜食べ切れなかったケーキをキャイキャイ言いながら食べてる。

ちなみに、机の上には二人のお気に入りの猫少女と座敷わらしのぬいぐるみが置いてあって、それぞれ小さく切ったケーキがその前に置いてあるのが、や〜ん可愛い♡


さて、先ほどのアレは何だったのだろう?

ぬら爺と婆さまが私の昔を話していた影響で見た「単なる夢」?

それとも、まさかの私の「前世の記憶」だったりして?

だとすると、世界観がなんか変だったから異世界で死んだ人間だった私が『あやかし』としてこの世界に転生した。…という事なの?


いやいやいや、今どきそんなベタな転生設定は無いわよねえ……。


…無いよね?


ーーーーーーーー


午前7時を過ぎた頃には、一晩中喋り巻くしていた「ぬら爺と婆さま」「まりあとユウキ」のコンビたちも、流石に疲れてきたのか静かにモーニングティータイムを迎えていた。

私とまりあ、ユウキ、大家くんは、コーヒー。

ぬら爺、婆さまは、日本茶。

ミケタマちゃんとわらしちゃんは、ホットミルク。を、それぞれ飲んでほっこりしていた。


しばらくすると、ビービーという音が鳴り出した。

何の音かしら?と思って周りを見ると、婆さまが明らかに面倒くさそうな表情で懐から携帯電話ガラケーを取り出した。


「…あぁ、判っておるわ。アタシもそろそろ頃合いかなと思っておったところじゃよ。

うむ、ここまで特に問題無く過ごしておる。……、はいよ。判った判った、じゃあそういう事での」


そして婆さまは「皆の衆、申し訳無いが冥界王のヤツが『戻って来い』とうるさく言いおるのでな、そろそろアタシらは帰らせてもらう事にするわ」と言って立ち上がった。


え!今の電話の相手って冥界王様だったの?

『冥界王』と言ったら、冥界の全てを統べる超偉い人だよねぇ。

そんな超偉い人と、ガラケーであんなフレンドリー(雑とも言う)な会話をする婆さまって一体何者なのかしら?

私の事を何者なんだって言ってるけど、そっちこそホント何者なんだ。だわ!


まぁそれはともかく、私としては、まりあが冥界に戻る。と言う事でユウキの反応が心配だったけど、二人で一晩中語り合って今は精神的に満ち足りているのかな?

特に取り乱す様な事も無く、落ち着いているので安心したわ。


で、まりあが「私がこちらに来れる事はもう無いだろうから、しっかりお別れをしたいわ。物語の終わりには余韻が大切なのよ!」と言い出したので、婆さまとまりあが『手を繋いでその場で冥界まで瞬間移動』するのでは無く、アパートの前で全員並んでお見送りする事となった。

(ちなみに、ミケタマちゃんとわらしちゃんは「この子たちもいっしょにお見送りする〜」と言って、猫少女と座敷わらしのぬいぐるみを抱っこしている。うん可愛い♡)


「それじゃあユウキさん、こうして直接会える機会がまたあるかどうかは判らないけど、私は何時でも冥界から貴方を応援してるからね!もし何か困った事があったら遠慮なく砂ちゃんに言うのよ。彼女なら私と連絡を取り合えるし、私でチカラになれる事なら何でもするからね!」


二人は固い握手を交わしている。


「はい、ありがとうございます!直接お会いできて交わしたまりあ先生のお言葉や、描かれた作品から学んだ事柄に恥じない様に頑張ります!!」


「え?そうなの?…ちょっと大げさな様な気がするけど、うん、ありがとう!それじゃあ、行くね」


「本日は本当にありがとうございました。先生、どうぞお元気で!」


まりあは前で待っている婆さまの方へ向かう際に、私にチラッとウインクして行った。


まりあ、安心して!

既に死んでしまっている人に「お元気で」は変じゃ無い?という突っ込みは、空気を読んでしないでおくからね。


そして、まりあと婆さまの二人は手を繋ぎフワッと浮かび上がり、そのまま大空高く飛んで行き、やがて消えて行った。

浮き上がる際に婆さまが「全く面倒くさい事をさせおって。とんだ遠回りじゃわ」とブツブツ言っていたけど、でも、ちゃんとまりあの希望通りにしてあげてるのよね。…婆さまってホントに優しいんだよなぁ。


「さて、では僕は本の続きを読もうかな」と大家くんはあるき出した。その横を歩きながらぬら爺は


「おお、そう言えばワシは読んでいて意味が判らぬところがいくつかあってのう。聞いても良いかのう?」


「もちろん!何でも聞いてください!」


そんな会話をしつつ二人はアパートの扉へ歩いて行った。

大家くん。中村くんと会えなくなってからずっと独りで寂しそうにしていたけど、同じ趣味を持つ仲間(趣味友)ができたせいか元気になってきたわね。良かった!


「あ!おねえちゃん『我が家のにゃんこ』のテレビがはじまっちゃうよ」


「あ、ホントにゃ。早くテレビの前に行くにゃ!」


ぬいぐるみを抱えたちびっ娘二人は手を繋いで慌てて走って行った。あの二人、もうホントに仲良し姉妹よねぇ。


で、残るはユウキなんだけど、さっきから『まりあ先生』の消えた空を見つめながら、両手を胸の前で組んで微動だにせずに立ち尽くしていた。

まるで、天空に還っていった女神様を見送っていた信者みたいだわ。まぁユウキにしてみればまりあは女神様なのかも知れないけど……う〜ん、普段のまりあを知っている私にしてみれば複雑な心境だわね。


もう、仕方が無いわねえ。可愛い妹のユウキを一人で放っておくわけにもいかないから、少しだけお姉ちゃんも付き合ってあげましょうか……。














……えっと、ユウキさん?

もう10分経ったんだけど、まだ続けるの?

お姉ちゃん、なんだか疲れてきたわ。…ねえ、ちょっと、お〜いユウキさん??




第4話『物語の終わりは、終わらない』(了)




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