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《3》『三毛猫とお姉ちゃん、ときどき座敷わらし』(その3)


【○○○姉さんに花束を♡】


《3》『三毛猫とお姉ちゃん、ときどき座敷わらし』(その3)


[三毛猫とお姉ちゃん]の章


1、


昨日、私たちに新しい仲間が増えました!

とっても可愛らしい三毛猫の『あやかし』ミケタマちゃん。

わらしちゃんに続いて私の新しい妹ができたのであります。

私、お姉ちゃんとしてがんばるからね!


と言うわけで、彼女はぬら爺が昨日公園で見つけて保護してきたのだけど、どうも訳アリな感じでお姉ちゃんとしては心配だわね。

以前の記憶もあやふやですし、仔猫なのに「猫又」化してたり、今まで見た事も無い不思議な衣服精製能力なんてチカラも持ってたり、とにかく彼女の抱えている本人にも判らない「謎」を一刻も速く解明してあげて、落着いて過ごせる様にしてあげたいと思う。


さて、謎と言うと、彼女には明らかに問題視すべきところがある。

見た目は小柄の少女で、人間で言う小学一年生くらいな感じ。精神的にもそのくらいの幼い印象。

とても可愛らしいのだけど、人間化が不完全で大きな猫耳と二股の尻尾が残ったまんまなのです。

(まぁ、特殊な趣味をお持ちの大きなお友達の方には喜ばれるでしょうけど♡)


普通、猫又の『あやかし』が人間の姿に变化する場合、完全な人間態の姿にも代われるはずなのです。

でないと、人間世界に潜り込んで活動する事が出来ないからね。

でもミケタマちゃんの場合は、何度も試してみたけど猫耳を引っ込められるのは数分だけ。

尻尾は普段着がスカート部分が長めのワンピースだから目立たないけど、街中とか人間の集まる場所に行く時は、とりあえず帽子かフード付きの上着を使って猫耳を隠して誤魔化すしか無いわねえ。

昨日はぬら爺の能力で、二人の存在感を消して商店街を歩いたらしいけど、ミケタマちゃんが出かける度にぬら爺が同行する事はできないものね。ちょっと不便だから、これは特訓しないとね。


朝、1階の大部屋で皆んなで朝食を食べたあと、私は大家くんとぬら爺とで本日の行動を相談する。


ちなみに、わらしちゃんとミケタマちゃんの二人は、TVを夢中で観てるので放置……て言うか、う〜んあの二人可愛いわねえ。

もうすっかり仲良し姉妹だわ♪


で、ぬら爺は「少し気になる事があってのう」と言って、昨日ミケタマちゃんを発見した公園に行くそうです。

ならば、皆んなで同じ所に行っても仕方が無いので、私とミケタマちゃんは二人で街中を探索する事にした。何かしら記憶に残る場所があるかも知れない。


わらしちゃんは外に出れないし、大家くんはネットで有益な情報が見つからないか試すそうだ。そうそう、実は大家くんは人間だった頃はパソコンを使った仕事に従事していたプロで、半端ない実力をお持ちだそうです。その筋ではちょっと有名人なんだとか。


ではでは、それぞれ行動開始です。

服は精製できても靴は創り出せないミケタマちゃんのために、ぬら爺が用意しておいてくれたピンクの運動靴が気に入った様子の彼女と手をつないで商店街を歩く。

猫耳を隠す帽子は、以前まりあが大学の学園祭イベントのコスプレ大会に出演した際に使っていた大きめな麦わら帽子をとりあえず利用させて貰った。

彼女の部屋は「本人の希望」で私が管理整頓してるのだけど、こういう物が所狭しと置いてあって片付きやしないわ。


商店街を抜けたあとは、住宅街・駅前・ビル街・川沿いや様々な場所を歩いてみた。大学関係の建物や施設も廻ってみたけど、どうもミケタマちゃんの記憶には引っ掛からない感じね。


ちょっと疲れてきたので休憩。

ミケタマちゃんが居た公園とは別の大きな公園のベンチでドリンクタイム。

途中のショップで購入したスイーツ系ドリンクを美味しそうに飲むミケタマちゃん。

こういうのは初めてで、今まで飲んだ事は無い気がするらしい。少し昔の記憶が戻ってきてるのだろうか……。


暖かい日差しと爽やかな風が二人をつつんでいる。

ふと見ると、木陰でたわむれる二匹の猫の姿があった。親子かな?

それをミケタマちゃんはジイっと眺めていた。


「どう?何か思い出せそう……?」


「う〜ん、私にも優しいお母さんは居た気がするにゃ。…でもそれは人間なのか猫ちゃんなのかはわからにゃい」


「そっかぁ。でも優しいお母さんの記憶があるのはいいね。

実を言うと、私には母親…と言うか、家族と居たみたいな記憶は無いの。でもそれは私だけでなくてほとんどの『あやかし』がそうなんだと思う。

気がついたらそこに存在している。それが『あやかし』なのよね。だから、そのお母さんの記憶は大事になさいな。

人間であっても猫であっても、関係ないわ」


「うん、わかった……。

ごめんね、お姉ちゃん。

私、自分の事ばっかりで、お姉ちゃんの事とか考えて無かったにゃ」


私はミケタマちゃんの頭をナデナデした。なんて優しい気持ちの良い子なんでしょう。

はやく晴ればれとした笑顔だけで、毎日を過ごして行ける様にしてあげたいわねぇ。と、お姉ちゃんは思うのでした。


さて、ここまで足を延ばして来てみたけど、ミケタマちゃんの情報に繋がる様な収穫は見つからなかったわね。

私達はとりあえず一度戻る事にして公園を出たのだけど、その時に

ミケタマちゃんが猫の親子に「ばいば〜い」と手を振ったら仔猫をペロペロしていたママにゃんがフっと顔を上げて「にゃ〜ん」と返事を返してきた。

「え?」と思ったけど、よく考えたらミケタマちゃんは『猫のあやかし』だものね。言葉が通じても変じゃ無いよね。と、妙に納得してしまった。


2、


商店街に戻って来たのはお昼少し前。先ほど歩いた時はまだ通行人も少なかったのだけど、流石にこの時間帯だとかなり多い。

ミケタマちゃんはシッカリと麦わら帽子を被り直して、通行人にぶつからない様に注意しながら歩いている。私はその後をついて行く。

周りを見ると、確かに普段より通行人が多い感じがする。……ああそうか、そういえば今日は何かの祝日だったっけ。親子連れや学生らしい子たちも多いわね。


しばらく進むと、ミケタマちゃんは何かのお店のショーウィンドウが気になったらしく足を止めて眺めていた。

視線を上げて看板を見ると「ファッションハウス mike」と書いてある。いわゆるブティックってやつか。

ミケタマちゃんは衣服精製能力を持っているから、こういうファッション系のお店が気になるのかな?と思ったら、違った。

ショーウィンドウの中にはライトアップされた洋服が数着飾ってあるのだけど、全部可愛らしい三毛猫のワンポイントや、装飾が施されていた。…ああ、だからお店の名前が「mike」なのね。

ミケタマちゃんも三毛猫だものね!


けど、ショーウィンドウはライトアップされているものの、お店自体は電灯が消えてお休みの様だった。お店が休みなのにショーウィンドウだけライトアップしてるって変わってるわね。商品の宣伝なのかしら?


しばらくすると、ミケタマちゃんはショーウィンドウを何回か振り返りながらも歩き出した。

(うん、妖怪後ろ髪の仕業ね!)

などと冗談を思いながらついて行く。

すると、次は何やら賑やかな音が溢れるお店の前で立ち止まった。そこはゲームセンターで、実はわらしちゃんの部屋を埋め尽くしているぬいぐるみ達は、ほとんどココの景品だったのです。

いわゆるUFOキャッチャーのね。


「どう?中に入ってみる?」

と声をかけると、しばし悩んでから「うん」と答えた。まぁ、彼女にしてみれば得体の知れないお店よねぇ…。

祝日のせいか店内は大勢のお客さんで賑わっていた。外に漏れ出している音より遥かに騒がしい音量が溢れている店内の雰囲気に最初こそビビっていたミケタマちゃんだったけど、慣れてくるとお兄さんやお姉さんが楽しげにプレイしている姿を何やら目をキラキラさせながら見て廻っていく。楽しそうで何よりです。


そして店内をグルっと廻ったあと、数台設置されている(例のわらしちゃん御用達?)UFOキャッチャーの前で立ち止まって凝視していた。

どうやら気になるぬいぐるみを発見したようね。と思って近づいて中を覗くと「可愛い妖怪仲間」と題したぬいぐるみたちだった。

ミケタマちゃんにしてみれば抱える程度には大きいサイズで、ゲットするのはコツが要るわね。


「あら、ミケタマちゃんの友だち達がたくさん居るじゃない。やってみる?」と聞いてみると、「見て、このお人形わらしちゃんだよね」と指をさした。


「へえ〜、このシリーズには座敷わらしも居たのね。あ、よく見ると猫少女も居るじゃない!」


「あ、ホントにゃ。私とはちょっと違う感じだけど猫ちゃんも居た!」


私はコインを投入して、ちゃっちゃとアームを操作して猫少女のぬいぐるみを速攻でゲットしてミケタマちゃんに手渡した。その早業に「にゃぁっ!?」とビックリして、そしてギュッと抱きしめて喜んだ。…うん、可愛い♡

まぁ、この程度のゲームは私にとっては楽勝な代物よねぇ。


「こんな感じでぬいぐるみをゲットするのよ。ミケタマちゃんもやってごらん。わらしちゃん、連れて帰ろう」


「ええ?私には無理にゃぁ、お姉ちゃんみたいにできないにゃ」


「大丈夫!ほら、わらしちゃん、連れて帰ってあげないと泣いちゃうかもよぉ」


「でもぉ…………。うん、やってみるにゃ」


5回分のコインを入れてあげると恐る恐る操作を始めるミケタマちゃん。

一回目〜失敗。二回目〜失敗。

三回目〜失敗、でも惜しい!

四回目〜失敗、でもあとちょっと!


さぁラストの一回!真剣に操作するミケタマちゃん!…実は種明かしすると、私は彼女がアームを操作する度に、彼女が気付けない程の少量の砂を中に発生させて上手く掴める様に動かしていたのでした。店員さん、ごめんね!

と言う訳で、ラストの操作で無事にわらしちゃんぬいぐるみをゲットしたミケタマちゃん。

最初は「信じられない!?」な感じで呆然としていたけど、取り出し口からぬいぐるみを取り、抱きしめてやっと実感した様で笑顔満開で喜んだ。


大きめなぬいぐるみを2個抱き締めてニコニコしている麦わら帽子の可愛い少女。

ヤバいわね。これは、大きなお友達で無くとも『激萌案件』よねぇ。…なんて私がおバカな事を思っていたバチが当たったのかも知れない。


ミケタマちゃんの近くで太鼓を叩くゲームをしていたお兄さんが、フィニッシュの一打をドーンッ!と決めた音にビックリして跳び上がったミケタマちゃんの頭からパサッと麦わら帽子が落ちてしまったのだ。大きなぬいぐるみを2つ抱えていた彼女は、とっさに帽子を抑える事もできなかった。

周りで大勢の人が見ている前で、ミケタマちゃんの大きな猫耳があらわになってしまった!

私とミケタマちゃん、二人同時に「あっ!マズいっっ!」と思ったその瞬間だった。


「か、か、可愛い〜〜〜♡」


「なになに、この可愛い猫耳コスプレ少女っ♡♡」


「マズいわよマズいわよっ!こんな天使みたいな、いえ!天使が存在してるなんて、ホンっとにマズいわよっっ!!」


と言う『黄色い声の大絶叫』が轟き、ミケタマちゃんが突然駆け寄ってきた三人の女子学生(?)に取り囲まれて頭や猫耳を撫でくり回された。

周りの人達も「なんだ?なんだ?」と振り向いた。


私はア然として声を出すヒマも無かった。

ミケタマちゃんも呆然として撫でくり回されていた。


「え?この猫耳、カチューシャかと思ったら頭から生えてるわ!精巧に仕上げた被り物なのね!」


「凄いわね、最近のコスプレ用パーツって、まるで本物の質感ね!」


「これは恐らく名のある匠の業物に違いない!」


なんか色々と猫耳の検証が始まってしまったので、流石にこれはマズいと思い三人に声をかけた。


「ああ、ごめんなさいねぇ。妹がビックリしちゃってるからそのへんで止めてくれるかな?」


「おねえちゃ~ん」と泣きそうな声のミケタマちゃんに、三人はビクッとして振り向いた。


「あああ、すいません!すいませんっ!」


「申し訳ございません!お姉様ですか? 妹さんが、もうホントに可愛すぎまして我を忘れまして」


「誠にご無礼をいたしました!妹様を怯えさせてしまいました。しかしながら、この天使の如く輝く可愛さには到底抗う事ができなく……」


(…………まぁ、ミケタマちゃんの可愛さを前にしたら皆んなこうなっちゃうのかしらね)


「いえいえ、妹を褒めてくれてありがとう。え〜と、それじゃあ私達はもう帰るので、じゃあね!」


と告げてミケタマちゃんの背を押して引き上げようとしたら女子学生の一人がカバンから何かの紙を取り出して差し出した。


「あの本当に申し訳ございませんでした!え、と、これ、よろしければお使いください。ご迷惑をおかけいたしましたお詫びでございます!」


何だろう?と思い渡された紙を見ると、2枚のフードコートのチケット?みたいだった。


「この街の福引きで貰ったフードコートの無料チケットです。私達が先ほど使った残り物で恐縮なんですが、使用期限が明日に迫っておりまして、よろしければどうぞお二人でお使いください!」


「…はぁ、そうなんですか」


女子学生の彼女たちにしてみれば、こういう物はそれなりに価値のある逸品では無いかと思うんだけど、なんか勢いに飲まれて受け取ってしまった。

彼女たちは周りの人達にも「すいません、お騒がせしました〜」とそれぞれが頭を下げて店の奥に消えて行った。最初の印象とは裏腹に何気に良い子達だったみたい。


ちなみに「あぁ妹さん可愛かったわねぇ」「お姉さん、お綺麗な方でしたわ」「私もああいう綺麗なお姉様が欲しいわぁ」と小声で語り合いながら去っていったのを『あやかし』の私の耳は聴き逃さなかった……。



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