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【完結】不眠の氷狼皇帝は、身代わり妃を手放せない  作者: 木風


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第四話

琳妃の追放劇から数日。後宮の静寂を破ったのは、茉莉花の実父だった。


「陛下!その女は我が家の不肖の娘、茉莉花です!正妃として差し出したはずの長女・芙蓉(ふよう)を、この娘が毒を盛って追い出し、入れ替わったのです!」


玉座の間。茉莉花の父は臆面もなく嘘を吐き、茉莉花を引きずり下ろそうと声を荒らげた。

茉莉花が寵愛を受けていると聞き、『役立たず』の次女ではなく『自慢』の長女を改めて送り込み、恩を売ろうという魂胆だ。


茉莉花は李信の隣で、顔を青ざめさせた。


「……お父様、そんな。私は、お姉様の代わりに……」

「黙れ!陛下、今すぐこの詐欺師を捕らえ、我が家の芙蓉を正妃に!」


李信は、頬杖をついたまま、退屈そうにその光景を眺めていた。

だが、その瞳の奥には、氷原を焼き尽くすような暗い火が灯っている。


「……身代わり?詐欺?くだらんな」


李信が低く笑った。その笑みの冷たさに、その場の時が止まるほど。


「私が愛しているのは、唐家の血筋でも、用意された女の肩書きでもない。……この、私を安らぎで満たす、たった一人の魂だけだ」


李信は立ち上がり、怯える茉莉花の肩を引き寄せ、公衆の面前でその額に深く口づけを落とした。


「貴様。私の茉莉花を『不肖の娘』と呼んだな。……万死に値する不敬だ。お前たちが彼女を虐げ、道具として捨てたことは、すでに調べがついている」

「な、……っ!?」

「茉莉花はもう、お前たちの娘ではない。私の……華国の宝だ。触れようとするどころか、その名を口にすることさえ許さん」


李信が軽く指を鳴らすと、背後の影から黒衣の魔術師たちが現れ、伯爵を拘束した。


「唐家は、皇帝に対する詐欺罪、および正妃への侮辱罪で取り潰しとする。……一生、冷たい地下牢で己の愚かさを悔いるがいい」

「待って、陛下!助けて、茉莉花ぁっ!」


見苦しく叫びながら連行されていく父の姿に、茉莉花は唇を噛んだ。

冷酷な処置。けれど、その根底にあるのは、自分に対する狂おしいほどの愛情なのだと痛いほど伝わってくる。


「……茉莉花。お前は涙すら甘いな」

「陛下……」

「あんな奴らのために、涙を一滴でも流すな。お前の瞳に映っていいのは、私だけだ」


二人きりになった寝室。李信は茉莉花を寝台へと押し倒し、覆いかぶさった。

逃げ場を塞ぐように、その大きな手が茉莉花の髪を梳く。


「……怖かったか?私のやり方が」

「……少しだけ。でも、守ってくださったのは、わかりましたから」


茉莉花が震える手で李信の頬に触れると、彼は恍惚とした表情で目を細めた。


「お前は優しすぎる。……だから、私が檻になってやる。誰もお前に触れられない、誰も傷つけられない、私だけの檻だ」

「陛下……」

「逃げようとしても無駄だぞ。お前が望まなくても、死ぬまでこの腕に閉じ込めて、愛し抜いてやる。……お前のすべてを、私に捧げろ」


それは愛の告白というには、あまりに重く、執着に満ちた宣言だった。

けれど、李信の胸に顔を埋めた茉莉花は、その激しい鼓動を聞きながら、心地よい幸福感に身を委ねていた。

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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