初詣で七草が食べたいと願ったら、七人の美少女が食べられに来た!?
「うっひゃー、凄い人だな」
元日。高校のクラスメイトと初詣に行く約束があったので神社に向かったら、人人人。テレビで見る渋谷のスクランブル交差点なんかよりも遥かに密度が高い。
「うし、露店が沢山あるぜ。かなり並んでるけど、この程度どうってことないな」
待ち合わせ時間は午後。
でも俺は午前に来て露店で飯を食うつもりだ。
皆は露店は高いとか衛生面が心配とかそれほど美味しくないとかで別でご飯を食べてから行きたがったが、俺はそれでもこのざわめきの中で期間限定のグルメを味わってみたいと思ってしまうタイプなんだ。
さて、最初は何を食べようかな。
なんて店を探そうとしたら、近くを歩いていた二人組にぶつかりそうになって慌てて避けた。
「ねぇねぇ、私甘酒飲みた~い」
「んじゃ賽銭投げる前にそっち行くか」
「やった~たかはるだいすき~」
べ、別に羨ましくなんかないし。
今の俺は色気より食い気だもん。
気を取り直して露店チェックだ。
まずはどんな店があるのかを全体的にチェックしてから……あれ?
「迷子?」
人ごみの中、五歳くらいの女の子が一人で歩いていた。
近くに家族らしき大人の姿は見えない。
泣いてはおらず周囲の様子を興味津々と言った様子で歩いているが、これまずいやつだよな。
誰もその子を気にかけようとしない。なんか冷たくて嫌な気分だ。
うし、迷子センターにつれていってあげよう。
「こんにちは。迷子かな?」
「ぬ?」
意を決して声をかけたら、その子は不思議そうに俺の顔を見た。
「お主、わらわに話しかけとるのか?」
「うん」
独特な話し方をする子だ。
何に影響されてるのかな。
「お父さんかお母さんのいる場所は分かる?」
「わらわを一体誰だと……いや、そう見えてしまうか」
「?」
「分かるぞ。だから安心せい」
なんだ分かってるんだ。
迷子じゃないなら安心……でもないよな。こんなに人が多い中で幼い子供が一人で歩くのは危険だ。
「お父さんとお母さんのところに案内してくれないかな?」
「ぬ? わらわの言葉が信用ならないと……いや、お人好しなだけか」
俺はお人好しなんかじゃない。小さな子が一人でうろついていたら声をかけて守ってあげるのは普通だろ。
「しかし困った。わらわはもう少し楽しみたいのじゃが……そうだ! お主、わらわのお願いを聞いてくれないか?」
「お願い?」
「そうじゃ。そうしたらお主の言うことを聞いてやらんでもない」
「どんなお願いなの?」
「簡単なことじゃ。あれを食べたい」
幼女が指さしたのはたこ焼きの露店だった。
「お父さんかお母さんにお願いして買ってもらったら?」
俺の財布の中には、俺が今日食べる分のお金しか入っていない。
幼女に恵んでしまったら俺が食べられなくなってしまう。幼女には悪いが、両親が近くにいるならそっちにお願いして欲しい。
「お腹減った」
「え?」
「今すぐ食べたい!た~べ~た~い~!」
「うう……わ、分かった。分かったよ。だから泣かないで!」
涙目になるのは反則だろ!?
こんなの買ってあげる以外の選択肢はないだろ!
仕方なく、長い列に並んでたこ焼きを買ってあげた。
「ふーふー、美味しいのじゃ!」
「それは良かった」
ソースと鰹節と青のりの香りが漂ってきて、俺のお腹の減りが加速する。早く何かを食べろと胃が催促している。
幼女が食べ終わったら両親の元に送り届けてさっさと食べよう。
そう思っていたのだが。
「次はアレが食べたい!」
「え!?」
なんと幼女は次の店を指定したのだ。
今度は牛串。長い串に焼いた牛肉が何個か刺さっているやつ。
もしかして幼女がお腹いっぱいになるまで買わされる羽目になるのか?
「ダメ?」
「うっ……」
だから涙目にならないでよ!
「うううう、分かった。お兄ちゃんに任せなさい!」
「やったぁ!」
幼女だから大した量は食べられないだろう。
そう思っていた俺が馬鹿だった。
たこ焼き、牛串、焼きそば、唐揚げ、ベビーカステラ、りんご飴、チョコバナナ。
どんだけ食べるんだよ!
「美味しかった~」
「しくしくしくしく」
財布が空っぽになってしまったよチクショウ。
「お兄ちゃんありがとう!」
素に戻ってるぞ。
お主って呼ぶんじゃなかったのか。
でもまぁこれだけ嬉しそうな顔を見られたなら、奢ってあげたかいがあったってものか。
「さぁ、今度こそご両親の元へ……あれ?」
いつの間にか幼女の姿が見えない。
まさか見失ってしまったのかと慌てて周囲を見渡すと、幼女は人混みの中に消えようとしていた。
「待って!」
慌てて追いかけようとすると、幼女が振り返る。
「え?」
すると幼女は俺に微笑み、うっすらと全身を光らせて空気に溶けるかのように消えたのであった。
「…………え?」
誰もその異常に反応していない。
俺だけがそれを認識していた。
「どういう……ことだ……?」
夢でも見ていたのだろうか。
否、それはあり得ない。
何故ならば彼女が実在した証拠が残されているから。
「ぐわああああああああ!金がああああああああ!」
財布の中がすっからかんのままで、俺の空腹が全く満たされないという証拠が。
チクショウ!金返せ!
--------
「あけおめ~」
「あけおめ……」
「神代どうした? なんかテンション低いぞ」
「ちょっとな……」
昼飯が食べられず、辛うじて残っていた小銭で飲み物を飲んで無理矢理腹を膨らませた俺は、クラスメイト達と合流した。
「何々、何があったの?」
凹む俺に元気よく話しかけて来たのは、幼馴染の田中 芹菜。中学までは異性として全く意識していなかったのに、高校生になってぐっと女らしい体つきになり、近づかれると少しドキドキするようになった。
「今年も女性陣が着物じゃないから凹んでるだけだ」
「なにそれ~」
「分かる!分かるぞ!」
「一人ぐらいはって超期待してたのにな!」
「全く男子ったら、あんな面倒なの着るわけないじゃん」
「面倒でもおしゃれするのが女子ってものだろ!」
「何?私らが女子失格だって言いたい訳?」
「うっ、そ、そういうわけじゃ……」
適当に誤魔化したら偶然にも会話が盛り上がった。
いつまでも凹んでいても空気を悪くするだけだし、こいつら相手に気分転換するか。
ということで、長い長い長い長い賽銭の列に並びとりとめのない馬鹿話をしていたら気分が良くなってきたのだが、どうやら俺はまだ怪奇現象から解放されたわけでは無かったらしく、また感情が大きく揺さぶられることが起きたのだった。
「賽銭か……」
信心深い方ではないけれど、ご縁だから五円というのは体の良い理由をつけて金額の低さを正当化しているようでなんか恥ずかしく、そこそこの金額は入れたいと思うタイプだ。だが予期せぬ出費で財布の中が大打撃。
すまん。今の俺にはこれくらいしか出来ない。
安い小銭を数枚手にして、賽銭箱にそれを投げ入れる。
二礼二拍手し、目を閉じて心の中で神様に話しかけようとしたその時。
「(あれ?)」
体が動かない。
しかも周囲から音が消えた。
なんだ。
なにがどうなってるんだ?
突然の異常事態に慌てそうになるが、心は平穏のまま。
パニックにさせてくれない。
「さっきぶりじゃの」
「(この声は……)」
静寂の中、幼女の声が聞こえて来た。
「(神様だったんですね)」
そんな気はしていた。
だって正月の神社で『わらわ』とか『お主』なんて言葉遣いの幼女が消えてなくなったんだ。神様関係だって思ってしまってもおかしくはないだろ。
「お主のおかげで楽しい時を過ごさせてもらった。感謝する」
「(どういたしまして)」
別に俺は迷子だと思って助けようとしただけ。
普通のことなのに感謝されるのはどうにもこそばゆいな。
「それを普通だと思える人間が、今の世にどれだけいるかのぅ」
「(あれ、もしかして全部伝わっちゃってる系ですか)」
「はっはっはっ」
答えてはくれないですか、そうですか。
「さて、では本題じゃ」
「(本題?)」
感謝を伝えるために出て来たわけじゃないんだ。
「それもある、そしてわらわはその『感謝』をお主に正しく伝える必要がある」
「(正しく、ですか?)」
「うむ。といっても難しい話では無い。お主がここでやろうとしていたことをやれば良い」
「(やろうとしていたこと?)」
「願い事をするのがお主らの流儀なのじゃろ?」
「(!?)」
つ、つまりそれってもしかして!
「(願い事を叶えてくれるってことですか?)」
「そういうことじゃ」
うおおおおおおおお!
神様が願いごとを叶えてくれるだなんて最高じゃないか!
「くっくっく、さぁ何を願う。何でもとはいかんが、大抵の事なら可能じゃぞ」
さてどうする。
元々大した願いをするつもりは無かった。なんなら挨拶だけするつもりだった。
だって願いとか考えるの面倒だったから。
しかしまさか幼女に奢っただけでこんなリターンがあるだなんてな。
これなら喜んで何度でも……………………
「どうしたのじゃ?」
「(七草を美味しく食べたいです)」
「ぬ?」
「(俺ってお粥が苦手なので、毎年七草粥が食べられないんですよ。だから、別の方法で七草を美味しく食べてみたいんです)」
「まさかそれが願いなのか?」
「(はい)」
何故こんな願いなのか。
その理由を心の中で明確に言葉にしなかったから神様は分からないのかな。
「大金を与えることも可能じゃぞ」
「(要りません)」
「美女を与えてやることも、好きな女がいればその心を与えてやることも可能じゃぞ」
「(要りません)」
「知恵を与え、勉強せずとも賢くすることも可能じゃぞ」
「(要りません)」
「何故じゃ。何故欲が無い。無欲な人間には見えぬのに、何故そのような些末な願いを選ぶ」
だって仕方ないじゃないか。
俺だって本当は夢のある願いを叶えたい。
でもそれをしたら人として終わりな気がするんだ。
「(お礼のために迷子を助けたみたいな感じになっちゃうの嫌じゃないですか)」
見返りなんてなくても、子供に手を差し伸べるべきだ。
もしここで価値が高すぎるものを貰ってしまったら、子供を助けられたことではなく、お礼を貰えたことの方を喜んでしまうに違いない。それに俺は今後邪な気持ちで子供に接するようになってしまうかもしれない。
それがとてつもなく嫌で恥ずかしい。
「くっくっく、ふはははは! 面白い! 面白いな!そんな綺麗ごとをのたまう奴がまだ居たとは!」
「(普通に山ほどいると思いますけど)」
「何を言うか。そんな連中、口だけじゃ。大金が貰えると分かったら、謙虚なフリして大喜びで貰うに決まっとる。古今東西人間とはそういう生き物じゃ」
なんかそれ、悲しいな。
そうじゃないって信じたいけど、神様が言うってことはそうなのかもしれない。
「良いだろう。お主の願いを叶えてやる。最高の七草を用意してやるから、存分に堪能するが良い」
「(ありがとうございます)」
「くっくっく、面白くなりそうじゃ」
「(え?)」
それはどういう意味なのか。
聞こうと思ったら体が動き音が戻ってしまった。
「神代、いつまでやってるんだ?」
「え、あ、ああ、もう行くよ」
慌てて最後に一礼し、後ろの人に順番を譲る。
すると背後から小さく声が聞こえてきた気がした。
「(そうそう、借りた物は返しておいたぞ)」
借りた物?
俺って何か神様に貸してたっけ?
すぐにはその意味が分からなかったけれど、クラスメイトと一緒に甘酒コーナーに行った時に分かった。
「ぬおおおおおおおお!」
「うお、何だよ神代。急に叫んで」
「だ、だって、だって金が!」
「金?」
「金が戻ってるぜひゃっほおおおおう!」
「?」
甘酒を購入すべくなけなしの金を取り出そうと財布を開いたら、幼女に奢った分のお金が戻っていたのだ。気持ちの凹みが一気に消え去り、甘酒を何杯も飲んでしまったぜ。
「皆悪い! 俺、これから露店巡りするから!」
例年通りならクラスメイトと遊ぶ流れになりそうだが、俺の胃がそれを許してくれない。もう我慢できないと露店に向かって走ったのだった。
--------
一月七日。
ついにこの日がやってきた。
神様が俺の願いを本当に聞いてくれるのであれば、今日七草を使った美味しい料理を食べられるはず。
ワクワクしながら登校すると、幼馴染の田中芹菜がわざわざ別のクラスからやってきて話しかけて来た。
「神代君、今日は例の日だから放課後家に行くね」
「え、例の日?」
「準備はこっちでしていくから、待ってるだけで良いよ」
「は? 何のこと? おい、説明しろって」
行っちゃった……
マジで何だったんだ。
例の日って言われても、全く心当たりがない。何か約束してたっけ。
しかも家に来る?
冗談はよせよ。小学生の頃ですらそんなことなかったのに。
俺達はクラスが一緒な機会が多かっただけで、友達にすらなってないだろ。
後で詳しく聞いてみるか。
そう思って始業の前にトイレに行こうと教室を出た時の事。
「か・み・し・ろ・くん」
「え?」
声をかけられたのでそちらの方向に視線を向けると、とんでもない美少女がいた。
皆川 なずな。
昨年アイドルとしてデビューした同級生で、最近はアイドル活動が忙しくてほとんど登校してないんじゃなかったっけか。アイドルとかが通う高校に転校するなんて話も聞いている。
そんな彼女が何故俺に声をかけたのか。
俺と彼女は全く接点が無いはずなのに、どうして俺のことを知っているのか。
「今日はよろしくね」
「え?」
「楽しみにしてるから」
「え?え?」
「放課後すぐに行くから待っててね」
「????」
行っちゃった……
突然アイドルに親しく話しかけられ、しかも幼馴染と似たような意味深なことを言っていた。まさか皆川さんが俺の家に来るなんてことじゃないよな。
はは、ありえないありえない。
何がどうなったらアイドルが突然知らない男の家に行くことになるんだよ。
ならどういうことなんだ?
全く意味が分からない。
ただ一つ言えるのは、無性に嫌な予感がするということ。
そしてその嫌な予感は見事に的中した。
「か、神代先輩、今日はよろしくお願いします」
小動物系後輩美少女、五行 小猫さん。
「今日、行くから」
クール系陸上部美少女、運辺 来夏さん。
「うふふ、今日はよろしくね」
おっとり系先輩巨乳美少女、湯仏 野座未さん。
「シクヨロー」
ギャル系美少女、神無月すずなさん。
「だるぅ、でも今日はちゃんと行くから」
ダウナー系美少女、鈴城 茉莉花さん。
小春高等学園の七大美少女、通称『春の七草』が次々と俺に声をかけてきたのだ。もちろん幼馴染以外、話したことどころか会ったことすらない。
何がどうなっているんだ。
あれ? 春の七草?
俺は神様に『七草を美味しく食べたい』と願った。
いやいやそんな馬鹿な。
エロ漫画じゃあるまいし、いくらなんでもそんな展開あるわけがない。
考えすぎだ。
きっと彼女達は何かを勘違いしているに違いない。
……
…………
……………………
「それじゃ始めよ」
「ドキドキするね!」
「は、恥ずかしいな」
「…………」
「うふふ、楽しみね」
「シクヨロー」
「だるぅ、さっさと終わらせよ」
はい、勘違いじゃありませんでした。
俺の部屋に七人の美少女が勢揃いしてまーす。
せまーい!
しかもなんか父さんと母さんが今日は帰って来ないとか言いやがる。
『今日は例の日だから、父さん達はビジネスホテルに泊まることにする』
だってさ。意味わからああああん!
「み、みんな待って。これ何かのドッキリ?おかしいだろこんなの」
「あはは、何言ってるのさ。さ、神代君、脱ごう」
「皆の前で脱げるわけないだろ!? って脱ぎ出さないで!?」
うわ、うわわ、俺の言葉を無視して全員が制服を脱ぎ始めた。
「や、やめ、やめ……」
彼女達は照れてはいるものの、ほとんど躊躇わずに上着を脱ぎ、スカートがストンと床に落ち、あっという間に下着姿。
クラクラするような女子の香りが部屋中に充満し、興奮と混乱で息苦しくなり、目を逸らさなきゃダメだって思うのにまるで強制力が働いているかのように目を逸らせない。
そしてついに彼女達は下着に手をかけてそれを外そうと……
「こうじゃないだろ神様ああああ!」
抗議の声が届いたのか、周囲の時が止まった。
「(なんじゃ、せっかく良いところなのに)」
「神様!? よ、良かった。これなんとかしてくださいよ!」
「(何を言っておるのじゃ。お主が望んだことじゃろう。七草を美味しく食べたいと。ゆえにわらわは最高の七草を用意してやった訳じゃ。感謝するが良い)」
「普通は七草を使った料理のことを指すでしょうが!」
「(わらわ神様だから人間の普通なんてわかんなーい)」
「わざとか!わざとだなチクショー!」
賽銭の時の最後の意味深なセリフはこういうことだったのか。
騙された!
「(侵害じゃな。騙してなどおらんぞ。お主だってこの状況嬉しいじゃろ)」
「嬉しくねーよ! 彼女達を騙しているようなものじゃないか!」
「(安心するが良い。常識改変しているから女子共は喜んでやっている)」
「そういう問題じゃないだろ!?」
「(そういう問題じゃ。わらわが良いと言っているのだから良いのじゃ)」
「その理屈はずるい!」
神様だからってこんなことが許されるはずが……許されちまうんだよそれが神様ってものだチクショー!
「うう……マジで勘弁してくださいよ。元に戻してください」
「(良いじゃろ)」
「え? 良いの?」
「(じゃが、この状況で戻したら女子共はどう思うじゃろうか)」
「ぎゃああああああああ!」
見知らぬ男の家で下着姿になっている。
そんなの死にたくなるくらい辛いに決まっているじゃないか。そして同時に俺の人生が社会的に終わりを迎える。
「(少し違うぞい。ほら、あの女子はもう胸が片方見えておる。下着だけでなく肝心なところも見られてしまっているのう)」
「より酷いじゃないか!視線誘導させるな!見せるな!」
「(ふむ。良い形じゃ。肌艶も良い。揉みたくなって来たじゃろ)」
「ぐおおお!視線を逸らさせろおおおお!」
そしてさっさと全てを元に戻せ!
「神様なら俺達の記憶を消して元の状況に戻せるでしょ!」
「(それはルール上出来ぬ)」
「嘘くさい!」
「(それが嘘だと証明できるのか?)」
「くっそおおおお!卑怯だ!」
都合が悪くなったらルールで誤魔化すとか、どこの異世界モノの設定だよ!
「(お主が選べるのは、この状況で改変した常識を戻してお互いの人生を終わらせるか、この状況を受け入れて全員で幸せになるかじゃ)」
「そんなの選べる訳ないだろ!?」
「(人生にはどうしようもない選択をしなければならない時があるのじゃ)」
「その選択を作ったのはあなたでしょうが!」
こんなの彼女達に申し訳なさ過ぎて喜べないよ。
「(そう思いつつ身体は喜んでいるようじゃが)」
「しょうがないでしょ!男の子だもん!」
「(がんばれおっとこっのこ)」
「遊ばれてるうううう」
「(超楽しい)」
純情な男心を弄ぶだなんてあんまりだ。
「(さて、そろそろ弄るのも飽きて来たし、再開するかのう)」
「え、ちょっと待って。ホントに待ってください」
「(ダメじゃ)」
「そこをなんとか!神様ああああ!」
「(これ以上しつこいと、全員が孕むまで終わらない設定にするぞい)」
「大変もうしわけございませんでしたー!」
ダメだ。
この神様は説得できない。
こうなったらどうにかして彼女達を説得するしかない。
この異常な常識を受け入れた上で、回避するためのアイデアは何か無いのか。
「(そうじゃ、言い忘れておったが、わらわははっぴーえんどが好きなのじゃ)」
「?」
「(だから彼女達の一人でも不幸になりそうなら、元の常識に戻す)」
「それって……?」
「(楽しみにして来たのに、拒絶されたら悲しむじゃろうなぁ)」
「なぁっ!?」
「(もちろん全員を満足させるんじゃぞ)」
「お、おお、おまっ、おまえっ!」
「(ちゃんと養って死ぬまで幸せにするんじゃぞ)」
「うわああああああああ!」
間違いない!
こいつは邪神だ!
「(失礼じゃの。男なら誰もが望む最高のはーれむを与えてあげたのじゃぞ。堕ちた神などと一緒にするでない)」
堕ちた神の方がまだマシなことしそうだよ!
「(さて、今度こそわらわはもう行く。美女に囲まれた人生、大いに楽しむが良い)」
「うおおおおおおおお!」
時が動き出し、何事も無かったかのように七草は下着を脱ごうとしていた。
「くそ、この、俺の体を勝手に動かすな!」
手が勝手に自分の服を脱がしにかかり、視線が彼女達から離せない。最も見てはならない場所をガン見させられる。
絶対に逃げさせないという神様の強い意思を感じる。
やがて生まれたままの姿になった七草が俺の前に並び……
「「「「「「「召し上がれ」」」」」」」
良い子のみんな、神様にお願いする時は誤解(曲解)されないように気を付けるんだぞ。
人に優しくするものですね




