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0 話  決戦!闇雷の魔王!

 大国インパーツ王国

 そのある街にある少年がいました。 


 その少年の名前は

 エクレールス・ノートゥングラム

 彼は、皆からエクレスと呼ばれていました。

 エクレスは弟と一緒に孤児院で育ちました。

 彼は、誰よりも優しく、賢く、強く、勇敢で、何より、見るものに希望を与える輝く瞳を持っていました。


 ある時、インパーツ王国の王様は言いました。

 「魔王を倒す勇者を捜す!

 賢く、強く、優しく、勇敢で、何より、希望を与える輝く瞳を持つ者は、王宮に来てくれ!」

と。


 エクレスは思いました。

 魔王を倒せば皆が魔王の恐怖に怯えずに済むと。自らが勇者となれば孤児院の皆や大切な弟を守れると。孤児院の皆がもっといい生活を送れると。

 エクレスは賢かったのです。

 

 エクレスは勇者となるため王宮に行きました。

 王宮には勇者になろうとする強者達がたくさんいました。

 王宮の奥には王様もいました。


 「よくぞ集まってくれた!勇者になろうとする者たちよ!

 今から諸君らには戦い合ってもらう。

 最期に勝っていた者が勇者だ!」

 

 強者達は戦いはじめました。 

 まだ子供のエクレスも戦いました。 

 エクレスは勇敢だったのです。

 

 エクレスは何人もの強者を倒しました。 

 エクレスは強かったのです。

 

 エクレスは倒れた者達を安全な場所に置いてあげました。

 エクレスは優しかったのです。


 最期に立っていたのはアンラクという屈強な漢とエクレスでした。

 誰もがアンラクが勝つと思っていました。

 エクレスはまだ子供だからです。


 アンラクは大きな剣と盾を持ってエクレスに斬りかかってきました。 

 エクレスが持っていたのは鉄製の棒だけでした。

 ですが、エクレスはその棒でアントスの剣を受け流し、そのままアントスに棒を振るいました。

 アントスは盾を構えて受けました。 

 

 バチバチ! 

 その時エクレスは雷の魔法を使いました。

 その魔法はとても輝いて見えました。

 アントスは倒れました。


 その場にいた者は皆驚きました。まだ幼い少年が強者達を全員倒してしまったからです。


 ですが、誰も文句を言いませんでした。

 なぜなら、その少年の瞳は希望を与えるような輝きを持っていたからです。


 少年は王様から雷の勇者の剣を授かり、旅に出ることになりました。


 こうしてエクレスは11歳で 

 4代目 輝雷の勇者と成りました。


 孤児院の皆はエクレスに言いました。

 「鼻が高いよ!」「さすがエクレス!」

 「頑張って!」「旅の準備は大丈夫?」

 ですが弟はこう言います。 

 「行かないでお兄ちゃん!魔王なんかと戦ったら死んじゃう!」


 エクレスは弟に言います。

 「僕は皆のために戦うんだ。

 国の皆のため。孤児院の皆のため。 

 お前のため。そして何より自分のため。

 だって皆が魔王に殺されちゃったら僕は悲 しくて死んじゃうよ。」


 弟は思いました。

 なんてかっこいいお兄ちゃんなんだと。

 いつか自分もこうなりたいと。

 弟は泣きながら笑って勇者を見送りました。


 アンラクはエクレスに感銘を受け、共に旅をすることになりました。

 最初は喧嘩ばかりでしたが、共に過ごすにつれ、絆を深め、親友となりました。


 旅の途中、ある街で女の魔法使いと出会いました。

 彼女の名はガウエ。

 ガウエは勇者が嫌いでした。


 エクレスはガウエと酒場で仲良くなり、一緒にパーティーを組んで街の近くの森にいる危険なゴーレムを討伐することになりました。


 エクレス達はゴーレムと戦いました。

 しかし、ゴーレムはアンラクの剣にも怯まず、雷の魔法も効きません。

 

 エクレス達は逃げました。

 しかしガウエは今の戦いでエクレスが勇者だと気付いてしまいました。


 ガウエは怒りました。

 エクレスは何もしていないのに酷いことも言い、そのまま一人で走っていきました。


 ガウエが一人で森の中を歩いていると、悲鳴が聞こえました。駆け寄ると、少女がゴーレムの手につかまっていました。

 

 ガウエはゴーレムに水の魔法を当てて少女を手から離し、逃がしました。


 しかし今度はガウエがゴーレムにつかまっていました。


 もう駄目だ。

 そう思っていると、

「その泥臭いの手を離せ!」

エクレスがやってきました。


 ですがエクレスではゴーレムには勝てません。エクレスはボロボロになりました。


 「もうやめて!」

 ガウエは言いました。

 なんで私を助けようとするのか。

 私はあなたに酷いことも言ったのに。


 「僕は勇者だから」

 エクレスはボロボロでそう言いました。


 ガウエは泣きました。

 ですが、すぐに泣き止み、杖にありったけの魔力を込めました。 

 そして大きな水の塊を作り、ゴーレムにぶつけました。

 

 少女を助けた時、ゴーレムは水に弱いことに気付いたのです。


 ゴーレムは水を被って柔らかくなりました。

 エクレスはゴーレムを勇者の剣でみじん切りにしてしまいました。


 ガウエはエクレスに謝りました。

 そして、自分も仲間に入れてほしいと言いました。


 ガウエガウエ勇者の仲間になりました。


 その後もエクレスの旅は続きます。


 フヤマの街で足を洗った盗賊の青年、   ショウを仲間になりました。


 チョウノ山で魔族だけど心優しい少女、  回復魔法使いのリンチが仲間になりました。


 5人はその後も冒険を続けました。たくさんの戦いで強くなりました。

 

 そして、魔王城にたどり着きます。


 魔王の配下達とエクレス達は戦いました。

 どれも苦しい戦いでした。


 とうとう魔王との戦いになりました。


 魔王は竜族でした。

 黒い髪、瞳孔の開いた瞳、ところどころある黒い鱗。

 そして、闇のように暗い雷。


 魔王は“闇雷の魔王”と呼ばれていました。


 魔王の強さは圧倒的でした。

 ですがエクレスは、勇者は、負けてはいけません。


 「俺は負けられない!絶対に勝たないといけない!絶対にお前を殺さないといけない! 

 お前に苦しめられてきた皆の為に! 

 これからの世界を生きる皆の為に!」


 エクレスの魔法の輝く雷の光がいつにも増して眩しくなります。

 魔王の闇雷と同じ様に、勇者の輝雷もまた特別だったのです。


 エクレスが大きく勇者の剣を振り被ります。

 魔王もその一撃を迎え撃とうとします。


 闇雷と輝雷がぶつかります。


 その雷は遠く離れた海の向こうの島でも見えました。


 その雷は貫きました。
























 魔王の硬く、黒く、冷たい鱗を。

 強く、賢く、残虐で冷酷で、見るもの全てを恐怖させる瞳を持つ魔王を。


 エクレスは魔王を倒したのです。

 

 こうして、インパーツ王国は平和を取り戻したのでした。


一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一


 「めでたし、めでたし。」

 そう言って、微笑みながら女性、見様によっては少女ともとれる俺の母親は本のページを閉じる。


 彼女はナリナ・クロアイデクセ。

 俺の“今世”の母親だ。


 「おれはまけりゃれない!ぜったいにかたないといれない!ぜったいにおまえを殺さないといけないっ!」

 隣でまだ呂律の回らない口で物騒な台詞を復唱するのは俺の双子の妹。

 名前はシンデロア・クロアイデクセ。

 愛称はシンリア

 心無しか名前も物騒な気がしてくる。

 俺と同い年だからまだ3歳だ。

 将来有望だな。

 

 「おっ 上手いぞ〜シンリア〜。

 でもそうだな…。もっと気持ちを込めてみようか。

 俺は…俺は負けられない。絶対に勝たないといけない…。絶対に…絶対にお前を!殺さないといけないッッ!!」

 娘にズレた親バカを発動してるのは俺の  “今世”の父親。

 名前はバイレック・クロアイデクセ

 愛称(言ってるのはナリナと俺

だけ)はバイクだ。


「キャ〜」 

  

 「ちょっとやめてよあなた。

 教育に悪いでしょ。

 シンリアも殺すなんて言っちゃだめよ。」

 

 もう夜も遅い。

 シンリアがウトウトしてきている。


 「悪い悪い。でもやっぱ勇者の冒険の話を聞くと、男としてはテンション上がっちまうんだよ。な、ライク。お前も魔王の一人や二人倒してみたいって思うだろ。」


 バイクが俺に同意を求めてくる。

 そう、息子である俺に。

 他に何者でもないと信じて疑わない

この“ライレック・クロアイデクセ”に。


 とはいえ、まあ別にここで嘘も言う必要も無い。 

 だから俺はこう言う。


 「魔王なんて怖くて無理ですよ〜 父様。

 僕なんてせいぜい40代で課長止まりです

よ~。」


 「カチョウ?なんだそれ?

 ライクはたまに変なこと言うな〜。」


 …でも勇者かぁ。 確かこの本かなり最近のの話をもとにしてるんだよなぁ。


 俺も転生者だしな。

 もしかしたらそんなんがあるかもなー


 別に期待してるわけじゃないけど。


 まぁ…

 まさか…まさかね…



 



 


 

 


 

 

 

 

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