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第一話 転生


「大変申し訳ないのですが、あなたにはチンピラになってもらいます」


それが、僕が転生してはじめて言われた言葉だ。

いや、正確に言えば転生する直前に言われた言葉だ。


~えっと…ここ、どこ?~


「ここは、わかりやすいように言えば死後の世界のようなものですね」


~死後の世界?~


周りを見渡すと暗い地平線が広がっている。


「はい、そうですね」


そして僕の目の前にいるのは、なんというか、the女神って感じの身なりの女性だ。

金髪ロングに純白のワンピースって言うのかな?…まぁいいか、そんな感じの見た目で極めつけは、目を完全に覆っている目隠し。何それ前見えてんの?


「はい、一応見えてますよ。女神なので」


~一応『~』が入ってないときは僕の思考だから覗かないでもらえます?~


「あーはい。わかりました」


というか女神なんだ。やっぱり。ちょっと頭の後ろから光が差し込んでいるような…なんて言うんだっけ、後光?あと、ちょっと浮いてない?

まぁ、とりあえずそこらへんは女神ということで良いとして、一番重要そうな台詞を忘れてしまうところだった。なんつった?チンピラ?


「はいチンピラです」


~おいおい、たった数行でさっき言ったこと忘れてるぜ女神さんよ~


「めんどくさいですしいいじゃないですか」


その態度は女神としてどうなんだ。


~ていうか、やっぱりチンピラ?きんぴらごぼうとかじゃなくて?~


「何度も言わせないでくださいよ。チンピラですよチンピラ」


やっぱ聞き間違えじゃないか。

えーマジ?僕生前は割と異世界転生とか憧れてたんだけどなー。


「一応、転生するのはあなたを含め皆さんが想像する異世界ですよ」


~え、そうなの?だったらいいけど……なんでチンピラ?主人公ではなく?~


「実は理由がありまして…………」


~理由?~


「はい、今私が管理している異世界では主人公が大量発生していまして……それ自体はある程度許していたのですが、主人公が増殖するのに反比例してチンピラや嫌がらせしてくるクズキャラの数が減っているのですよ。ですのであなたにはそのキャラを担ってもらいたいのです」


何そのゲームのバグ的な。

主人公大量発生?そんな天変地異みたいなこと許していいのか?


~じゃあ、僕はその役を担うために転生させられたってこと?~


「いえ、もともとあなたは彼らと同じように主人公という設定で転生させる予定でした。しかしこっちが生産量をミスってしまい、もう主人公の席が空いておらずチンピラとして転生するしかないというか、そっちの方がこちら側からしても都合が良くて一石二鳥というか」


~完全にそっちの都合じゃねぇか~


「まぁそこらへんはそこらへんでいいんですよ」


~適当過ぎるでしょうが~


「そもそも死んでしまったあなたも悪いんですよ」


~僕のせい?~


「はい」


~そういえば僕の死因って何だったの?あんま覚えてないんだよね~


「えーっと確か………」


そう言って女神さまは手で空を仰ぐ。そうすると仰いだ空間から穴が出現し、そこから本のようなものが出現する。何それすっごーい。


「金平糖を食べていたら虫歯の部分にあたってもだえ苦しんでいたらタンスの角に頭をぶつけ、当たり所が悪く死んでいますね」


~………~


そういやそんな感じだったな。


~それで異世界転生とか、人生ハードモード過ぎない?特に人を助けるとかしてないからクソみたいな家に生まれるとか、捨て子とか………~


「いえ、そんなに苦労はしないと思いますよ?一応あなたは割と位が高い貴族の家に生まれて顔も美形ですし、ある程度の才能も有ります」


~え、そうなの?~


「でもチンピラですね」


なんかやだな~。才能つっても主人公の圧倒的な才能には劣るだろうしな。結局はボコられる側だろうし。


「あ、あと主人公になる予定だったころの能力なんかも残ってますよ」


~え、何それ~


主人公になる頃の能力?


「おっと、そろそろ時間ですね。では神のご加護があらん事を願います」


~ちょ、ちょ待てよ~


「いってらっしゃーい」


結局、その能力が何だったのか聞けなかった。

まぁいいか。どうせ転生すればわかることだし。

僕は僕でしっかりとチンピラをするか………やだな。

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