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スサノオ銀河航海譚 ~ゾンビが蔓延る大宇宙に、英雄神の名を冠する船が赴く~   作者: 焼飯学生
帝国死闘篇

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第19話 博物館観覧

 オルタの交渉により、博物館側から条件付きで入館の許可を得た真希達は、スサノオから降りて、碇泊施設とデンクマール博物館を繋がる通路を歩いていた。

 そして、デンクマール博物館へと繋がる扉の前に、白を基調としたボディの人型ロボが1体立っていた。


『独立傭兵艦スサノオの皆様方、この度は、デンクマール博物館へのご来場誠にありがとうございます。私は、当館に所属する人型ロボで、今回皆様を案内することになった汎用人型民間機のハーライと申します』


 頭を下げ、博物館員の1人であるハーライは真希達に紹介を行った。


『それでは、当館への入館にあたり皆様の身体検査を行います。また、当館では火器の使用を固く禁止しております。そのため、傭兵ということは理解しておりますが、そう言った物はこちらに預ける。もしくは置いてきてもらうようにお願いいたします』

「勿論、武器などは全部置いてきた…」

『それでは、身体検査だけを行います。2人ずつ行いますので、2人ずつ前に出てきてください』


 博物館のルールを厳守するという入館の前提条件に従って、真希達は4体の宙に浮いている球体型のロボットによる身体検査を受ける。

 身体検査は、2体のロボが1人の周りをグルグルと回りながら上から下へと動き、それぞれに不審物がないかスキャンを行い調べる。

 博物館が提示した前提条件に従うため、真希達は元から武器をスサノオに置いてきて、博物館に持ってこなかったということもあり、身体検査は問題なく順調に進み、数分程度で全員の身体検査が終わった。


『はい。問題ありませんね。それではごゆっくりと、当館をお楽しみください』

「ああ、そうさせてもらうよ」


 入館の許可が出て、真希達はゾロゾロと博物館の中へと入っていく。

 博物館の中は、歩兵装備関係、航宙機関係、陸上兵器関係、航宙船関係、特殊兵器関係と5つの区画が別れており、真希達はそれぞれが興味を持った所に別れて行った。

 小銃や手榴弾、ナイフなどといった歩兵装備類がショーケースに綺麗に飾られている歩兵装備区画には、自称不仲のナディアと碧が居た。


「What?! Lピストル?!」

「えっ、そんなに有名なの?」

「地球初の軍用光線銃デース! まさかこんな所で見れるとは思いもよらなかったネー!」


 ナディアと碧は、ショーケース内に綺麗に納められている少し錆びた銃、Lピストルを見ていた。

 Lピストル。アメリカの軍需企業が、初めて実用化に成功させた軍用光線銃で、これを元に様々な企業が光線銃を作ったことにより、光線銃の祖としても有名な銃である。


「てか君、銃に詳しかったんだね」

「MP19を扱うにあたって、知り合いから様々な銃の知識を聞いていたネー!」

「成程…やっぱ、私も自衛用に何か作ってもらおうかな…?」

「スサノオ内の工場は、スサノオの砲弾やミサイルを作ってるから、多分銃も作れるネー。だから、ここでどういうのが良いのか、Let's take a look!」

「そうしようか!」


 Lピストルのショーケースの前に居た2人は、碧にぴったりな銃を見つけるために、他の物を見回ることにした。

 その頃、博物館の最北端、そこには特殊兵器区画があり、アルベルタとシャルル、ハーライの姿がそこにあった。


「ふーん。これが、噂に聞くジークダルク帝国が使用していた防衛兵器、ヴァナルガンドか…」

『はい。その通りです』


 アルベルタ達の視線の先には、窓ガラスを隔てて、巨大な一門の砲身が博物館の外に鎮座していた。

 200cm爆縮式荷電粒子増幅長砲身砲「ヴァナルガンド」。かつてのジークダルク帝国が使用していた全長120m、全高20cm程の対艦隊、対空用の超巨大砲である。200cmの巨砲から放たれるレーザー砲は、一発で準惑星を破壊するレベルの威力を誇る。そのため、ヴァナルガンドは第一次銀河間大戦中に、地球側が警戒した兵器の一つである。


『当館があるこの準惑星は、第一次銀河間大戦後まではジークダルク帝国領だったため、このヴァナルガンドが置かれていました。大戦後は、鹵獲兵器として研究がされ、その後、この博物館の目玉として、今も大切に保管されています』


 ハーライが説明するヴァナルガンドの砲身は、恒星ニヴルヘイムの光に照らされて、その強さとどこ言い表せれない禍々しさを兼ね備えて光る。


「…本当に、大きな砲ですね…」

「まぁあの国は、大きければ多いほど良いという文化があるからな。当時の上層部は、こういうのが好きだったんだろう……そんなことより、私としてはこのヴァナルガンドの仕組みが実に興味深い! 複数のエネルギーを砲身内で1つに収縮させて放つ。そして、その威力は太陽フレアの何十倍ものの威力を持つ…この技術と、スサノオの動力源(第七世代型質量動力炉)を使えるようにすれば……うんうん。実に面白そうだ!」

「…ああ、何故か嫌な予感が……」


 ヴァナルガンドの仕組みについて書かれてあるパネルを見つめながら、アルベルタはその脳裏に様々な兵器のアイデアを思いつき、シャルルは軽い目眩を起こしながら、アルベルタが暴走しないようにと、心の中で願った。

 一方その頃、真希はフラリアと共に、記念艦として保管されているホウショウの甲板の上に居た。


「…まさか、ホウショウの甲板にこうして上がることが出来るとはな…」


 真希は甲板の中央に立ち、そこから艦橋の方を見つめる。


 《真希さん、どうしてここ色合いが違うんですか?》

「ん? ああ、それか…」


 同じく甲板に上がっていたフラリアが、甲板の色合いが違う場所を指摘し、それを見た真希はその意味がすぐに分かった。


「第二次銀河間大戦が終わって間もない時、ホウショウは物資輸送や人員の輸送として使われていて、同年10月5日に退役が決まっていたんだ。そして、最後の任務として、捕虜として掴まっていた民間人を母星に届ける任務を務めていたんだが…その時に事件が起きた」

 《事件ですか…?》

「ああ、まだ戦争は終わっていないと思い込みが激しい過激派に襲われたんだ。どうやら奴らは、民間人を人質にしたかったようだ」

 《そ、それで…》

「護衛の無人機は壊滅したが、長年ホウショウの艦長をやっていた国原二郎大佐の迅速かつ、的確な判断と、奴らがホウショウをただのボロ船と思っていた慢心による戦力の少なさがあって、ホウショウは中破しつつも民間人を守り抜いて過激派を撃退したんだ。そこは、その時に負った損傷を直した場所だ。だから、周りと比べて比較的に新しい」

 《頑張ったんですね…この船は…》

「その通りだ。だからこうして、武勲艦として称えら、記念艦として大事にされている」


 真希から話を聞いたフラリアは、戦い抜いたホウショウを労るように、甲板を優しく撫でた。


 《それでしたら、あの戦艦も何か凄いストーリーがあるんですか?》


 フラリアは、ホウショウの隣にあるアリゾナを指さして、同じようなエピソードがないか、真希に尋ねた。


「そうだな…有名なのは……様々な戦役に参加したというのもあるけど、1番有名なのは、アリゾナの甲板の上で、第二次銀河間大戦の降伏条約を結んだことかな?」

 《あの船で、そんなことが》

「…歴史の授業で習わない?」

 《歴史って、授業で習うものなのですか? ああいうのは、そういう趣味か、興味があるものだけが覚えるものだと…》

「……うん、何となく奴らが何度も地球政府に、喧嘩を売る理由を知れたよ…」


 アリゾナについて話した真希は、神聖帝国と地球政府の文化の違いを何となく理解した。


「それじゃあ、今度はアリゾナの方に行ってみるようか。アリゾナは主砲を間近に見えるなんて、そうそうないからな!」

 《…船とか好きなんですか?》

「まぁな…地球艦なら諸元や歴史を事細かく言えるレベルで、船が好きだぞ」

(……もう好きというレベルではないのでは?)


 大の船好きという真希の意外な一面を見たフラリアであった。

 それから、真希達が博物館に入ってから数時間が経過した。

 見飽きたナディアと碧、フラリアはスサノオへと戻っており、博物館にはヴァナルガンド以外の特殊兵器を見て、その仕組みに興奮しているアルベルタと付き合わされているシャルル、そして、アリゾナの5回目の観覧を終え、6回目のホウショウの観覧を行うために、甲板に上がっている真希の

 3名が残っていた。

 はっきり言って、真希に関しては狂気のレベルである。

 そんな真希は現在、ホウショウの艦橋から見える景色を見て楽しんでいた。


「あー、もうずっと居たい…」

「ふむ…傭兵が客として来たと聞いた時は驚いたが…これ程まで船を愛してくれているとは…整備をし続けた甲斐があったというものだ」


 景色を眺めていた真希の元に、工具箱を片手に持った白髪の老人がやってきた。


「…どちら様ですか?」


 先程まで目を輝かせていた真希だったが、居ないと思い込んでいた人が居たことに驚きつつ、警戒する。


「なーに、そんなに警戒することは無い。儂は、この博物館で整備士兼館長代理として働いている寺山(てらやま)辰信(たつのぶ)という」

「これは失礼致しました。私は、現在貴館の停泊所をお借りし、修理を行っているスサノオの艦長、山明真希です」


 老人が館長代理ということを知り、真希は敬礼しながら自身の自己紹介を行う。


「傭兵と言う割には、軍人としての心が強いな」

「あの船で旅をするには、独立傭兵という肩書きの方が楽なもので…」

「成程、納得の理由だ」


 真希の話を聞き、辰信は微笑む。


「それにしても、寺山さんの腕には感服致しますよ…」

「ほう? 何故そう思う?」

「ホウショウとアリゾナは、どこを見ても不備は一切ありませんでした。今すぐにでも出港ができるレベルですよ」

「ふふっ、見る目があるな…ゾンビパンデミックが発生してからというもの、客足は遠のき、儂以外の職員が博物館に来なくなってしまってな…そりゃもう暇で暇で…暇つぶしとしてずっと弄っておる。それに、連邦軍の呼び掛けもあってな…」

「呼びかけですか?」

「嗚呼、なんでも現在の連邦軍は船が足りないようでな…民間船でも、記念艦でも動けるなら欲しいとのことだ。それをラジオで聞いてな…暇つぶしで完璧に仕上げていたコイツらを向かわせるのに調度良いと思ってな…今ホウショウの最終点検が終わったところだ」

「アリゾナの最終点検が終わり次第、地球政府に届けるということですか?」

「そういうことだ」

「旅立つ前に、ここに来れて良かったです」

「ふふっ、きっとホウショウ達もお主のような船好きと会えて、喜んでいるはずだ」

「そう言って貰い、有難いです」


 その後、気があった2人は、艦橋の好きな席にそれぞれ座り、楽しく話し合った。

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