第1話「スライム退治」
生成AIに手伝ってもらいながら書いてみました。
メイキングもアップしてありますので、興味のある方はそちらもご覧ください。
目を覚ましたとき、佐藤一郎は柔らかな草の上に横たわっていた。
「ここは……?」
頭をよぎる記憶の断片。会社からの帰り道、スマートフォンで異世界転生小説を読みながら歩いていて、トラックに轢かれた。
「ああ、やっぱり」
目を見開いて空を見上げると、そこには二つの月が浮かんでいた。青みがかった月と、赤みがかった月。
「異世界だ! 転生したんだ!」
一郎は思わず声を上げた。28年間の人生で読んできた web小説の知識が、頭の中で踊り始める。
暗い森の中、遠くに淡い光が見えた。まるで蛍のような青白い輝き。一郎は光源に向かって歩き始めた。そこで出会ったのは、ゼリー状の半透明な生物。大きさは人の頭ほど。体の中で青白い光が揺らめいている。
「スライムか! 異世界モノではお決まりの最弱モンスターだな」
一郎は近くに落ちていた木の枝を拾い上げ、剣のように構えた。
「HPは5くらいかな?」
そうつぶやいた瞬間、目の前に青く光る半透明の板が現れた。
『スライム HP:5』
「おお! ステータス画面だ! 異世界転生の基本機能きたー!」
一郎は木の枝を振り下ろした。スライムは意外な素早さで横に避け、反撃してきた。
「くっ、思ったより速い。でも、これでダメージ1は入ったはずだ」
『HP:4』
光の板の表示が変わる。一郎は得意げに笑った。
「これなら余裕だな。あと4回攻撃すれば……」
汗を滝のように流しながら、一郎は必死に戦い続けた。スライムの動きは予想以上に機敏で、何度も危うい目に遭う。それでも諦めずに攻撃を繰り返した。
『HP:3』
『HP:2』
『HP:1』
『HP:0』
「よし! 倒したぞ!」
しかし、スライムは消滅するどころか、むしろ一郎に襲いかかってきた。
「え? HP 0なのに?」
抵抗する間もなく、スライムは一郎の体に絡みついた。木の枝がシューっという音を立てて溶け始める。
「熱っ! 酸だ! 服が溶けてる!」
「誰か助けてーーー!」
「ったく、こんな所でスライムと戦うなんて物好きもいるもんだ」
一人の冒険者が現れ、特殊な粉をスライムに振りかけた。スライムは素早く後退し、森の中へ消えていった。
「ありがとうございます! でも、あのスライム、HP 0になったのに……」
冒険者は呆れた表情で一郎を見た。
「HPって何だ? それに、なんでスライムなんかと戦った? 溶解液で武器を溶かされるだけで、何の得もないぞ」
「え? でも経験値が入るはずじゃ……」
「経験値? ネバネバした奴と戦って何が学べるってんだ? スライムを倒しても残るのはドロドロの死骸だけだぞ」
光の板が再び現れる。
「あ、これ! ステータス画面です! 見てください!」
冒険者は首を傾げた。
「ただの魔法メモだろ。お前が喋った言葉を記録してるだけじゃないか」
一郎は凍りついた。服はボロボロ、全身が筋肉痛、そして何より――異世界の常識が、自分の知識とは全く違うことを思い知らされた。
「異世界転生したら最弱モンスターから……とか、考え直さないとだめですね」
「ああ、それと服も買い直せよ」
冒険者は笑いながら、一郎に古いマントを投げ渡した。