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nobody   作者: 福郎 犬猫
そして少女は魔女になる
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粗雑な魔女12

「あのチャミュエルさん、天使さんたちもう止めて帰ってください。そうしてもらえるならお仲間もお返ししますので」


破壊された街、天使、砂の大蛇この異常な光景の中に響き渡る少女の願い


この声色は優しく、何かを心配するかのような声で

だが、それに反して強制力を感じる

誰もが少女の声が頭に離れない

その理由はただ一つ、これは絶対的な強者による言葉


「何が起こっている」

ガスパールは騎士たちを引き連れて天使と戦闘するつもりでいた

だがそれは叶うことはなかった

天使は次々に砂の大蛇に飲み込まれていき、天使達はさらに上空へと避難していく

ガスパールは部下とともに城下を駆け回るが、破壊された建物、それに巻き込まれて横たわる人々

畏れていた事態が眼前に広がる

王なき今こうなることは予想はしていた

だからこそ王都には常に要所には騎士を常駐していたが、全体会議のあるこの日を狙われてしまったこと、さらに無作為に攻撃されているわけではなく警備の騎士の詰め所を優先的に攻撃されていることがわかる

つまりは全てバティストと天使により策謀によるものだと言うのだろうか

そしてあの砂の大蛇は何なのか

どこから発生したものなのか検討もつかない

あれのお陰で天使たちの攻撃の手が止まったことは明白だ


「ガスパール隊長」

ラウルがこちらに向かって走ってきた


「ご無事で」

「そんなことよりこれはどういうことだ、上空のあれは何だ」

「あの砂のやつですか、多分フェリシアちゃんがやったやつだと思います」

フェリシア・ベルーナ

ベルトランから才ある魔術士とは聞いていた

そしてテオドルスと関係の深い者

それぐらいの印象しかなかった。それは自分だけでなく、他の騎士もそうだろう

調査隊という目立つところにいながら、特に大きな成果を挙げたという話も聞かない

むしろベルトランがそうなるよう仕向けた可能性すらある

さらにあれは本当に魔術なのだろうか

魔術師は魔力が尽きると命に関わることくらいは知っている。ならあれはなんだ、人一人の力であんなことが出来るというのか


「市民の避難と救助は、俺と何故かアースレンの子たちで進めています。隊長はそれよりも高台の方へ。チャミュエルという天使もいるのであちらの応援に行って頂けると」


「わかった、エルネスト」

副官を呼ぶと、はっと言う声とともに現れた

「ここの指揮はお前とラウルにまかせた。なにがあるかわからん細心の注意をしろ」

「了解しました」

エルネストは指示を受けるとすぐに他の部下を集めて、ラウルと現状と今後の方針の打ち合わせを始めた


エルネストは騎士学校時代からの後輩で、剣の腕はお世辞にも良いと言わないが、策謀に長けた人物である

ガスパール隊の頭脳といって差し支えない


ガスパールはラウルに聞いたフェリシアの居場所を目指した



ガスパールはフェリシアのいる高台に近づくと上空にいる天使の中で槍を持ったものが目に付く

他の者とは違う風貌からもチャミュエルで間違いないとガスパールは判断した

チャミュエルを中心に天使たちが集まっており、フェリシアと睨み合う形になっていた


「どうなっている」

「あら、ガスちゃんじゃない」

「貴方はリオネルさんか、どうしてこんなところに」

「この状況よ。騎士じゃなくても皆で協力しないとね」

「それより、あの砂の大蛇は本当にフェリシアがやったのか」

「嬢ちゃん以外にあんなこと出来るやついるかよ」


ガスパールは予想していたとはいえ、この状況を作っているのが1人の少女であることにまだ信じきれていない。

自分が来てからもこちらを見向きもしない。

魔術の維持か天使に対してか集中している


「チャミュエル様、どういう状況なんですか。これ」

「ハスデヤか、私もわからん。是非とも誰かに教えてほしいものだ」

「こちらはアルマロスがやられました。殺される前に回収こそしましたが」

「そうか」


チャミュエルはハスデヤの報告に顔色一つ変えることなく、ただフェリシアへの警戒を解くことはなかった


チャミュエルの脳裏にあるのは、バティストの存在だ

バティストが健在ならばここからひっくり返すことも不可能ではない

だが、自分たちより前に動いているであろうのにまだ何の便りもない

ハスデヤと二人でならば、あの少女、いや魔女を殺すことは出来るかもしれない


「いやはや、やはり人とは油断ならないものですな」


両者の間から別の声が聞こえてた

声の方を探すと砂の大蛇の上に1人の初老の男がいた


その初老の男の姿は翼もなく、普通の人でもない

まるで見物客かのようにこちらをながめているようだった

そしてその男の足元の砂が赤黒く変色している

その変色は徐々に広がっていき、たちまち捉えられた天子のところまで広がる

そうすると天使たちから苦痛の声が漏れる


「貴方は何をしているの」

最初に声をかけたのはフェリシアだった

「いえね、皆さんの奮闘に感服しましてね。微力ながらお手伝いをと思いましてね」


天使たちの苦痛の原因はこの男から広がる赤黒いもので間違いない

フェリシアはそう判断すると


「ヴェフド(解除)」

「オルメディグ(浮遊)」


そう唱えると砂の大蛇はたちまち崩れていき、下の砂となり地面に戻っていく

天使を捉えていた部分と赤黒く変色した部分の砂のみはなおも空中に浮遊していた


「天使さん、早く仲間の救助を」

フェリシアはチャミュエルを見て叫ぶ


「おや、敵対していたのではないですか」

「私は誰にも傷付いて欲しくないだけ。だから邪魔しないで」

「強者の余裕というものですか、その余裕いつまで持つか見物ですな」

初老の男の眼光が鋭くなった

チャミュエルはすぐに部下たちに指示をして、捉えられた者達を救助する

その際、天使たちは盾を変形させて救助者を包むことで直接触れることなく抱えた

赤黒い何かに侵された天使たちははるか上空に運ばれていく


「貴様は何者だ」

「天使様に名乗れるような名前は持ち合わせてはいないんですがね」

「構わん答えろ」


「蠱毒のボティスと申します。そちらのお嬢さんも以後お見知りおきを」


チャミュエルは持っていた聖槍をボティスに向かった放つ

ボティスは気づいていないのか、はたまたわざとかその槍を受ける

ボティスの下半身は聖槍により消し飛んだ

下半身を失ったボティスはその場で崩れ落ちる


「ナファム(捉えろ)」


フェリシアの詠唱により、赤黒く染まった砂がボティスを飲みんこんだ


「人間、この場は預ける。もう我らがこの国を攻撃することはない。それだけは約束しよう」

そう言うと天使の集団は遠方へと飛んでいった


「おや、天使さん達はお帰りになられたのですか。」


捉えていたはずのボティスがその砂の上で五体満足、消し飛んだはずの下半身も健在で立っていた




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