表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
nobody   作者: 福郎 犬猫
そして少女は魔女になる
69/86

粗雑な魔女10

聖剣 マルサラン(響き奏でる者)


アルマロスはそう言って二刀の短剣を構えた


「クリスさん、あれテオの魔剣と一緒でなにか細工があると思う気を付けて」


マティアスが忠告をする

無論ただの短剣だと思っていたわけではないが

かといって何を対策すればいいのか検討もつかない

アルマロスが差し出した剣を素直に広い上げる

一目で名剣だとわかる、短剣よりもこちらがいい

アレク様に短剣を返すと

「クリス」

名前だけ呼ばれた。その瞳を見ると色々なことを伝えたかったのだろうが、言葉を探しているのだろう

優しい人だ。私に何を言うべきかずっと今も考えてくれているのだろう

「大丈夫ですよ。必ずあなたの元に帰りますから」


そう言ってアルマロスに身体を向ける

もっと気の利いたことが言えないかという反省はまた後だ


「わざわざ待ってくれていたのか」

「この剣を出した以上、主に恥じない戦い方をしなきゃいけないんだ。だから出したくなかったんだけど」


アルマロスは少し落ち込んでいるようにも見えた

そのいじけたような表情のままこちらに向かってくる

アルマロスの短剣を剣で受けると


キィィィィーという嫌な金属音が頭に響いた

それでもとアルマロスと剣を交わすが、耳障りな金属音が頭から離れない


「やっぱこれ苦しいのか」

アルマロスはキョトンとした顔で自分の両剣を眺める


「クリスさん、大丈夫ですか」

後ろからマティアスの声が聞こえてる

「お前たちは大丈夫なのか」

「何がですか」


どうやらこの金属音は打ち合いをしている者にしか聞こえないらしい

だとしても厄介だ

剣を当てることなく、アルマロスを斬ることは難しい

どうしても打ち合いの末、隙を作るしかない

ただこの金属音は気分を害するだけでなく、頭に響くことで思考も妨げられる


アルマロスはあくまでクリストフから狙うということは変わらないようで

弱気な表情で短剣を振ってくる

何度も剣をぶつけると気色の悪い金属音でめまいや吐き気がしてくる

それでも耐えて剣を振るい続けると

マティアスが空気弾をアルマロスに打ち込む

アルマロスに大きな隙が出来たのに、剣を振るうことができない

気づけば片膝をついていた


「クリス」

アレク様の呼ぶ声が聞こえるが、それがどこから聞こえるかもわからない

頭が回る

少し落ち着いたところでアルマロスの方を見ると既に立ち上がっていた

「この魔術別に当たっても死にやしないんだけど、遠くに飛ばされるのは厄介だな、でも肝心のクリスくんがこのざまじゃね」


アルマロスは調子を戻したらしく

少し愉快そうにしていた

「でもねクリスくん、これは名誉なことなんだよ。女神様が作った武器で死ねるなんて。立派な騎士と認められた証拠なんだから」


こいつが話している内容なんて今はどうでもいい

何か対策を考えないと全員死ぬ


「マティアス、俺を巻き沿いにしてもいい。あいつを殺せる魔術はあるか」

「何言ってんだよ。そんなこと」

「できるのか」

つい大声で叫んでしまった

「わかんないけど、威力の高い魔術なら」

「そうか頼んだぞ」


アレク様と目が合う

彼女の瞳は今まで見たこともないほど力強いもので、まるで必ず生きて戻ってこいと言ってるかのようだった


「そう気張らなくてもいいんじゃないのかな」


アルマロスとは別の方向から気の抜けた声が聞こえてくる

ベルトランだ


ベルトランの背後にはヨランダ、マルグリッド、イネスがいる

トーマはいない、それが負傷なのか、別の理由かはわからないが

今はこの援軍を喜ぶことにする


「ガスパールじゃなくてごめんね、彼は自分の隊を率いて市街の方に行ってしまったんだよ。君の部下の言う通り」

マルタンは俺の指示を果たしたのか


「隊長」

マルタンの声が聞こえた

「よくやった」

「でもトーマが」

「いや、トーマは私を庇って」


「君の部下が優秀だってことがわかったから、ゆっくり休んでいなさい」

「それはできない。ここに残るのはベルトランとマティアスと私だけだ、あとは王女を連れて避難しろ」


「はい分りましたって僕が言うと思うの」

アルマロスが口を挟む

「確かに、この人数を相手にするにはしんどそうだな。そこのおじさんはクリス君くらい強いんだろ」

「僕はそこまでではないよ」

「いいよそういうの、それよりどうしてこの聖剣が二刀なのかわかるかい」

アルマロスはなぞなぞでも出すかのように問いかけた


それに誰も答えないでいると

「そっか、誰もわからないか。答えはね」

そういい終わる前にベルトランがアルマロスに向かって斬り込んだ

アルマロスは背後に飛んで避けた

「最後まで言わせてくれよ」

とアルマロスは自分の両手剣同士を軽く当て始めた

カツン、カツン

ただの剣同士が当たっている音だったが、すぐにあの気色の悪い金属音へと変わった


キィィィィ


また頭の中で響く

今度は俺だけではなくベルトランや他の者に聞こえるようだ

背後から苦しむ音が聞こえてくる


「まあ、面倒くさいことしないで始めからこうしてたら良かったんだけど。やっぱ奥の手使うなら格好良く勝ちたいからさ」


アルマロスは各々が苦しむ様を近くで見るために下降する

それに気付いたクリストフとベルトランは剣を振るが、普段のものからはかけ離れた剣戟は簡単に避けられる


「すごい、すごいな。この状態でも剣が振るえるなんて、人間が捨てた物じゃないね」

愉快そうに言いながらアルマロスは剣を当てながら

ベルトランとクリストフを蹴り上げる


「ま、それでもそろそろ終わりかな」

アルマロスが満足そうに言い放った。その時の


「アサダヨ、アサダヨ」

派手な色をした鳥が開いた壁から入ってきた

アルマロスはそれを気にすることなくいると

その鳥は苦しんでいるアレクサンドリーヌの肩に止まる


その時、アルマロスを炎が包みこんだ


「うわ、熱、なんだよ、これ」


アルマロスが剣を当てることを止めると炎は消えた

「まさか、これは」

ベルトランがこの光景を見て呟く


「何だよ、さっきのは魔術か。また新手かよいい加減こっちも終わらしたいんだよ」

そう言ってまた剣同士を当てようとした時

また炎がアルマロスを包んだ


アルマロスはその熱さに悲鳴を上げる

その間にそれぞれが正気に戻る


「やはりこれは王の力なのか」

そう言ってベルトランは王女たちを見る

王女達は互いに顔を合わせて、困ったような顔をした

「そんな物、今はどうでもいい」

「そうだね、あとで調べればいいはずだ」

炎が消えて立ち上がるアルマロスに近づきながら話す

「わかっていると思うが、やつの剣には触れるなよ」

「それは痛感したよ。なんとかやってみるよ」

二人はアルマロスに向けて剣を構える


「クソ、人間ごときが」

アルマロスが剣同士を当てようとした時に

クリストフとベルトランが切り込み、先にアルマロスの両手が切り飛ばされた


「クソ、クソ」

両腕のなくなったアルマロスは二人を睨みつけながら後ずさる

「大丈夫、君は殺さないよ。君には聞きたいことが山程あるんだ」

「素直に格好良く切合をしていたら、勝てたかもしれないのにな」

「クソが」

二人がアルマロスを捉えようとした時

「無様だなアルマロス」

外部の上空から声が聞こえるベルトランとクリストフに向けて魔弾が飛んでくる

二人は難なくそれを避けるが、アルマロスと距離が出来てしまった


気づけばアルマロスは2人の天使に抱えられて、上空にいた

「何しに来た。ハスデヤ」

「お前を助けにだ。女神様に感謝するのだな、お前が聖剣を出した時に私に援護するようご命じになられたのだからな」

「うるさい、まだ終わっていない」

「どう見てもお前の負けだアルマロス。まさか聖剣を使ってまで負けるとは名持ちの恥晒しめ」

「違う、変な力に邪魔しなければ。今頃僕が」

「たらればで喚くな。鬱陶しい」

ハスデヤと呼ばれた天使は

こちらを見ながら言う

「この戦いの勝者はお前たちだ。だから俺はお前たちに何もしないが、その代わりこれは持ち帰らせてもらう」

ハスデヤとアルマロスははるか上空に消えていった


「アレク様、お怪我は、お加減が悪いところは」

クリストフがアレクサンドリーヌに駆け寄る

彼女は何も言わず、クリストフを抱きしめる

「アレク様、こんな人前でいけません」

「大丈夫、誰も見てないわよ」

「私達も何も見てませんから」

「さっきのは王の力だと思うんだけど、どちらが継承したのかな」

「隊長、その話はあとにしなさい」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ