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nobody   作者: 福郎 犬猫
そして少女は魔女になる
66/86

粗雑な魔女7

部屋を出てから走る

騎士団全員にこのことを知らせなければならない

そして、この方も守らなければいけない

「ジゼル、このことを騎士たちに知らせろ。警報を鳴らすよう指示しろ」

「ですが、ソーニャ様は」

「俺が守る、早くしろ」

ジゼルに隊長の証である勲章を投げ渡す

ジゼルは分りましたといって、本部の方に引き返す

あとは、アレクサンドリーヌ様とソーニャ様を何処へ連れて行くかだが

隊長のほとんどがあの会議室にいるのだから、警報が鳴っても迅速な対応は期待できない

ここは不本意ではあるが、本隊がもう安全な場所と断言できない以上調査隊に頼るべきか

ヨランダとラウルあたりなら警報だけで事体を察することができるはずだ

「調査隊の方に向かいます」

2人の王女はそれに頷くと俺に続いて走り出す

人手が足りない

本来なら王家の護衛なのだ殿もいるのが当然のことだ

それでもいない者を頼ることはない、必ず2人は俺が、いや私が必ず守る

調査隊へ向かう道中、何人かの騎士とすれ違うがこの光景に驚くことはするが不思議そうにこちらを見ている

「敵襲だ、本部会議室に向え」

騎士達は戸惑いながらもそれに従う

それに多少の苛立ちを感じながらも先を急ぐ

「クリストフ隊長」

背後から聞き覚えのある声が聞こえる

「イネス、トーマ、マルタン」

背後を見ると隊の部下たちがいた

「ジゼルから簡単な説明を受けました」

「ご指示を」

思わぬ増援に喜ぶ猶予はない

「イネス、トーマは私と共に王女達の護穎を、マルタンはガスパール隊に事体を知らせろ」

は、と声と共にマルタンだけが別方向へ向かう

ただ問題は進む速さだ。姫たちに合わせていたことで、部下が追いつくことは出来たが、これでは遅すぎる

「アレク様、失礼します」

きゃという声を無視して、彼女を抱きかかえる

イネスにもソーニャ様に同じことをするように目配せする

不敬なことだが、イネスも女性だここはソーニャ様に我慢していただくしかない

移動が速くなったところで、大きな鐘の音が聞こえる

この回数が何なのか騎士ならすぐわかるはずだ

あとは二人を少しでも本部から離れさせるだけだ


しばらく走って、調査隊まであと少しというところで

窓側から爆発音が聞こえる

室内に誰かが入ってきたようだ、外にもいるだろう

王族をあの場で全て殺せないこともバティストの想定ないというところか

進行方向でも同じような爆発音が聞こえて、煙の中から1人の天使が現われる

信じていなかったわけではないが、眼の前にするとなかなか飲み込めそうにない。だが、今その必要はない敵という認識ができているなら充分だ


「何処へ行こうというのさ、この国に安全な場所なんてないのに」


これで挟まれてしまったというわけか

「イネス、トーマここで戦うぞ」

アレク様を下ろしながら指示をする

「二人はできる限り壁側へ、窓から敵の攻撃が来るかもしれない」


「待たせてすまない。1つ訪ねたいのだがこの中で一番腕が立つのは貴様か」

「だとしたら、どうだというのさ」

「気にしないでくれ、たいしたことじゃないんだ」

そう言いながら剣を構える


天使達は一斉にこちらへと飛びかかる

目の前の天使が指導者なのだろう、この天使と他の人間天使には大きな力量の差があるように感じた


その天使がこちらに考える余裕を与える気はないらしく、他の天使に指示をしたあと、こちらに来る


相対した天使と剣を交わす

この天使の剣の腕前はやはりたいしたものだ

どちらが強いかなど考える気はないが、屋外ならきっと飛行能力に手も足も出ずに負けていただろう。ここが飛ぶのには狭い廊下で良かった

背後のトーマとイネスを気にする余裕もない、2人なら上手くしてくれるだろう。時間を稼ぐだけでいいのだから


剣がぶつかり合い少しの時間膠着状態になった時、天使の背後から

「アルマロス様」

という声と共に魔術の弾丸が2発放たれた

アルマロスは上空に飛び、それを躱す

この弾丸自体を躱すのはそう難しくないが、躱せば姫たちに当たると直感したので

剣とこの身体で受ける

アルマロスの背後には2人の天使がいた

「クリス」

背後からアレク様の声が聞こえるが、今はそれに返す余裕がない

「君すごいね、これが忠臣ってやつか。でもその姫様達に君ほどの男が命をかける理由はわからないね」

「黙れ」

「それともあれか、君は後の姫様のどちらかと恋中というやつなのかい。それなら納得だよ。力を継承されていない何も出来ない姫様に何の価値もないからね」

「黙れといっている」


後を見る余裕はないが、きっとアレク様は俯いていることだろう

だからこそここにいる全員に聞こえるように叫ぶ

「私がこの二人をお守りする理由は、優しく聡明な方だ。王の力を持たなくともきっとこの国には必要な存在となるただそのためだ」


アルマロスと呼ばれた天使は少し愉快そうな顔をしていた

「なんだ、ただ立場や地位に従順なだけの犬じゃないってことか」


アルマロスはもうこちらと話をするつもりはないらしい

しかし、先ほどの魔術の弾丸はそう何度もうけられるものではない

天使たちには一人でやるような騎士道精神なんてものは期待しない

時間を掛けてでも確実に王女を殺すようだ

アルマロス先行してこちらに来る

それを通すわけにはいかないので剣で迎え撃つ

そして何度めかの打ち合いのあと魔弾が飛んでくるのでそれを受ける

なんて安易で効果的な戦法なのだろうか

「クリス、もうやめて貴方だけでもにげて」

後ろからあの人の声が聞こえる、逃げるとは何処へ

その逃げた先に何があるというのか

答えは簡単だ。何もありやしないのだ。あのか細くきれいな声も、少し遠慮しがちにする微笑みも、温かい紅茶もなにも

仮にこの場を切り抜けることが出来れば、それが守られる

だとしたら俺のすべきことはなにも変わらない

2度目の魔弾をうけたが、まだ大丈夫だ

再び剣を天使アルマロスに構える


アルマロスは苛立ちの表情を隠すこともない

その表情のままこちらに来る

また何度も剣を打ち合い、それで魔弾が飛んでくる

今度は違うのは上空に飛ぶアルマロスを気にせず、前に走りより前方で魔弾をうけるが、それに怯まず配下の天使を斬る

2人同時にといきたかったが、一人は確実に斬った手応えがあった

それを見たアルマロスは王女に斬りかかろうとしていた

それを確認する前に握っていた剣をアルマロスにむけて投げる

アルマロスもそれには気づかず、剣はアルマロスのわき腹に突き刺さる

アルマロスの動きが空中て止まった

すぐさま王女の元に向かう王女とアルマロスの間に入るとアルマロスと目があった

「君はすごいな」

アルマロスはそう言ってこちらに剣を振り上げる

「クリスこれを」

背後の王女から手渡されたものでそれを受け止める

手渡されたものは短剣だった。以前自分が護身用にと王女の誕生日に渡したものだ。そういえばその時のアレク様は少し残念そうな何とも言えない顔をしていた気がする


短剣とはいえ、王女の護身用にと上等な物を選んだ

お陰でアルマロスの剣を受け止めることが出来た

アルマロスはこちらから距離をとる


「アルマロス様、お体は」

「大丈夫だよ」

そう言ってアルマロスは突き刺さっていた剣を抜き取り、屋外へと投げ捨てた


驚いたのは、剣が刺さっているところから出血も何もなく、ただ剣の形の空洞だけが開いていた


アルマロスに駈け寄った天使は1人だけのようで、片割れの姿を探すが死体すら見つからない

天使を斬ったであろう場所には泥の山があっただけだった


今そのことに対して考察する必要はない

現状は天使が一人減ったとはいえ、こちらは剣を失いあるのは使い慣れていない短剣だけだ


アルマロスは先ほどとは違い無表情でこちらを見ていた

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