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nobody   作者: 福郎 犬猫
そして少女は魔女になる
64/86

粗雑な魔女5

今日もいつも通り部隊室にいた

ベルトラン隊長以外の皆が集まっている

ヨランダさんの話によると朝一の会議が終わったら、隊長は部隊室に顔を出す予定だそうだ


ファルカーの昨日の様子とブレイズさんの話から、バティスト顧問が何かを握っていることは間違いない

ただ顧問は後輩の指導に熱心にしていたことから、騎士からの人望があつい。この人のことを本人に気取られず調べるのは難しい


そうこう考え事をしていると

警報の鐘がなる

この警報は敵が攻めてきたことを意味している


敵とはなんのことか

考える前に窓から景色を見る

この部隊室は端に位置しているので全てを見渡せるわけではないが、そこから見えたのは


天使の軍勢だ


それを見るとブレイズさんは窓から何処かへ飛び去ってしまった


「フェリシアちゃんとラウルくん、フォルカーは市街へ、マティアス君とマリーちゃんは私とソーニャ様の元に向かって」


ヨランダさんがすぐに指示をする

全員すぐに準備を済ませて、部隊室を飛び出す


私はラウルさんとフォルカーと市街地へと急ぐ

この半年間の修練とお父さんから受け継いだもので皆を守るんだ





バティスト名誉顧問

まさかここまでとは、鐘がなってからまだあまり時間が鳴ってからまだそこまでの時間が経っていないはずだが


もうこの場で立っている、いや生きているのは

私とガスパール、オーギュスト団長、ファブリス隊長の4人だけだった

どの隊長も逃げ出すこともなく、この国の敵としてバティストに剣を向けたのだが、皆もう立ち上がることすら出来ない


「なぜです。バティスト殿、この国を王に代わって騎士の国にするとおっしゃったのはあなたではないのですか。皆がそれに感銘を受け賛同したのですよ」


グワハハハ

汚い耳障りな笑い声が響く


「思いあがかるな童、ただの人間が人の上に立てるはずがないだろう」

「ではあの思いは」

「出任せに決まっているだろう。俺に縋ろうとするな鬱陶しい。これもすべて敵を炙り出すためにしたことだ。お前達の役目はもう終わったのだ。死ぬなり逃げるなり好きにしろ」


ファブリス隊長の顔は絶望に染まっていた

改革派は、少なくともこの人は権力で動いていたのではなく、本気でこの国のことを考えていたのだ

だからこそ絶望は大きい


「悪いな待たせてしまって、お前達3人は逃さない必ず殺す


バティストはもはやファブリス隊長を見ることもせず

こちらに目を向ける


ガスパールが最初に切り込む

バティストはそれを受け止めるのではなく、避けてガスパールの隙を狙うので私がそれを受け止めるが、剣を弾かれてしまった


何だ力ではない、この男は技だけで剣を弾いたというのか

剣では間に合わないと判断しせめて体で剣を止めると決めて、体を前にだす


バティストの剣は空を切る

団長が私を後ろに引っ張ったのだ


「お前達無理に突っ込むな、私が主に相手する。援護しろ時間がいくらかかったとしてもこいつはここで殺す」


団長とバティストが剣を重ねる

団長でもバティストについて行くだけでやっとだ

それでも隙とも言いきれない隙に剣をいれるが、バティストはそれをすべて往なす


3人を相手にしてもバティストには余裕がある

団長は時間を掛けてでもと言ったが、天使の軍勢が来ているということなら時間を気にしなくていいのはバティストの方だ


幾重にも剣戟を重ねたことからわかる

この男に私達を殺す気はない、正確には無理に前に出て隙を作らないようにして時間を稼いでいるようだ

多くの隊長を失った今、騎士団の指揮系統はめちゃくちゃだ。クリストフも王女たちを守らなければならない

なら天使とは誰が戦うというのだ


当然バティストもそれを理解して、消耗戦を仕掛けている

仮にこの男に勝てたとしても私達もただではすまない


もう考え事をやめた

それでこの男を殺すために剣を振るう


どれだけの時間が過ぎたのだろうか、永遠かはたまた一瞬か。息があがる、それは私だけでなく他の2人も同じだ


それでも目の前の老人は息が乱れることもない


「もう終わりだな」

バティストがこちらに来る

悲鳴を出し始めた体にムチを打って応戦しようとした時


突如、バティストに向けて剣が飛んでくる


両者の動きが止まる

すると今度はバティストの後方から剣が飛んでくる

バティストはそれを察知して横に飛ぶ

剣は我々に来ることなく、空中で止める

剣は再びバティストの元に向かう今度は3本同時にだ

バティスト一本を交わし、もう一本を弾き、さらにもう一本を交わそうとしたが、最後の剣はバティストの頬を掠めた


バティストは私達からも距離を取る

バティストの目線は私達ではなく別の方向を向いている


そこには2人の男がいた、1人はまだ少年の名残があった


少年の方が

「あんたがバティストと間違いないの」

「如何にも俺の名前はバティストだ」

「そうか、ありがとう。人違いならどうしようかと思った」

「人にばかり質問するな、お前が剣の王か」

「いや違う、俺の名前はルードウィク・アルマンだ」

そう言って、少年が手をかざすと幾重の剣が一斉にバティストを狙い打たれた





王都市街地の空に天使達がいた

天使は手のひらから黄色の弾丸を放ち、民家を破壊していた

それに市民は逃げ惑うしかできなかった

上空からではそう簡単に手出しができない

「ひどいな」

ラウルさんがつぶやく

天使が地獄絵図を作り出すとは言いようのない光景だ


「どうして、こんなことを」

空に向かって、叫ぶ

「私達とて本意ではない、だが主が決めたことだ」

「あいつは確かチャミュエルとか言う天使の親玉だ」

「そうか、お前はあの時の生き残りか」

「テオドルス・フォン・エスターヘルムはここにはいないのか」

「教えるとでも」

「そうか残念だ」

チャミュエルの隣にいた天使が黄色の弾丸をこちらに放つ


「ジス・アラフ(盾)」


盾の魔術を発動させて、それを防ぐ

私の魔術にチャミュエルの目が少し大きく開いた


「驚いた、テオドルス以外に神の法を使えるものがいたのか」

神の法

彼らは古代魔術をそう呼ぶらしい


「ラウルさん、フォルカー、魔術で応戦します。援護してください」

「オッケー」「おうよ」

2人は私の願いに答えてくれた


「あなた達の目的はなんですか」

「ただの炙り出しだ」

「何を炙り出す気だ」

「決まっているだろう、女神様の敵をだ」


チャミュエルは急降下してこちらに来る

その手にはもちろん剣が握られている

フォルカーが咄嗟に反応して、チャミュエルの剣を受け止めるそれに合わせて


「ゴン・ジバン(石の礫)」


瓦礫をチャミュエルに向けて飛ばさが

また上空に飛ばれてよけられた


彼1人に苦戦しているうちに被害は大きくなる一方だ

「ここは二人で行けそうか」

ラウルさんが尋ねる

「もし大丈夫そうなら市民の避難誘導をする。この街の地下にはいくつか避難所がある」

「なるほどね、この国はとっくに天使やら化物と戦う想定をしてたってことか」


「わかりました。行って下さい。ここにいる天使は私とフォルカーで引き受けます」

「すまない」

「目眩ましをするのでその内に行って下さい」


「ベタルド(煙幕)」


周囲に煙を発生させる

煙は上空へ昇っていき、その隙にラウルさんは市街の奥へと向かった


「2人だけでとは殊勝なことだ。その程度の魔術でどうにかできると思っているのか」


「この嬢ちゃんを見くびると痛い目見るぞ、天使様」

フォルカーがこちらに注意を払うためか挑発のようなことをする

始めての実戦なのに、自分でも驚くほど落ち着いている

テオは、彼は一体どんな思いで天使や魔人と戦っていたのだろうか


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