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nobody   作者: 福郎 犬猫
そして少女は魔女になる
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粗雑な魔女1

朝目を覚ますと日はとっくに昇っていた

もう長いこと朝食も作らず、簡単にパンで済ませている

ビアちゃんは私が飼うことになったが、彼はもう人の食べ物しか受付なくなったので彼にもパンを細かくちぎって渡す


身支度を急ぎ足で済ませる

最後に髪留めで髪を束ねるて部屋を出る



王の殺害から半年以上の時間が過ぎた

王の死については、未だ公表できない状況だ

遺体については、秘密裏に火葬して弔ったものの、国民には大病を患ったと発表することしかできなかった


そんな状況にとどまることが出来たのは、第一王子であるジュリアン様の手腕によるものだ

彼は前王とは違い、国民の前にもよく顔を出すようになった

彼の手腕は凄まじく、すぐさま国民の信頼を勝ち取ったのだ

皆が思う、王が死んでもジュリアン様がいると不安な声はなかった

それはあくまで市民達の声だけだが

騎士団上層部ではジュリアン王子の活躍が面白くない思わない人がいるらしい

王子は力の継承はされていない、証がないのだ

この国では王家の存在はそこまで重くない。あくまで王の親族という意味しか持たない。

力が継承されていないということは、神から王と認められないと考える者もいる

今はジュリアン王子にオーギュスト騎士団長が後ろ盾となっている穏健派と騎士団上層部によって王に頼ることなく国家運営をする改革派に別れている

現状は民意もあり穏健派が優勢だが、王の死が世に広まるとすぐに逆転するだろう


そんな奇妙なバランスでこの国はなんとか体裁を保つ事ができている


そんな変わり行くなかで、私は騎士団での在籍が1年を過ぎた

独立部隊はジュリアン様とオーギュスト団長の働きかけのお陰で第2王女ソーニャ様の護衛騎士団となった


私は今日も部隊室への道を歩く

ここ半年は肩にビアちゃんことバイアーの姿をした前王ブレイズ・ルネール=ド・シュヴァリエがいる


部隊室について扉を開け、おはようございますと声をかけると


「遅いですよー、フェリ先輩」

私に一番最初に声を掛けてきたのは

マルグリッド・サン=シールという身支度に置いて一切の妥協がなさそうに整えられたその少女は今年からこの独立部隊に配属となった新人だ

騎士学校で優秀な成績を納めてなお、彼女がこの隊にいる理由は本隊の隊服が気に入らなかったそうで、彼女の父親は改革派の中枢にいる騎士だそうでほぼ勘当状態となっているそうだ

彼女は年の近い同性ということからか、よく私に話しかける

「ごめんねマリー、今研究が行き詰まっていて」

マリーとはマルグリッドのことで彼女はこの名前が気に入っていないらしくマリーと呼ばないと不機嫌になる

「先輩可愛いからって油断してると、夜ふかしばかりだとすぐ肌に出ますよ」

彼女の注意を笑ってやり過ごして、自分の席につく

「もったいないですよ。フォーさんとマーさんもそう思いますよね」


マーさんと言うのはマティアスのことだ

「マルグリッド、何でフェリシアが先輩付でそのさらに先輩の俺はあだ名なんだよ」

「マリーです。それにマーさんはマーさんって感じがするし」

それは何となくわかる気がする

問題はフォーさんと呼ばれたほうだが

「まあ、呼び方何てなんでもいいじゃねえか」

と豪快に笑うのはあのフォルカーだ

牢屋にいた彼だが、彼の雇い主であったミッテランも含めてたいして証拠も出ずに、扱いに困っている時にフォルカー自身が私がの命令なら従うということで私の部下にしてほしいとの申し出があった

当然そんな要求通るわけもないと誰もが思ったが、何を考えてかジュリアン様が強引に彼を独立部隊にねじ込んだのだ

たしかに国力を考えると彼ほどの剣士が味方なら心強いが、味方になる保証は何もない

でも彼は今も任務以外には騎士団から出歩けないが、自由の身となったのだ


あとはベルトラン隊長に、ヨランダさん、ラウルさんという見知った顔だ


「マリーちゃん、たしかにフェリシアちゃんは最近いつもギリギリだけど遅れたことはないからそう毎日言わなくていいじゃない」


ヨランダさんがマリーを嗜めた

彼女も今や実質的なこの独立部隊のリーダーとなっている

ベルトラン隊長は席こそまだ独立部隊だが、今では本隊にいることが多い

その理由は改革派との力関係によるものだ

王族を中心とした穏健派はオーギュスト団長の他にはベルトラン隊長、ガスパール隊長、クリストフ隊長という隊長としては若い面々が主となっている

対する改革派はベテランの隊長が多くおり、あのバティスト顧問もその一人だ

一見拮抗しているように見えるが、騎士団としてよ穏健派の立場は弱い。ということでベルトラン隊長は前とは比べられないほどこの部隊室にいることはない

今日も隊長は朝から王城での会議に出席するようで、私が来る前に部隊室を出てしまったそうだ


「ていうか、こんな内輪揉めしてていいんですかね」

「本当はそういう状況でもないのだけれど」

純粋なマリーの疑問にヨランダさんが言い返せないでいる

「マリー嬢ちゃん、そうヨランダちゃんをいじめるな。くだらないが面子やらなんやらがあるんだよ」

「なんですかそれ」

「王がいないんだからここで言ってもしょうがないよ」

「えー私は断然ジュリアンさま派だな。賢くて優しいし、それに」

「それに」

「だってイケメン何だもん、改革派の連中って皆眉間にシワを寄せたようなのばかりだし」

「その中にマリーちゃんのお父さんがいるんじゃなかったっけ」

「あんなクソ親父どうでもいいでーす」

マリー、マティアス、ラウルさんが会話をしている


私は知っている王はまだこの国にいることを、というより私の肩に止まっているのだけど

ブレイズさんが言うにはこの情報はしばらく秘密にしてほしいと言われた

ブレイズさんとテオの思惑の全ては私にはまだわからない

まさかこの二人が繋がっていたとは夢にも思わなかった


マティアスたちが帰ってから今まで剣の国、テオからなんの便りもない

テオ達はまた行方が分からなくなった。あれから何度かスタッドの街を調査したが、あの事件からすぐに街を出たそうだ

マティアスのお母様が私にだけ内緒にと今は他国にいることを教えてくれた


そんな思いにふけっていると

「元気にしておるか、我が騎士たちよ」

とソーニャが勢いよく入ってきた

後ろには従者のジゼルさんとベルトラン隊長もいた

「ソーニャ様、どうしたんですか」

「ソーニャ様」

「公の場では勘弁してください」

「冗談よ、少しからかっただけじゃない」

マティアスとソーニャはあの一件からより仲睦まじくなった。それを見るとめでたいことであるような恨めしいような感情を抱いてしまう

「フェリ、大丈夫」

ソーニャは私をいつの日からかそう呼ぶようになった。心配そうに私の顔を覗く彼女に笑って返すと分かってくれたようだ

「今日はお前達に仕事がある」

そうソーニャが叫ぶと皆がソーニャではなく、ベルトラン隊長を見る


ベルトラン隊長は皆の視線を無視して、自分の席についてから息を一息吐いた

本当にお疲れのようだ


「仕事というと調査ですか」

ベルトラン隊長が自分から切り出さないの理解してかヨランダさんが尋ねた

「そうだよ」

ベルトラン隊長はかすれた声で返した

「調査ってどこを、俺の耳には怪しい情報は入ってきてないですよ」

「スタッドだってなら行くのは何回目ですか」

ラウルさんとマティアスの声に隊長は何も答えない

うほん

ソーニャが下手くそな咳払いをした

「調査するのはこの王都、騎士団よ」

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