勇者は死して何度でも生を受ける
あの戦いからもうすぐ千年経とうとしている
この千年あらゆる視点から人間を見てきたが
どいつもこいつも能天気で自分勝手だ
これがあの戦い結果だというのなら、直視したくないものだ
千年前に彼女は女神になった
いや、ならざる負えなかったのだ。他の人間があまりにも不甲斐ないからだ
当然その中に私もはいっている。あの時の私は己の剣だけで彼女を守れると思っていた
その戦争の最中に彼女は私を含め、6人の人間に魔術を授けた
信頼できる人間だからこれで勝利したあとも正しく人々を導くと彼女は信じていたのだろう
戦争を先延ばしにすることに成功したが、如何に神となった彼女と6人の王ではあの存在に敵わなかった。彼女の起点で封印できたが、時間稼ぎをしただけにすぎない
それは皆もわかっていたはずだ
封印後はそれぞれ散り散りとなり、復興と必ず起こる厄災に備えることとなった
私はただひたすら剣を極めるため修行で各地を放浪した。彼女が私のためにと渡してくれた剣をたずさえて、この剣は必ず折れない作りになっているので、扱う者の技量に依存する
放浪してわかったが10年もすれば、人々の頭の中から戦争の存在が小さくなるのを感じた。皆過去のことより、復興にご執心だった
初めは仕方のないことだと思ったが、復興が終わった状態でもそれは変わらなかった
王でさえ自国の繁栄しか考えなくなる始末だ
確かに彼らの代であの化物が現われることはない。ただ遠い未来必ず封印が解かれる
その時誰が戦うというのだ
はじめのうちは私と女神で各王に働きかけたが、皆一応は聞く耳を持つがそれだけだった
代が変われば話すら聞くことすらなかった
その内私達が死力を尽くして戦ったあの日々はおとぎ話となってしまった
それに絶望したのは私ではなく、女神だった
何より彼女を絶望させたのは、戦争を知っている世代が次の戦いを遠い未来のこととしたことだろう
人は愚かなことで痛みがないと傷があることに気づくことはできない。
女神はその後人と関わることはなくなった
最後に会った彼女は翼の生えた者達と共にいた
彼女が魔術で作ったそうだ
彼女はあの時、人類が滅びる定めではなかったのではないかと言った
耳を疑った
あれ程まで他者を慈しみ、慈愛に溢れていた彼女が人を信じていなくなっていたのだ
それさら直接彼女と会うことはできなかったが、時折天使たちを見かけることはあった
天使たちは魔術や技術の革新に触れる者を始末していた
女神はそれでも揺れているのだと思った
人と神との間で
だから私も剣を振るうことをやめない
幾度顔や体が変わっても、性別が変わっても私は剣を振るいつづけた
彼女が1人ではないと叫ぶ代わりに
そしたらいつの間にか千年近く時が過ぎていた
その頃に天使が数百年ぶりに私に接触してきた
天使が女神からの授かった言伝は
魔女を殺してほしい、王以外の特別な存在は認めてはいけない
あれでは人類全体の審判に影響が出る
言葉の全ての意味はわからなかったが、彼女は歪みながらも人が滅びることにまだ迷いがあることがわかった
彼女の迷いはいつか誰かによって定まるだろう
私は長い年月かけることもなかった聖剣を携える
それが女神によって選ばれた人間の宿命というものなのだろう




