王との邂逅1
翌日の朝に答えを言うというのでユージン王が
私室を出て、また別の場所に案内をする
「どこへ行くのですか」
「何、夕食だよ。他国の王が来たんだもてなしくらいはさせてくれ」
そこからは他愛のない話をしながら、廊下を進む
不思議な話だこの人は俺の記憶を覗いたはずだ。なら俺から聞ける話など全て分かりきっているのではないか
「私が人と話すのは不思議かな」
「そうですね。今更俺たちの間に必要を感じなくいので」
「ただ単に人と話すのが好きなんだよ。話している内容と頭の中が同じだと心地いいんだよ。今君がしてくれたようにね」
何となくこの人の人となりに触れた気がした
何故ここまでふりかもしれないが人と楽しそうに話しかけるのは不思議なものだ
普通なら人間不信にでもなりそうなものだが、それも王の資質というものだろうか
しばらくして部屋に通されるとそこには豪華な食事が並んでいた
その部屋にはルードや皆が既に席についていた
反対側には王の后と子どもたちもいた
「皆、待たせてすまないね」
ユージン王が声をあげ、俺も席に通されて食事が始まる
食事中は、特に子どもたちが俺たちに色々なことを俺たちに聞いてくる
当たり障りのない内容をレーヌやオルティノが返すが、普段王宮にいる彼女達に取っては真新しいことばかりのようで楽しそうにしている
后の方はもの静かに食事をしており、会話には入らないものの子どもたちの振る舞いを注意していた
ユージン王はそれを楽しげに眺めていた
それを見ていた俺に気づいたユージン王は俺に微笑みで返した
姫たちは特に獣人であるオルティノがお気に入りのようで食事が終わったあとも頭を撫でさせるように言うなどオルティノは困っていたが、無邪気な様子だった
王宮で育つとこうなるのが普通なのだろうか
そういえばソーニャなんかも似たような感じだった
食事が住むと客間に通されて、そこで休むように言われた
それぞれに部屋を用意されており、使用人が俺にだけ明日の朝に迎えに行くと言っていた
部屋は豪華な作りで、ベッドも今で経験したことがないほど柔らかい
これでは返って休まらないのではないかと罰当たりなことを思いながらこの日は終わった
翌朝、起きてからしばらくすると使用人が来て、応接室に通される
そこには既にユージン王が居た
正面の席に通されてそのまま座り、使用人は一礼してから部屋を出た
「朝からすまないね」
「いえ、それよりもご回答は」
「君が急ぐ理由はわかるが、もう少し落ち着いたらどうだい」
この人の顔色だけでは何を考えているかまるでわからない
「君のことを信じることはそう簡単に出来ることじゃないのは、わかるだろう」
「それであのもてなしようですか」
「それは違うよ、ただ単に客人をもてなしたかっただけだよ」
「俺にはいや、人には時間がないのはあなたにもわかったはずだ。それとも与太話にしてのうのうと生きるつもりか」
「ではこちらから質問させてもらうよ。君の話を、いや記憶を信じる根拠は何かな」
「根拠って、あなたは見たはずだ。俺の記憶を。それに天使や魔人の存在だけでは足りないと」
「そうだね、それだけでも信じるに値するかもしれない。でもそれは全て君からのものだ」
「俺が信用ならないから、それが何だと言うんだ。国があの家族が大切ならあんたは動くべきだ」
「私が動いたとして君はどうするんだい、のうのうと生きるのか」
「そんなことは」
「君の本来の計画では、私に真実を伝えてそこから他国も動かす。そこに君はいるのかい」
「それは、でも王の力が揃えば、フェリシアが入れば十分だろう」
「それは無責任じゃないのかな。そんな苦労だけ人に押しつけるつもりでいる人間を信用出来るのかな」
「そんなこと、俺が一番分かっている。でも俺に出来るのはそこまでだ」
「君も王なのだろう。たしかに多くはない。それでも君を王と付き従う者がいるのは君も分かっているはずだ」
何も言い返せなかった
何処かで全てを引き受けてくれていることを期待していたのだ。それをこの人に見抜かれた
ならオルゲンはどうなる。俺はあいつのことに報いているといえるのだろうか
それでもこれ以上俺に何ができるというのか
だから何処かで俺の仕事はここまでだど思っていた
俺に何ができる、何がしたい
どうすればあいつと戦えるようになれる
「俺があいつを邪神を殺す。そして神も王もいない世界を作りたい。そのためなら何でもする。だから協力してくれ」
「いいですよ」
緩い回答に力が抜ける
「というよりは始めからそのつもりでしたし、だって人類の滅亡ですよ。せざる負えないじゃないか」
たしかにそうだが、それでは先ほどまでの態度はなんだ
「それは家族や民を人質にするようなことをする人にはちょっとした説教ですよ」
「でも王の力がなくなることはいいのか」
「それに関しては願ったり叶ったりですよ」
「どういう」
「人の心を覗くことが出来るというのは難儀なもので、臣下であっても誰も信じれなくなってしまう」
ユージン王は何か遠くを見るような目をする
「私の父はその力に絶えられなかったのか、病で早くに亡くなりました」
今度は俺を見ていった
「私の娘達は実際に見てどう思われましたか、無邪気で可愛い子達だったでしょ。だから、その子達に力が受け継がれないのなら私はそれでいいんですよ」
父親とはそういうものなのだろうか、政治のことを考えると便利な力であるのに
「問答はこれくらいにしようか」
ユージン王が立ち上がるのを見て、俺はもう冷めきったお茶を一気に飲み干す
また昨晩の夕食と同じ部屋に入ると皆がまたいた昨日と違うのはジンやレイなどの臣下も集まっていた
昨日は広く感じた部屋も屈強な男たちも多く、まるで別の部屋のように感じる
昨日とは違い、上座に通されてユージン王の隣の席につく
皆がこちらをみるとユージン王が立ち上がり
「皆聞いてくれ、これから私達は剣の国メディスカルと同盟を結ぶことになった。今日から彼らは友だ協力してこれからを歩もう」
この状況をみるとユージン王は始めからこのつもりで動いていたようだ。それよりも俺の返答が始めからわかってさえいたのだろう
会談の内容を彼らに伝える
天使と女神、魔人と邪神の存在
邪神が俺が22歳になる3年後に人類を滅ぼす
天使はこちらに敵対しているが、女神の思惑は不明だ
それに備えるために5国の同盟、力を合わせることが必要になること
掻い摘んでの内容だったが、明の国側はの混乱は大きかった
その様子にユージン王は動じることもなく
「ここにいるテオドルス王は私に彼が持つ全ての記憶を差し出したのだ。すぐに信じられるような話ではあるが、私はその誠意に答えたいと思う」
臣下達のざわつきが大きくなる
記憶を見られるのは彼らにとってはよほど大きなことなのだろうか
「皆が混乱することもわかるが、いつもの仕事に戻ってくれ、剣の方々も好きに見学してくれて構わない」
一同は解散となった
ユージン王はまた夕食の時にと自分の執務を行うようだ
とりあえず明の国との同盟は上手く行ったようだ




