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nobody   作者: 福郎 犬猫
3章 冠のない王様
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幕間 道化の糸は切れない

この世に生を受けたのはいつのことだろうか

そうはいってもまだ数年も過ぎていないのだが、気づけば私達は7人とあの方だけだった


あの方が命じる

王を殺せとそれがあの方の声を聞いた最初でそれ以降あの方の声を聞くことはない


他の者達は命令に忠実で如何にして王を殺すかを話し合っていった

それをあの方は何も言わず、ただ愉快そうに私達を見ていた

私はそれに違和感を感じてしまった

王を全て殺して、この世界を支配するとでも言うのだろうか

それでもいい、なら何故自分で行わないのか

王に劣るであろう私達に命じた理由はなんだろうか

そう創造主は時が来るまでの暇つぶしに私達を生み出したにすぎない

私達には作り出された理由も使命もない

皆そのことに気づいていないのか、もしくは考えないようにしているのか

どちらにせよ私達に選択肢などないのだから、従うほかなかった

そんなある日、一人の王が死んだとの情報が入ってきた

それを殺したのは私達の誰かでもなく、人間だという


テオ・クレマン

なぜだがこの名前が私の頭から離れなかった

何でも彼が未だ姿を現さない剣の王などではないのかと皆が話しているが私にはそうだとは思えなかった


アバドンとグシオンが剣の国に行くと事になったので、移動手段として強引について行った

もしかしたら彼を一目見ることができるかもしれない


案の定彼はそこにいた

アバドンとの戦いをどちらの加勢もすること無く見ていた

やはり彼は剣の王ではなかった

だからこそ彼を理解することができなかった

どうして彼は戦うのだろうか

彼には力も責任も使命も何もないのに勝ち目のないアバドンに立ち向かう

仮にこの戦いに勝てたとして、彼にこの先何があるというのか

たとえ命をかけてもこの世界にもはや今日を乗り切れば安寧が来ることもない

私はその姿が滑稽に映り、落胆した

ただ眺めているとテオ・クレマンという男はいよいよアバドンを殺したのだ

同朋の死への悲しみよりも言われのない興奮が私を襲った

彼が剣を掲げて叫ぶ

私には彼の言うような自分の足で歩むような生き方は出来ない。所詮私はただの作り物なのだから

そう思っていると彼が崩れた

恐らく魔力を使い果たして死んだのだろう

アバドン相手に勝てたのだから大金星と言っていい

やはり彼も名もなき存在なのだと再び落胆していた時

彼の仲間たちの動きがおかしかった

まるで彼を助けるかのような動きをしている。

今の魔術には人を生き返る術などないはずだ

それでも彼らは諦めていないようだ

そんな中天使たちが彼の遺体を求めて現れた

仲間たちは引き渡すことなく抵抗していた

彼らだけではこの場を乗り切ることが出来ない

そう理解する前に体が動いた

彼の手当をする老人が成功させると言うので

あれこれ考えるのをやめて私も戦禍に加わる


そしたら面白いことにただの少年だと思い込んでいたものが剣を王だった

何故、その力を使っていればアバドンに勝利することに命をかける必要もなかったはずだ

それでも彼は未来のため、王以外の存在のために自らが戦うことを選んだのだろう

王では得ることの出来ない戦利品を求めて


素晴らしい

彼は私と同じ運命にも使命にも選ばれなかった存在だが、自らが分岐点となったのだ

彼なら変えられるかもしれない

神と王の時代を

私に自由はない、ならばその自由を捧げる相手くらいは選ぼう

私もテオドルス・フォン・エスターヘルム様のように抗い、もがこう


己の道がないのなら彼の覇道を歩みたい

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