表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
nobody   作者: 福郎 犬猫
3章 冠のない王様
51/86

驕り驕られ5

商船は出港した

海を見るのは始めてではなかったが、船旅は始めてだ

明の国までは5日ほどかかるようだ

港の方を見ていると特に折ってくるような姿は見えないので、やはりオルゲンは上手くやってくれたのだろう


思えばオルゲンとは存在こそは話に聞いていたが、実際にあったのはあの村が初めてだった

実際に剣の王の死を目の当たりにして、俺たちに協力してくれた

あの時、誰かが残るのが最善ではあったがそれはオルゲンで良かったのだろうか

せめて俺が決断すべきでだったはずだ


「なあ、海ってでかいな」

ルードがロゼッタを連れ出してはしゃいでいる

ルードも育ての親を失ったのだ。何も思ってないわけではないだろう

でも、気丈に振る舞っているのか本当に興奮しているのかどちらだろうか


「何か、ご入用はございますか」

振り向くとニクラスがいた

「俺たちはあくまで乗せってもらっている立場だ期にしなくて良いよ」

「そういうわけには行きませんよ。あなたはいつの日か国を取り戻し、王となられるお方です。」

「お前は国を取り戻したいのか」

何となく口から出てしまった

「当たり前ですよ」

「今も商い自体はできているんだろ」

「たしかに商売自体はできておりますが、それで満足はできないのです」

思いの外強い口調に少し驚いた

ニクラスもそれを察して平謝りをしたが、続けるように促した

「私には夢があるのです。今私はは船や陸路で商品を運び商店におろしておりますが、自分の目店を持ちたいんですよ。そこは専門店ではなくて各国のあらゆる商品を並べる大きな店が私の目標です」

なんだか羨ましくなった。今もこの状況においても夢を持つことができることに明日すら見えない俺には出来ないことだ

「すいません、話しすぎました」

「いや、聞いていて気分がよかった。ありがとう」

ニクラスはいえそんなと照れているような態度を取っていた


「いいか」

ジギがこちらに来た

「どうした」

「オルティノが船にやられた」

ジギに連れられると

オルティノは海へ吐瀉物を吐き出していた

それが魚の餌になっているようだ

あまり気が進まないが、今釣りをすれば何か釣れるのだろうとつい暢気なことを考えてしまう


オルティノを介抱しているレーヌが必要なものを用意するように言うのでそれをそのままニクラスに頼むことにした


「オルティノ、大丈夫か」

大丈夫じゃないのは見てわかるが

「すまない、船は始めてではないのだが前も」

言葉が続かないようなのでそっとしておいた

レーヌの方を見ると

「ただの船酔いだから、大したことありませんよ。私が観ておきますので」

頼りになることを言ってくれた

ここは彼女に任せるのが一番だろう






「なあ、海ってでかいな」

育ての親が死んだことから気を逸らすようにルードウィクが明るく振る舞う

「そうですね、もう少し日が昇るときれいな景色になるんですよ」

「へえ、そうなのか。楽しみだな」

いつもより幼い雰囲気の彼にどうしたらいいのか分からないでいると

「俺は大丈夫だから」

「え」

「正直じいちゃんはもう死んだと思っているし、それで誰かを恨むつもりはないよ」

彼は親しい人の死に不器用ながら向き合おうとしている

「テオドルスの判断は正しかったと思うのですか」

つい意地悪な質問をしてしまった

「わかんないけど、あいつについていくことで俺たちは船に無事乗れているんだ。本音を言うならここにじいちゃんにもいてほしかったけど」

質問したのは私なのに何を言ったらいいか困惑してしまった

「だから、くよくよしないよ。じいちゃんの夢の国を取り戻さないといけないしな。それに俺が今度こそテオヤンセン皆を守るんだからな」

「頼りにしてますよ」

「一応言っておくけど、そのみんなの中にはちゃんとお前も入っているんだからな」

真剣な表情でルードウィクは私を見る

彼とは10年ほどの付き合いしかないが、この表情は始めて見る。また何と言っていいかわからなくなってしまったが、今度は悪い気分がしない

「はい」

そう答えるしかできなかった

いつまでも姉さんの死とその幻影に囚われている私に取って、オルゲンの死を受け止めて前に進もうとする彼がなんとも眩しく見えたが目を背けることはしなかった





船は問題なく進む、日中は特に問題がなく夕食になると皆が集まる

オルティノもこの場にいたので

「もう大丈夫なのか」

「レーヌのおかげで先ほどよりかはマシになった。食欲はないが何か口に入れないと行けないと言われてな」

「獣人はみんなそうなのか」

「いや、獣人も漁で船に乗ることもある」

なるほど、獣人特有のものではないそうだ

「はい、これを食べて大人しくしてください」

レーヌが台所からスープを運んできた

それは茸や魚のすり身が入っている普通のスープだが生姜の匂いがした

「すまないな、レーヌ」

いただきますとオルティノはゆっくりスープを食べる


俺たちも他の船員と同じ食事が出てきたたので、ありがたくいただくことにする

食事も済ますと特にやることがないので、自室に戻る。自室と言っても個室なんて贅沢なものではない

ジギ、ルード、オルティノ、と俺が同室でレーヌとロゼッタは他の女性乗組員と相部屋だろそうだ


本を読みながら寝るまでの間を過ごしていると

「何かないのかよ」

いきなりルードのの声が聞こえて周りを見ると既に全員部屋に戻って来たようだ

オルティノだけは既に横になっているが、ジギとルードはベッドの上に腰掛けていた

「いきなりどうした」

「この船になんか面白いものとかないのかよ」

「贅沢言うな、俺たちは乗せてもらっている身なんだぞ」

ジギがルードをたしなめる

ルードも昼間は始めての船旅に興奮していた様子だが、その魔法はもう切れてしまったようだ

「明日は手合わせとかしようよ」

「そんなこと出来るわけ無いだろう。船員の邪魔になる」

でもとルードが不平を言うので

「力の検証をしようか」

二人がこちらを見る

「検証ってなんの」

「王の力だよ。全王から引き継げなかったから俺たちは力のことを何も知らない。だから街中や人がいる場所でできなかった検証をしよう」

「たしかにな、王の力の相手に手合わせなんてできないしな」

ジギは賛同した

「明日からはそれをするとして、今は」

「大人しく寝ろ」

俺とジギが同じことを言われて、ルードは大人しく2段ベッドの上に登った


「それでどうだった」

ジギに尋ねる

「とりあえず船内はざっと見てきたけど、おかしなやつはいなかったよ。ただ商品のある部屋だけは通してもらえなかったが」

「そうか。天使たちも諦めたようだしなんとかなるか」

「そうだが、ソラスは大丈夫なのか。あいつが情報を流すことだって」

「ジギ、あいつは大丈夫だよ。少なくとも俺があいつのお眼鏡にかなっているうちは」

「それって何の根拠にもなってないぞ」

「いいんだよ。今の俺には正攻法なんてないんだ。あいつが俺の味方をしてくれるってならそれに甘えよう」

ジギはなんとも言えない表情で2段ベッドの上に登って言った

ニクラスはまだ何が仕事をしているようだが、申しわけないが昨日からの疲れもあるので先に寝ることにした




「皆さん、起きてください。大変なことが起きました」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ