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nobody   作者: 福郎 犬猫
3章 冠のない王様
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驕り驕られ1

俺たちは一月ほどスタッドの街で体を休めてから出発することになった

目的地はアカシの国バングラフに行き、明の王に会う

この一月の間に魔人も天使も攻めてくることはなかった。それは何か企みがあるのか、王の力を警戒して手が出せないのかは分からない

その間に復興についての方向性を決めて、問題なく進めることが出来ている

ルードに関しても王の力に慣れる時間が出来たのはよかった。こいつは思いの外器用に力を扱っている。毎日オルゲンや他の騎士たちと鍛錬をしている


本来の王としての動きは理の国に赴き、自治区の変換を求めることだろうが、今の俺にそれをするだけの時間はない

自治区の運営は、残った人間と区長の奥方に任せることになる。

王が自治区を離れることに否定的な意見が集まると思っていたが、皆もあの光景を見たということが大きな原因であり、それを責める声は少なかった


今はとにかく天使、魔人そしてそれらの上に存在する者に対抗するため、他国の協力が必要だ

そこで、明の王にまず頼ることが一番成功率も高く合理的と判断した


俺について行くと声をあげたのは、

ルードウィク、ジギ、オルゲン、レーヌ、オルティノ、ロゼッタ、ソラス

王の力を持つルードには国を防衛してほしいという声はあったが、魔人の目的が王である以上王がいることで返って争いの原因になる可能性があることとルードが俺について行くと意固地になったことから同行が決まった

オルティノは俺への恩を返すためと息子が平和に生活できる世にするのならと申し出てくれた

ジギとオルゲンは俺も始めから二人には着いてきて貰うつもりだったので、特に理由を聞いていない

レーヌは俺達の治療と普段の世話を申し出た。男だけでは手の届かないところもあるので彼女の存在はありがたい

ソラスとは俺にあるところに自分があるそうなのでこれ以上は何もない聞かなかった

一番以外だったのは、ロゼッタだ

彼女こそ俺についてくる理由がないはずだ。彼女の目的は別にあり、今となっては俺の側でなくとも実現できるはずだ

その旨を彼女に尋ねると

「私は貴方の行く末にも興味があるのです。それに結構貴方達のことを気に入っているので」

と返された。彼女の意外な言葉に驚はしたが、あれだけのことがあったので心境の変化でもあったのだろう


当初の目的ではもっと少人数になるつもりだったが、こんな俺に着いてきてくれるというのはありがたい話しだ


「よし、じゃあ行こうか」


俺たちはこれから剣の国にある唯一の港まで向かい、そこからは船で明の国を目指す

船の手配は、区長の奥方が手配してくれているようだ

何から何までこの人には頼りになりっぱなしで頭が下がる

俺たちが街を抜けることを外部に悟られたくないので、日が沈む頃に出発した

予定通り進めば、明日には出港できそうだ


「なあ、海ってどんなんだろうな」

暢気にルードが話す

「おい、ルード無駄口を叩くな」

「いいだろ、俺始めて海を見るんだし」

「楽しみなのは、わかるけど周りにちょんと注意してね。貴方が頼りなんだから」

ルードはジギとレーヌに窘められて拗ねてしまった

「アイツのことどう思うよ」

オルゲンが近づいて尋ねる

「何が」

「戦いの話しだ、あいつはやっていけるのだろうか」

ルードのことだろう。ルードに目をやると今もロゼッタに海について話しかけているようだ

少し意外なのは、ロゼッタが相手にしていることだろうか

「多少浮かれるのは仕方ないんじゃないか。あいつも実戦経験って言えるものもないしな」

「それはそうだが、少し責任を感じているんだ。俺はあいつを大切にしすぎた。俺がちゃんと育てていたらあいつは」

「俺が王なのは不服か」

オルゲンは目を見開いて俺を見る

「そうじゃねえ、魔人や天使と戦うならお前ほどの男はいない。ただあいつがこのままでいいのかと思ってよ」

「ルードなら心配ないだろう。その自覚が出るまで俺たちが助けてやれば良い」

俺達の会話が聞こえていたようでオルティノが代わりに答える

「そうか、それでいいのか」

オルゲンはきれいに飲み込めたわけではないが、一応の答えが出たのだろう

「あまりあいつを責めてやるな。息子が可愛いのは仕方がない」

「別に俺は責めてないよ。あいつを責めているのは自分だろうな」

オルゲンはアロイスもといルードウィクに戦士としての教育はしたが、王としての教育はしていない

前はそれを煩わしく思うこともあったが、今はあいつ1人に押し付けるべきことではないのでそれでいいとも思っている


しばらく街道を走らせていると森の前につく

本来の行路では安全を森を迂回すべきなのだろうが、朝に出港することを考えるとが多少の危険はあっても森を突っ切ることにする

森と言っても獣道があるので、馬を走らせることができる

この面子なら熊などの野獣程度では何の問題にもならないだろう

俺たちは森の中へと入る







アバドンが殺されてから皆で集まる機会が増えた。

「どうして、あいつを野放しにしている」

オルニアスが声を荒げる

「落ち着けオルニアス」

「落ち着いていられるか、アバドンがただの人間にやられたんだぞ」

「落ち着けといっているんだ。今はそいつの傍らに王の力がある」

「だからって何もないしない気か、ボティス」

「そうじょない、無策で行くべきではないと言っているだけだ」

オルニアスをボティスとグシオンが嗜めているが、興奮は収まらないようだ

そんなオルニアスをほっといて別な話題に移る


「それにソラスはどういうつもりなのかしら、どうなのグシオン」

「あいつの考えていることはわからん。アバドンを殺した相手とはいえ、ただの人間に膝ずくとは」

「そうだよね、それにはビックリしたよ。まさか、取り入ってから寝首を掻くなんてことはしないよね」

「あいつの性格からして、そんなまどろっこしいことはしないだろうね」

「じゃあ、本当に人間に心酔したのかしら」

「さあな、ボティスはいつまで様子見を続けるつもりだ」

「お前達の言っていることはわかる。ただ彼奴の前に女神の人形が現れた以上、接触を最低限にするべきだろう」

「なら、私が行こうか」

「エネプシユス、お前がか」

「うん、私なら1人でも人形を欺くくらい簡単だよ」

「たしかにお前一人のほうが都合がいいが」

「貴方一人で大丈夫なの」

「だから、一人の方が都合がいいんだって」

「そうだな、お前の力なら王の力も関係ない。ただ危険を感じたらすぐに撤退しろ」

「わかってるって、それにテオドルスってのに興味があるんだ」

この話し合いの中でもこのお方は何も言わず、私達を眺めているだけだった

それでもいいのだ。私達ならできると信頼してくれているのだろう

さて、どうやって奴らを根絶やしにしてやろうか。まずは情報を手に入れないと







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