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nobody   作者: 福郎 犬猫
2章 少年は我が身で世界に跡を残す
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傾慕1

王都に出て始めての帰省となる

もうすぐ王都に来て、1年になるのでそろそろと考えていたが今は一緒に帰るはずだった

彼はいない

いるのは、ヨランダさんと理由は分からないが、クリストフ隊長がいる


「どうしてあなたまで一緒にいるのよ」

「フェリシアとその家族はテオ・クレマンの縁者だ。それならば公平を期すため他の隊が同行するの当然だ」

「だから、何で隊長様がわざわざ同行しているのかを聞いているの」

クリストフ隊長はしばらく考えてから答えた

「団長の命令だ。今回の件は私とガスパールと調査隊しか知らない。情報が確定するまでは人数は最小限にしなければならない」

その情報とは、王の死についてで間違いない

もし他の人間に知られれば王都は混乱するだろう

もし混乱に乗じてこの前のオルニアスがまた来たら、一溜りもない

といっても、そのオルニアスには王の死について知られてしまっている

オルニアスは他人に変装出来るようなので、噂を流すことは容易い

だからこそ知る人間を最小限に留めることが、オルニアスに出来る唯一の対抗策だ

というには心許ないものだが


馬車の中はとても静かだった

私が知っていることも取り調べで伝えているので、特に聞くこともないだろうし

と思っていたら


「フェリシアちゃんとテオくんは村にいる時、どんな風に過ごしていたの」

「おい、取り調べで散々聞いているんだぞ」

「ただの世間話よ。護衛騎士様は遠くの姫様の心配していたらどう」

何おとクリストフさんが返そうとしていたが、途中で辞めて黙ってしまった


「で、どうなの」

「えと、そんな変わったことは、家畜の世話をして合間にテオに魔術や勉強を教えてもらったくらいで」

「それがすごいのよね。その時のテオくんって10歳いかないくらいでしょ。そんな子が子供同士とはいえ人に物を教えられるだなんて」

「そうですね。テオはお父さんとお母さんに教えてもらったって言ってますけど」

「それでもよね。もし彼の両親が教育熱心とはいえ、ここまでいく子は普通いないわよね」

「そこまでしなければいけない理由があったのだろう」

クリストフさんが言った

「理由ってなんですか」

「それはわからない。テオは俺たちが思っている以上に不自由な人間なのかもしれない」

「どういうことですか」

「あいつにはなかったのかもしれない。それ以外の選択肢が」

テオは勉強が好きなのではなく、せざる負えない環境にいたということだろうか

「姫様のために騎士学校を飛び級して卒業した。どっかの誰かみたいね」

ヨランダさんがクリストフさんを誂うように言う

「お前だって優秀ではあっただろう」

クリストフさんはため息交じりに言った

「そういえば、どうしてヨランダさんは調査隊に入ったんですか。本隊の方にも入れたんじゃ」

「別に大した話じゃないのよ」

「可愛い後輩の質問だ。答えてやれよ」

「わかったわよ。子供の頃に賊に攫われたことがあってね。それをある騎士に助けてもらったの当時は子供だったからただその人がかっこよく見えて、私もその人みたいになりたいって思っただけよ」

「もしかしてその騎士って」

「そうよあのボンクラよ。その人が部隊を作るって聞いて志願したの。そしたらあの体たらくだから嫌になるわよ」

何か意外な理由だった

文句を言いつつも転属していないのは、ヨランダさんもベルトラン隊長を何だかんだと言って認めて尊敬しているからなのだろう


それから他愛もない話をして、時間が過ぎていく

王都に出る時は途中までおじいちゃんに送ってもらったが、そこから馬車が出る町まで歩いて行った。そこからも馬車を乗り継いで5日ほどかかった

今回は村に直接行けるので3日はかからないとのことらしい

それでもヨランダさんが気を使ってくれているのか。道中は穏やかに時間が過ぎて言った


道中ではトラブルもなく、もらいに着いたのは2日目の夜だった

この時間になると、外を出歩く人はほとんどおらず、それが返って都合がよかった

久しぶりに帰ってきた村は暗くて見通しが悪いが、以前見た景色と何も変わっていなかった


そのことに少し安心しなが自分の家を目指す

家につくとノックすると、どちら様と声が返って来たので

「フェリシアだよ。ただいま」

すると扉が勢いよく開いた

中から叔母であるコレットが出てきたので、挨拶をしようかと口を開ける前に力強く抱きしめられた

「もう、急にどうしたの帰ってくるなら事前に報せなさいよ」

「ごめんね、ちょっと事情があって」

「事情って何、それより一人で帰ってきたのテオはどうしたの」


テオ

テオのことは家族になんて説明したらいいのだろうか

「こちらの方たちは」


コレット姉さんは、ヨランダさんとクリストフさんを見て言った

「えーと」

「玄関先で騒ぐな、ご近所に迷惑だ」

家の中から祖父のジェロームも出てきた

祖父はヨランダさんとクリストフさんを見てから

「今日は遅い、お客人も宿の宛もがないのなら家に泊まりなさい」

そう言って祖父は家の中から入っていった

私達はそれについて行くことにした

家の中も特に変わった様子がなく、出てきた時と同じだった

「あらまあ、フェリシアじゃないの。どうしたの急に」

祖母のアナイスもコレット姉さんと同じような反応をする


「よさないかアナイス、お客様の前ではしたない。それに彼らは長旅で疲れているんだ」

祖母も二人のことに気づいて

「テオはいないのかい」

「えぇと、今日は私達だけなの」

「それは残念ね」

おほんと祖父が咳払いをした

「夕食は食べたのかしら」

「まだだけど」

「あやそうなの今から用意するわ。お二人はどうされるの」

「いきなりでご迷惑じゃないですか」

「いいんですよ。大したものは出せませんけど」

「それじゃあ」

「よろしいですか」

クリストフさんが割って入った

「我々はある任務で来ています。その為に貴方達から話が聞きたい」

「それは明日じゃだめかね。年寄の夜は早いんだ」

「父さん、いつもはまだ起きている時間じゃないの」

「お前は黙っていなさい」

「いえ、こちらこそ申し訳ありません。ただくれぐれも変なことをお考えにならないように」

「変なことって何よ」

「すいません、彼は長旅で苛立っているみたいで」

おじいちゃんとクリストフさんが睨み合うように見ている

「何もしたりせんよ。わしはもう寝る」

祖父は寝室に行ってしまった

ヨランダさんがクリストフさんを睨みつけると

「申し訳ない、ただ明日はご家族皆さんからお話がお聞きしたい。よろしいですか」

「えぇ、それはまぁ」

おばあちゃんはクリストフさんとおじいちゃんの様子に何かを察したようだが、曖昧な返事をした

「よくわかんないけど、家で夕飯食べっててよ。お兄さんはテオがいた部屋を使って、お姉さんはフェリシアの部屋にどうぞ」

「ありがとございます」

「フェリシアは今日は一緒に寝ましょ」

コレット姉さんが楽しそうに言ったので、そのとおりにすることにした

夕飯は久しぶりにおばあちゃんと姉さんの手料理だったのにあまり味わう余裕はなかった


夕食が済むと全員が速やかに寝る準備をした

姉さんと寝るのはいつぶりだろうか

「それにしてもあの偉そうな騎士はなんなのよ」

「クリストフさんは隊長さんだから」

「隊長が何よ、父さんも父さんよ。あんなのに言い返しもしないなんて」

確かに祖父の様子もおかしかった

まるで私達が来ることがわかっていたかのようなあの落ち着きようはなんだ

「姉さん」

「なに」

「色々あったんだ。本当にたくさんのことが」

「そうでもいいのよ、父さんも明日にするって言ってたでしょ。今日はもう寝ちゃいなさい」


最近本当に色んなことが会ったから、疲れていたようだ。目を瞑れば、すぐに意識を失う気がした。本当は姉さんに話したいことがたくさんあるんだ

先生や友達ができたこと、魔術が上手く扱えるようになったこと、辛いことだけじゃなくて楽しいこともたくさんあったんだって

それでも口は動きそうにない、誰かが側に居てくれることがこんなに安心するってことに


朝起きると姉さんの姿はなかった

下に降りると誰もいない、皆朝の仕事をしているようだった

私も手伝おうかと思ったが、あまり村の人に見られるのも良くないと思い台所の方に行くと朝食の用意も既に終わっているようだった

手持ち無沙汰にしているとヨランダさんとクリストフさんが降りてきた

クリストフさんは何だか眠そうだった

「二人ともよく眠れましたか」

「そうね、ずっと馬車だったから。ベッドはありがたかったわ」

「家族の方たちは」

「今、朝の仕事をしています。よかったら朝食はどうですか」

「悪いわね、なにからなにまで」

私は人数分の食事を用意して、食卓に運んだ

そうしているうちに皆も仕事から戻ってきて、全員で朝食をとることになった

クリストフさんは遠慮したが、祖父に

「お客人なのですから、遠慮しないでください。それとも騎士様にはこんな田舎料理は口に合わなかったのですかな」

もいう言葉に再び席についた

何とも奇妙な光景の食卓だが、皆で食べる食事に何処かホッとしている自分がいる

食事を終えて、片付けを終えるとまた皆が席につく

「それでお客人、聞きたいこととは何ですかな」

「それよりも先にこちらの話を聞いて頂きたい」

クリストフさんが中心となってこれまでの経緯を説明した

テオが剣の国の密偵の容疑がかかって、牢屋に入れられたこと

テオが脱獄したと同時に国の重鎮が殺されており、その容疑がかかっていること

今、行方がわからないこと

「そんなこと、あの子がするわけないじゃない」

「お前達は黙っていなさい。それで騎士様私共に聞きたいこととは何でしょう」

「テオ・クレマンと名乗る人物について知っていること全てです」

「そんなこと言われましてもな」

「では、質問を変えます。ここにいるフェリシアの父はドミニク・ベルーナでお間違い無いですか」

「ええ、ドミニクはこの子の父で私の息子に間違いありません」

「それでは、ドミニクの友人にレオノールとディートリヒという者がいるのですが、それもご存知ですか」

「はて、息子はあまり自分の話をしなかったので、友人の名前までは」

「では、何故テオ・クレマンを預かることにしたのですか」

「どういうことだ」

「ここにいるフェリシアからテオ・クレマンは死んだ両親の友人であるドミニク氏を頼って来たことは聞いております。こちらの調べではドミニク氏に友人といえる人物は2人を含めて3人たともわかっています」

祖父は何も言わない

「もう一度お聞きします。レオノールとディートリヒという名前について何か聞いたことがありませんか」


祖父はうつむいて何も言わない

顔をあげた祖父がいった


「降参だ。騎士様は若いのにしっかりてらっしゃる。私の知る全てをお話しましょう」

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