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nobody   作者: 福郎 犬猫
2章 少年は我が身で世界に跡を残す
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幕間 だから私は風を掴む

いつのことだったか

私に弟分が出来た

その弟分は小さくて、汚くて、弱かった

だから私が彼を守らなければいけないと思っていた

この弟分は二人を亡くして変わってしまった

小さくて、弱いのに何かを狩る獣の目をするようになった

それがひどく不安定に感じたが、私にはどうすることもできない

ただ一人ではないことを伝えるために声を出すことしか出来ない

だからせめて弟分の頼みは聞くべきだと思った

彼の頼みはそう難しくなくて、彼が行ったことのある場所や彼が指さした場所に行って彼の元に返ってくるだけだ


そんな彼も伴侶を手に入れた

その伴侶は弟分より小さかったが、何より誰よりも力を持っていた

その強さ故にかあまり表に出ることはなかったがこの伴侶がいれば、彼は大丈夫だろう


それでも弟はあの獣の目を辞めることはなかった

伴侶といる時はいく分緩めることはあったが、伴侶のいないところでは飢えた獣の目に戻る

私が会う人間は、この目をするものが多かったが、弟の同じような目をしていたのは、あの高い岩の上に住んでいる男だった

あの男は狩るものの目というよりは、何かに飢えていたようだった


そういえばその男の近くを住んでいる時に、恐ろしい男を見た

その男は力を常に隠していたが、この私を補足したようだ

私にだけ分かるように殺気を飛ばしてくる

この男だけは危ない

そう危ないのだ。この男も飢えた獣だったからだ

その日から私は弟の近くにいることを極力避けるようになった

それが弟を守ることの出来る唯一の私に出来る方法だった


それでも彼に呼ばれれば私は弟分のもとに行く

彼は弱いが警戒心は人一倍強いので、そう見つかりはしないだろう


これは私の勘でしかないが、別れの時が近づいている気がする。件の男に殺されるかは分からないが、その残された時間は弟のために使いたい


だから私は今日も空を飛ぶ

これが本当に弟のためになるかは分からないが、この子が求めるなら何処へでも行く


この子さえ生き延びてくれるならそれでいいのだ

それでこそ私の命を拾ってくれた二人に恩返しが出来ると信じて

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