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nobody   作者: 福郎 犬猫
2章 少年は我が身で世界に跡を残す
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会敵3

牢獄をあとにした私達は王城に向かう

フォルカーが言うにはジャンさんがテオの手助けをしたらしい

ヨランダさんが事前に言っていた通り、王城と騎士内には行方不明の人物はいないと

だから彼は王城でいつも通り働いている可能性がある

だが本当にジョンさんが協力者ならどうして行方をくらませないのだろうか


「やっぱり、何かおかしいわよね」

ヨランダさんも同じようだ

「聴き間違いじゃないですか、ジギとかとも言ってたし」

「協力者は一人なんですよね」

「フォルカーの言うことを信じるならだけど」


「お前達こんなところで何している」

一人の騎士が声をかけてくる

たしか会議にもいた一番若い隊長だ

名前はクリストフと呼ばれていたはずだ


そのクリストフさんの隣にはアレクサンドリーヌ様もいた


「アレクサンドリーヌ様、こんにちは

あのお加減はどうですか」

マティアスが尋ねる

そういえばソーニャの幼なじみならアレクサンドリーヌ様とも付き合いが長いはずだ

「昔のようにアレクで構いませんよ、マティアス」

「いえ、そのようなわけには」

「あの子が一人で言っているだけとはいえ、あなたは将来の弟になるのかもしれないのだから」

穏やかで優しい雰囲気の人だ

「クリスがね、部屋に籠りっぱなしだと体に障るからと外に連れ出してくれたんです」

「あら、相変わらずお姫様にだけはお優しいのね」

「うるさい、姫の護衛騎士なのだからご心配するのは当然のことだ。それより質問に答えろ、お前たちが王城に何のようだと」

「本当に偉そうなやつになったわね、昔は真面目で可愛いところも合ったのに」

ヨランダさんとクリストフさんは親しいようだ

「騎士学校時代の先輩後輩なんだって」

マティアスが教えてくれた

「私達はね仕事で来たの、姫様とデートをしてる不埒な騎士様と違って」

ヨランダさんが勝ち誇ったように言う

「貴様、姫まで愚弄する気か」

「あの」

拉致があかないので大声をだした

「私達ジャンさんに話を聞きに来たんです。彼がテオの脱獄に関係しているかもしれないので」

クリストフさんは驚いた様子で

「その内容を大声で話すな、誰かに聞かれたらどうする」

「すいません」

「それで王城の使用人の名前が何故出てくる」

「フォルカーがそう言ってたの」

「信じられるのか」

「手掛かりがそれだけしかないなら行くしかないじゃない」

「わかりました」

姫様が声をあげた

「クリスあなたは彼らを案内してあげて」

「それでは姫様が」

「私は従者と部屋に戻ります。これらはあまり王城に詳しくないようですし、それに危険な人物かもしれません」

ねと語りかけるクリストフさんは納得していない様子でわかりましたと一言言って、姫様と別れた


「それで使用人のジャンだがこの時間なら恐らく厩舎だろう。この時間なら馬の世話をしているはずだ」


少し以外だった。クリストフさんはあまり他人に関心がある人に見えなかったからジャンさんのこともあまり知らないのではないのかと思っている


私達は厩舎に向かう

道中クリストフさんがマティアスに声をかける

「あれからソーニャ様とはお会いしているのか」

「いえ、俺なんかが」 

「立場を気にするなとはいわない、だがこんな時くらいお前から会いに行ってやれ。それだけでも慰めになるはずだ」

「わかりました」

クリストフさんは会議の時とだいぶ印象が違う

騎士としてのクリストフさんとそうでないクリストフさんは別のようだ

「二人は知り合いだったんですね」

「クリストフさんは代々護衛騎士の家系なんだ。それで王族とも小さい時から交流があって、それで俺も」

そうか子供の時からの付合いなのか

ということは王様とも昔から知っているのかもしれない。だとすると取り調べの時のあの攻撃的な姿勢も頷ける


厩舎にはすぐ着いた

使用人の一人にジャンさんのことをクリストフさんが尋ねる

彼は王城では顔が広いようだ

「今日何か気づいたことはないか」

「ジャンに対しては何も、強いて言うなら馬が2頭いなくなったことくらいしか」

「それを何故報告しない」

「いや、ジャンが執事さんに報告したと言っていたのでてっきりもう知っていることかと」

これはおかしな話だ

仮にジャンさんがテオの脱獄を手伝い馬まで用意したとして、何故2頭も用意したのか。一緒に王都を出る予定だったのではないか

それなら彼は何故私達の目の前で馬の掃除をしている


そう考えているのは私だけでなく、一同に緊張感が走る

ジャンさんは本当に何も知らないような風にしている、それが真実にであって欲しいとさえ思う


「あのジャンさん、今いいかしら」

ヨランダさんが話かける

「はい、なんでしょうか」

何かがおかしい、前はもっとにこやかに話していたのに今日は随分事務的な態度だ

「昨日の晩何をしていたのか教えてくれないかしら」

「何故、そのようなことを」

「お前には牢にいる人間の脱獄を補助した疑いがかかっている」

「なぜ、私なのですか。牢屋に知り合いはおりません」

やはり何かがおかしい

いきなりこんなこと言われて、焦る様子がまるで感じない。むしろ余裕すら感じられる

「知り合いがいないってことはないわ、1度あっているはずよ」

「私が知る限りでは、本当におりません」

「それはおかしな話だな、情報通のお前ならテオ・クレマンが捕まっていることくらいは知っていると思っていたぞ」

ヨランダさんとクリストフさんが問い詰める

だが、ジャンさんの様子は変わらない

「いえ、わたしも何でも知っているわけではありませんので、ところでそのテオさんは何かされているのですか」

「こちらの質問が先よ。昨日の晩は何をしていたの」

「さあ、わからないですね」

「わからないなんてことないだろう」

「いや、本当に知らないんですよ」

自分が昨晩していたことを知らないとはどういうことだ

「それより、教えてくださいよ。テオ・クレマンは何をしたのか」

「だから、教えるわけにはいかないの」

「それなら自分で考えるか。そうだな例えば王を殺したとか」

空気がガラリと変わる

このことをジャンさんが知っているわけがない

王が死んでいるのを知っているのは、発見した執事と騎士団上層部と調査隊の私達くらいのものだ

それになぜジャンさんが思いつく

「マジで、ホントかよ。王が殺されるなんて」

ジャンさんの口調は今まで大きく異なる

「いやー、俺たちにもついにつきが来たか。本当に人間は内輪揉めが好きだね」

そう言うジャンさんの姿が変わる

そこには白い髪で白い肌の男が立っていた

その手足はか細くとても強そうには見えなかったが、その状況にとても恐怖した

白い男の腕がいつの間にか白い大きな音刃に変わっていた

それに気付くとその刃は振り下ろさせるその時だった

ガキン、と音がなると音の刃をクリストフさんが受け止めていた

「へえ、お前はなかなかやるじゃん」

「お前たちは引いて、他の使用人を逃がせ」

クリストフさんにヨランダさんとマティアスは従い、使用人を逃がす

クリストフさんはあの男と戦い続けている

男は両手を大きな刃に変えて打ち合う

クリストフさんが優勢なようだ

相手の腕の剣を交わしながら、相手の腹を切り込む

そしてそこから血しぶきを上げることはなかった。男は平然としており

「ひどいじゃないか、痛くも痒くもないけどさ。切られていい気分はしないんだよな」

気づけば切られたあとはなくなっていた

「どういうことだ」

「敵から教えてもらえるように思っているわけではないだろ」


そして男はまた両手を白く大きな剣に変えて、突っ込んで来る

クリストフさんはまた応対するが、今度は劣勢になる。それは仕方のないことだ、切った相手が平然とその傷もなく、自分に切りかかってくるそこに戸惑いがあるのだろう


私は魔術を発動する。あの時やったように、相手を吹き飛ばすようイメージする

「クリストフさん」

クリストフさんは私の声に合わせて横に飛ぶ

空気の弾丸が男を捉える

男が吹っ飛び、壁を突き破る

クリストフさんはその隙に息を整えているようだ

いつ起き上がっていいように魔法陣を構成する

男をはやはり立ち上がり大して傷も負っていないようだった

「だからさ、死なないけど吹き飛ばされたり切られたりするのはいい気分はしないんだ」

男はそう言うと突き刺すような動きをすると右手の剣がこちらに伸びてきた

今から魔術を使用してもどうにもならない

クリストフさんとも離れている

貫かれると思ったとき

「内の後輩に何するの」

ヨランダさんが伸びている剣を自分の剣で上部に受け流す

マティアスが火の魔術を発動する


当然その男は素知らぬ顔をしている

どうすればいい、どうやれば相手をたおせる


「王がいなくても、人間ってまぁまぁやるんだな、勉強になったよ」

男は燃えながら一人でそう言う

「目的はなんだ」

クリストフさんが尋ねる 

「王を見るためさ、あわよくば殺せるならって考えていたんだけど。まさか人間に殺されているとは」

男は愉快そうにわらった

「なあ、テオ・クレマンってのはさっきの従者と一緒にいた赤毛のガキのことか」

こいつはテオを知っている

「そうだけど、今何処に行く知っているの」

「いや知らないよ。さっきの従者と日が開ける前に王都を出ていったよ。まさかその従者が王を殺したやつと知り合いだったとは」

「二人をどうしたの」

「何もしてないよ。従者の方は顔を借りたけどさ」

男は愉快そうに笑っている

「ここでの用は済んだわけだ。じゃあ最後にお前らを殺しておくか」

男の腕は何本も細く多くなっていく、その全ての先端が鎌のような形状になった

それが私とマティアスの方に降りかかる

この数はクリストフさんでも捌ききれないだろう

皆が死んでしまう

そう思ったとき、頭の中にイメージが流れる

青白い光が男を貫く様子だ

そのイメージな合わせて、手を男に向ける

すると光が出現して男を貫く

男の腹部に大きな風穴が出来る

「何だよこれ」

男は今度は苦しそうに歪む

クリストフさんが男に止めを刺すために駆ける

男は風穴が空いている状態で上に飛ぶ

「くそ、今日はここまでか」

「逃げる気か」

「そのつもりだよ。お前らと違って正体の分からない相手に無策で突っ込んだりしないんだよ」

男には既に苦悶の表情はなかった

「王の死を教えてくれたお礼に名乗ることにするよ僕はオルニアス。それじゃあね女神の出来損ない」


そう言って、男はどこかに飛んでいった。それは実際に宙に浮いていた


それを見て、さらに考えることは出来なかった

とりあえず誰も死ななかったことに安堵すると力が抜けた

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