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nobody   作者: 福郎 犬猫
1章 少女は世界を知る
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剣士と魔術士と1

バイルでの報告を終えた私達は一旦上層部に報告するというベルトラン隊長の言葉に従って通常勤務に戻る


といっても特にすることはないので、待機という名目で各々好きなことをする

私はヨランダさんを手伝いながら、時間が過ぎるのを待った


その時扉のが勢いよく開く音がした

それに驚いて、注目するとそこにいたのはガスパール隊長ではなくソーニャだった


「マティー、フェリシア、いるかしら」


どうやら私達に会いに来てくれたようだ

マティーとはマティアスのことで、小さい頃はよくその愛称で呼んでいたらしい

大きくなって様付けで呼ぶ彼に対してずっと昔のように呼び捨てで呼ぶように求めていたようだが、なかなか応じない彼に痺れを切らして、呼び捨てに戻すまではその愛称で呼ぶことにすると可愛らしい反抗について遠征任務に行く前にに嬉しそうに話していた


「あのソーニャ様、今日はいったいどのようなご要件で」

「聞こえなかったのかしらマティーとフェリシアに会いに来たの」

「あの、二人は一応勤務中の時間でして」

「ここにいるってことはどうせ暇なんでしょ。いいじゃない」


身も蓋もないことを言われてしまいヨランダさんは黙ってしまった。ソーニャはその様子を一切気にしていないようだ

その脇では

「マティーって何だよ、マー坊」

「答えろよ、色男」


とテオとラウルさんがマティアスを問い詰めている。微笑ましいやり取りをしていた

こんな風にテオが人と接するようになるなんて感慨深いものだ


「フェリシア聞いたわよ、あなた大活躍だったんですってね」

「ううん、そんなことないよ、皆が居てくれたから」

「魔術もちゃんと使えったことも聞いているんだから、友達の活躍に私も嬉しくなって会いに来ちゃった」


ソーニャはどこからか任務のことを聞いて、共に喜びを、分かち合うために来てくれたことに、胸が暖かくなった


「今日は私の家でお祝いをしましょう、後で迎えをよこすから」

その提案に驚き反応することが出来ない私を放っておいて、今度はテオの方に行って


「あなたがテオね」

「それがどうしましたか」

「いつも私のマティーがお世話になっているみたいだから、挨拶くらいはしないとと思ってね」

少し私達について当たりが強い気がする

そういえば彼女は以前はテオがマティアスを取り上げると勘違いをしていたようなので、その名残かもしれないが

テオをまじまじと見ながら

「まぁまぁな男ね」


真意はわからないが、捉えようによっては失礼事を言って、彼女は私に後でねと言い残し嵐のように去っていった


落ち着いてからあることに気づく

ソーニャの家でということは王城だ

皆にどうしようと聞くと

「いいわね、一度でいいから私も王城に招かれてみたいわ」

「可愛いメイドさんとかいたら教えてね」

「大丈夫だろ、二人で飯を食うだけなんだから」


と他人事だと思って好き好きに言う


夕刻になると

扉からノック音が聞こえて


「フェリシア様はいらっしゃいますか」


はいと答えると扉は静かに開き

ソーニャの従者であるジゼルさんが入ってきた


ジゼルさんは女性だが、執事の格好している

理由を尋ねるとその方がいざという時動きやすいからとのことだ

王城の中でもソーニャのわがままに付き合うことが出来るのは彼女ぐらいだと聞いたことがる


「お迎えにあがりました。あとマティアス様とテオ様もお連れするようにと」


マティアスはわかっていたようで席に立つ

テオは自分の名前が呼ばれると思っていなかったようで理由を尋ねると


「主からそのようにとお聞きしただけなので、理由は分かりかねます」


いつもなら断って、強引に立ち去るのだろうが流石に一国の姫の誘いを無下にすることは出来ないらしく、素直について行くようだった


ジゼルさんに連れられて、私達は王城を目指す


「この度は、主の急な提案に応じて頂き誠にありがとうございます」

「いえ、そんな」

「主は立場もあり、あまり今まで友人には恵まれておりませんでした。ですがあなたのことはよほど気に入っているようなのです

だからあなたのご活躍がよほど嬉しく、あなたのために何かしたいと考えられているようで今回のことをお考えになられたのです」


ソーニャの急な提案に驚きこそしたが、嫌だと思うことはない。私も友人の家に行くのは初めてで楽しみだ

王城というのは正直緊張するのでそれどころではないが



王城の前に着く

遠目には毎日見ているが、側で見るとこんなに大きいものかと呆然と立ち尽くす

ジゼルさんに案内されて中に入るとそこは何とも華々しく豪華絢爛と言った様子でただただ圧倒されてしまう

以前入ったベルヌーイの屋敷よりも当然調度品なども多く色々なものに目がつく


するとテオに肩を叩かれて、はずかしいからキョロキョロするなと注意された

マティアスも同じ意見で恥ずかしそうに俯いていた

ジゼルさんはその様子を微笑ましいかのように眺めていた

注意をした彼もこういう所は初めてなはずなのに、何で冷静でいられるのだろうと不思議に思う


大きな扉の前でジゼルさんが足を止める

こちらですと言って扉を開けた


そこは一層豪華な内装をしていた

そこに大きく長い食卓があり、豪華な食事が並んでいた

奥にも誰か座っているようだったが


「フェリシア、来たのね」

ソーニャが走って近づき、私の手を取って案内する

「ほら、マティーも」

マティアスは慣れた様子で彼女の後ろをついて行く


何も言われないテオは食器の並んでいる反対側の席に自ら歩く


ソーニャを挟んで私とマティアスが座り、その正面にテオといささか奇妙な席順になった


「こらソーニャ、お客人は丁重に饗さないととだめじゃないか」


奥の席に座っていた男性がソーニャを叱った

彼女はでもお兄様と歯切れの悪い言葉をつづけて

おそらく彼女の兄ということは


「すまないね君達、私はこのソーニャの兄のジュリアン・ルネール=ド・シュヴァリエという。妹の非礼を詫びるよ」


主にテオに向けて言った

テオは気にしないでくださいと返した


ジュリアン様の前にきれいな女性が座っていたので目をやると

「私はアレクサンドリーム・ルネール=ド・シュヴァリエ、この子の姉です」


何とこの食事会には、第一王子と第一王女も同席していたのだ

ソーニャを見ると彼女は屈託のない笑顔で

「フェリシアのことを話すとぜひ二人も会いたいというから紹介したかったの」


彼女の兄と姉は少し苦笑いをしているような気がするが無邪気に食事会を楽しんでいる様子に誰も何も言えなかった

それから5人で食事をすることになった

終始ソーニャが私に話しかけて、仕事について聞かれるのでそれに答えるという形で食事会を過ごす


正直とても美味しいだろう食事は緊張により、味わって食べる余裕はなかったのは残念なことだ


ジュリアン様はテオに興味があるようで

「君は魔術に精通しているようだね、フェリシアさんも君に教わったと聞く」

「いえ、そんな大層なものではありません。死んだ母に教わったとことを教えているだけで」

「それはすまない、君の母上もさぞ高名な魔術士だったのだろうね」

「いえただの田舎町のしがない占い師ですよ」


テオの母親について、初めて聞いた気がする。

村にいるときでもテオの出自について尋ねるとお爺ちゃんがとても怒るので家でその話題は禁句となっしまった

今思い返すと幼い彼に亡くなったばかりの両親のことを聞くのも無神経なことなので、昔の自分を攻める


ジュリアン様は誠実そうな人で、アレクサンドリーム様は優しそうな人だった。二人共王族なのに偉ぶらずに、私達に対しても丁寧に接してくれる

するとつい気が緩んでしまい、思いついた疑問をそのまま口にする

王様について尋ねた

マティアスがおいと注意されたが、私には意味が分からなかった


「いいんだマティアス、彼女は知らないのだろうから。王である父上はほとんど自室籠もっていてね、何かの研究に没頭しているようなんだ」

その内容に何と反応していいか分からなかった

出と王様がそんな状態で大丈夫なのだろうか


「でも政治などはお兄様が取り仕切っていらっしゃるから、この国は何も問題はありませんよ」

「何を言うアレク、臣下の皆がいるからこそこの国は成り立っているんだ」


ジュリアン様とアレクサンドリーム様が答えてくれたが、あまり話題にしてさないほうが良さそうだったので、すいませんと誤った 


二人は慣れている様子で気にすることはないと言ってくれた

ソーニャが言うにはもう何年もまともに顔を会わせていないらしい

それが当たり前のような様子だった

部屋に籠もって研究という言葉につい自分の父と重ねてしまい、なんとも言えない寂しい気持ちになった


そんなこともありながらも最後には食事会を楽しむことが出来た

ジゼルさんが帰りも送ってくれた

ソーニャは名残惜しい様子で引き留めようとしていたが、ジュリアン様に諭されていた

また今度会えるのだからと私も一緒に一体

彼女には申し訳ないが、彼女とは王城以外の場所で会いたい

王城では私の格好が悪目立ちして落ち着かない

帰る道中は先程と違い静かなものだった

ジゼルさんに送られて私達はそれぞれの部屋に戻る


自室に戻ると今日のことを思い返す

まさか自分が王城の中に入る日がくるとは

今日の父のことを思うことがあったのでついいろいろ考えてしまう

慌ただしくて思い返すことはなかったが父も王城に行ったことはあるのだろうか

そういえばノルベルト先生は以前は学院で教鞭を取っていたんだっけ

明日は先生のところに行く日だ

父のことを聞いてみよう、何か知っているかもしれない

瞼が重くなるってきたので、それに任せて瞳を閉じる






今日のことを考える

まさか事前に王城の中を見ることが出来るなんて、なんとも都合がいい話だ。フェリシアには感謝しなければいけない


ジュリアンという男がいるのなら、しばらくの間この国の心配はいらないだろう

話しただけだが、あれでなかなか頭も切れるようだし、噂では人望も厚いようだ


もう一つ何とかしなければならない問題がある剣の王の遺児についてだ


出処がヴェストという街なので、出任せであることは明白だ。こんな時期にこのような噂を流されてはこちらも迷惑だ

噂を流す意図も気になる。理の国への報復で同士を集めるためにしては辻褄が合わない

もっと国境に近い場所なら分からなくもないが


とこれ以上思考していても時間の無駄なので机に向かう

しばらくすると久しく顔を見せなかったバイアーが窓の外に居ることに気づく

窓を開けてやり、中に入れると足になにか付いているようだ

それを取って、確認する



そろそろこの時間が終わるようだ

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