1/12
どうも皆様、秀才です
どうも皆様、秀才です。
秀才のソラニア・シャルムです。
え? そこは語り手なのだから、天才じゃないのかって?
違います。私は決して、天才などではありません。
天才とは、私の婚約者であるテルネッド・エデルガー公爵様のような方を指します。
私が自他ともに認める秀才ならば、彼は世界で彼を知らない者はいない、紛うことなき天才です。
そんなお方と婚約関係にある私は、元々は平凡な伯爵令嬢でした。
それがなぜ、秀才とまで呼ばれるようになったのか。
そしてなぜ、私は卒業式前夜だというのに、その天才との婚約解消を目論んで、寝ずに作戦を練っているのか。
それは、私が彼の婚約者故、であり。
天才と私の間にある壁に打ちのめされてきた歴史故、であり。
往生際の悪い私の、最後の悪足掻きだと言えるのかもしれませんね。