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ランドレス戦記〜漆黒の女騎士は亡き主の意思を継ぎ戦う〜  作者: ヌマサン
第2章 帝国への従属
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第33話 シドロフ王国軍との激戦

どうも、ヌマサンです!

今回も更新が遅れてしまい、申し訳ないです……!

今回でロベルティ王国とシドロフ王国の激戦も決着がつきます!

はたして、どのように戦いが決着するのか……!

それでは、第33話「シドロフ王国軍との激戦」をお楽しみください!

 昼を過ぎて2時間が経っても、ロベルティ王国軍とシドロフ王国軍の混戦模様は続いていた。シネスティア平野での激闘を今日中に制したいと思っているのは両者同じであったため、時間が経過するにつれて戦いは激しさを増していく。


「姉さん、僕も前線に出るよ。千ほど兵を借りていくよ」


 そう言い残し、クライヴは千余りの歩兵を率いて最前線のアマリア隊の援軍に向かった。


 開戦から今まで、アマリア自身の奮戦もあり、2千の兵で3千以上の敵と互角以上の戦いをしているが、後方からシドロフ王ビクトル自ら2千5百を率いて加勢に来たことで均衡が崩れ出したためだ。


 そして、クライヴは去り際にローラン・ハワードとノーマン・ハワードに何かを言い含めていたが、クライヴがアマリア隊へ無事に加勢した頃、2人は進言した。


 ナターシャもクライヴから何か策を授けられているだろうことは察していた。よって、話を聞き終えるなり、それぞれに兵1千を与えて出発させた。こうして本陣に残る兵はわずか5百のみ。


「ユリア、あそこにいるのがシドロフ王ビクトルのようですね」


「……そうみたい。国王の旗も翻っているし」


「それにしても、国王自ら最前線に出てくるなんて……」


「そのせいで敵の士気は上がっていますし、敵目線では良い効果になっているようです。とはいえ、こちらからすれば悪い効果なのですが」


 ナターシャは少し高所に位置する本陣から敵の動きを眺めつつ、ユリアやクレアと話をしていた。場所が場所だけに、シドロフ王国軍の動きがよく見える。無論、味方の動きもだ。


 そして、3人が談義している頃、左右に分かれたローラン隊、ノーマン隊がシドロフ王ビクトル率いる本隊の側面に回り込んでいた。


「よぅし、弓隊!矢を構えろ!」


 敵の左側面に回り込んだローラン隊。大将のローランは敵の動きを見定め、矢を放たせた。突然、側面から矢を射かけられたことで、敵の陣形が少し乱れる。しかし、すぐに陣形を組みなおし、持ち直してしまう。


 それを見計らってか、今度は右側に回り込んでいたノーマン隊から次々と矢が射かけられる。こうして代わる代わる左右から射かけられる矢に、兵士たちは恐怖を覚え始める。


 馬上で采配を振るう鎧姿の男も焦っているが、それは兵士たちが浮足立ち始めたからに他ならない。そうして、対応が後手後手になっているシドロフ王国軍の様子を見たローランは次の命令を下す。


「槍隊、前へ!」


 横何列にも並ぶ槍隊はローランの指示で、穂先を揃えて突撃を開始。ローラン自らも先頭をきって敵に斬り込み、それと同時にノーマン隊も反対方向から突撃していく。


 こうして左右からの突撃を受け、もはや前方の支援どころの騒ぎではなくなったシドロフ王国軍の本隊。瞬く間に崩れ出し、逃亡兵が相次ぐ。そんな中、将軍アルベルトは馬を走らせる。先鋒として戦うアルセンへ、このことを伝えるためである。


 しかし、アルベルトが斧槍ハルバードを引っ提げて駆けまわっていると、目の前に長槍を振るう若武者の姿が目に入った。その振るう槍技は鮮やかで、群がる兵士を次々に討ち取っていく。


 馬を寄せてきた者の槍を払い、空いた胴にズブリと槍を突き立て、引き抜くなり左から走ってくる歩兵の両目を穂先で突く。手際の良さからして名のある武将であることは間違いない。


「名のある将軍とお見受けするが、貴殿は何者なるか!」


「……僕はクライヴ・ランドレス。此度の平定軍の参謀を務めている者だ!そなたは?」


「自分はシドロフ王国の将軍、アルベルト!槍合わせ願おう!」


 斧槍を前へ突き出すアルベルト。獲物を見つけた猛獣のような笑みを浮かべていたが、ここに来るまでの敵に手ごたえがなかったがゆえだろう。それに、クライヴとしても受けざるを得なかった。


 ここで背を向けて逃げてしまえば、自分たちロベルティ王国軍の国威を落とすばかりでなく、なにより姉のナターシャの、『漆黒の戦姫』の名に泥を塗る行為に等しい。


「お受けしましょう!」


 コクリと頷き、馬上で槍を構え直すクライヴ。ここに一騎打ちは成立し、次の瞬間には乱戦の中、馬を寄せての勝負が始まったのだった。


「アルベルト兄さん、一騎打ちを始めちゃったか……。かといって、私には的中突破して伝令に行くのは無理だし……」


 アルベルトの妹であり、国王ビクトルの側に残っていたクロエは自分にできることを模索し、乱れた部隊の指揮を行なうことにした。


 しかし、クロエのような新参者であり、女性指揮官の意見を聞く兵士は少なく、あまり意味を成さなかった。そうしている間に、接近してきたノーマンと一騎打ちとなり、あっさり生け捕られてしまった。


 一方、アマリアとクライヴの部隊は前進し、アルセン率いる敵勢を押し始めた。アルセンは後方に下がり、国王ビクトルとの合流をしようと試みていた。さりとて、四方は敵ばかり。


 ロベルティ王国兵を討ち取りながら戻っていたところ、本陣へ突進してくるローラン隊にぶつかり、左肩と右大腿部に手傷を負った。そうして手負いのところをローラン本人と鉢合わせてしまい、100合ほど槍と大剣をぶつけた後に、馬から叩き落とされ、捕虜となってしまうのだった。


「ナターシャ様。あそこで敵軍の指揮を執っている者を倒して来てもいいでしょうか?」


「ええ、彼が指揮をしている周囲は一糸乱れぬ奮戦ぶりですから、ぜひとも倒す必要があります」


「と言いますと……?」


「行って来てください」


「……っ!はい!行ってきます!」


 嬉しそうに顔を明るく輝かせるクレアは魔槍グラヴィエと愛馬を手繰り寄せ、単騎で乱軍の中へと駆けこんでいった。


「ユリア、ここらで狩りでもしましょうか」


「……狩り?」


 ナターシャは黒色の弓と矢を手にしており、馬上から敵軍の誰かを狙っていた。ユリアは矢の先を見た後、誰を狙っているかはすぐに分かった。


 ナターシャから矢が離れていくと、クライヴから200メートル後方で剣を振るって奮戦していた王子カイルの馬の頭部を射抜いた。その手際の見事さに、本陣にいた兵たちは称賛の声をあげ、ナターシャを褒めたたえた。


「どうです?ユリア。これ以上の獲物が仕留められますか?」


 ナターシャからの挑戦に弓の使い手として、ユリアは奮い立った。なんとしても、ナターシャより大物を仕留めて見せると意気込み、本陣から敵勢を眺める。


「……見つけた」


 ユリアはそれだけ呟くと、矢を番える。さらには、光魔紋の力まで使い始める。そんなユリアの様子を見て、ナターシャは一体誰を狙っているのか、見当もつかなかった。


 なにより、紋章の力を使ってそして、次の瞬間。ユリアの矢は合戦中で入り乱れる軍勢の頭上を抜け、撤退せんとしていたシドロフ王ビクトルの胸部を突き抜けた。


 胸元にポッカリ空いた穴から溢れる自らの血。それがビクトルの見た最後の後景であった。


 シドロフ王ビクトルは落馬し、主を失った馬だけが撤退に成功。さらに、周りにいた兵たちも国王が撃たれたのを間近に見たことで、四方八方へ逃げ去っていく。


 そうして文字通りの総崩れとなったシドロフ王国軍は半数近い2千5百もの兵が戦死し、残る3千のうち2千は捕虜となり、1千は逃亡。


 戦の結果は言うまでもなく、ロベルティ王国軍の勝利であった。こうしてシネスティア平野の戦いは決着し、ナターシャたちは戦後処理に追われることとなるのであった。

第33話「シドロフ王国軍との激戦」はいかがでしたでしょうか?

今回はシドロフ王国の国王であるビクトルがユリアの狙撃で死亡したりと、シドロフ王国の敗北が決定的になってました。

そして、シネスティア平野の戦いはロベルティ王国の勝利となったわけですが、3国平定戦はどのような結末を迎えるのか、楽しみにしていてもらえればと思います!

――次回「三国に勝利す」

更新は3日後、10/27(木)の9時になりますので、また読みに来てもらえると嬉しいです!

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