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第130話 歴史は繰り返す

どうも、ヌマサンです!

今回はガレスがソフィアを刺した直後から始まります!

はたして、玉座で起きた事変がどうなってしまうのか、注目していただければと思います……!

それでは、第130話「歴史は繰り返す」をお楽しみください!

 玉座から転がり落ちるソフィア。彼女が身に纏うのは血で赤く染められたライトブルーのドレス。


 そして、玉座から転がり落ちていく彼女に刃を突き立てたのは他でもない、ソフィアの叔父・ガレスであった。


「俺は絶対に王国などに屈しはしない!父、そして兄が築いた帝国を、こんな運よく成りあがっただけの北の小国ふぜいに――」


 ――渡してなるものか。このルノアース大陸を統一するのはフレーベル帝国を置いて他になし。


 ガレスの口はそんな想いを紡ごうとした。しかし、その言葉が口から出ることはなかった。


「ぐっ……!カルロッタ、貴様……ッ!」


「いかなる理由であれ、皇帝に刃を向けた者は死罪だ。誰もやらないのなら、私がやる」


「俺は皇帝の一族だぞ!貴様のような親の七光りのクソアマ如きに殺されてたまるかッ!」


 ソフィアを刺し貫いた血染めの剣に、白い光が纏われる。マルグリットをも唸らせた膂力でもって、カルロッタの首を斬り飛ばさんとする。だが、横薙ぎの一閃でカルロッタの首が宙を舞うことはなかった。


「チッ、鋼魔紋か……!」


「そんな反逆者の一撃など、私の紋章の前では無力です……よッ!」


 瞬時に槍を引き抜き、間合いを取ったかと思えば、次の瞬間にはガレスの喉を彼女の槍――魔槍アヴェルスが貫いていた。


 絶命したガレスの遺体はそのままに、カルロッタほか、その場にいた者たちは全員、ソフィアの命を救うべく、行動を開始。傷口を清潔な布で抑え、止血処置などを講じている間に大急ぎで医者を呼び、その場で治療を行わせた。


 その甲斐あって、ソフィア・フレーベルは辛くも一命を取り留めた。


「ソフィア様、申し訳ありません。私が付いていながら」


「カルロッタ、気にすることはないわ。ガレス叔父があんなことをするなんて、誰も想定できなかったわよ」


「お心遣いありがとうございます。ですが、私の落ち度であることは紛れもない事実。何かしらの形で責任を取らせていただきます」


 真面目で責任感の強いカルロッタを説得するのにソフィアも手間取ったが、結局は皇帝からの命令で「気にしないこと」と言われて、ようやくカルロッタも引き下がったのだった。


「アーロン殿も色々と協力していただき、感謝します」


「いえいえ。目の前で血を流して倒れられたら、放ってはおけません。もう、敵同士というわけでもないのですから」


「その言葉を聞けて安心しました。一度、陣営に戻ってこちらからの返答を伝えてもらえるかしら?」


「承知しました。何かあればご一報を。では、お大事になさってください」


 ソフィアが一命を取りとめたことに安堵しつつ、アーロンは帝都フランユレール郊外の本陣へと帰還。フレーベル帝国が降伏勧告に応じたことはもちろん、ガレスが及んだ凶行についても一部始終を告げた。


「そう。ソフィア様は無事だったのね。安堵したわ」


「ああ、オレの見るところでは、カルロッタは納得はしていないが、皇帝の命令に反する行為は絶対にしないだろう」


「つまり、ソフィアを繋ぎとめている限りはカルロッタが反乱を起こすことはないってことだね」


 安堵するマリアナ。その前で口調が普段通りになるアーロンと、涼し気な顔をしているレティシアがいた。


 何より、レティシアはソフィアの心を繋ぎとめていれば問題は起こらないと踏んだが、物事とはそう簡単にいかないことはレティシアも分かっているつもりだ。


「マリアナ様、一つよろしいでしょうか?」


「ナターシャ、どうかしたの?」


「はい。ヴィクター・エリオットのことです」


 ナターシャの心配は南でヴァルダロス王国と交戦中のヴィクター・エリオットのことであった。カルロッタは押さえられたとしても、この状況を聞いてヴィクターがどう動いてくるか、まだ読めない。


「ヴィクター・エリオット。帝国最強と謳われる武将ね。確かに、厄介だわ」


「はい。さらに、ヴァルダロス王国とも交戦中という点が非常に厄介です」


 ナターシャが厄介と言ったのにはワケがある。現在はヴァルダロス王国とはフレーベル帝国が交戦している。


 だが、そのフレーベル帝国はロベルティ王国へと降伏。それを聞いて、はいそうですかとヴァルダロス王国との交戦状態が収まるかと言われれば、その可能性は限りなく低い。


「となれば、帝国の降伏を受け入れた私たちロベルティ王国軍が、責任を持って鎮める必要がある、ということですか」


「そうなりますが、どのみちルノアース大陸を統一するためはヴァルダロス王国とクウォーク王国を従えるのみ。ですから、このまま武力介入すれば良いのではないかと」


 一度、ここで兵を退く手もあるが、ここまで大軍で遠征してきた以上、再度遠征することも厳しい。


 今回の遠征ですら、財政を圧迫している以上、そう何度も大軍勢で遠征することは不可能である。そうなれば、一気に統一を目指すべき、というナターシャの意見にマリアナも大いに賛成であった。


「でも、まずはヴィクター・エリオットへ使者を送るべきだよ。それで、従うなら攻める必要はないし、むしろ連合してヴァルダロス王国とクウォーク王国へ攻め入るだけだし」


 レティシアの言うとおり、いきなり攻め込むのでは無益な争いが生じる。それを避けるためにも、まずは使者を送り込もうと話しているところへ、急使が駆け込んできた。


「申し上げます!クウォーク王国より参った者らがマリアナ様へお目通りしたいと申しております」


「通して頂戴。もちろん、武器を隠し持っていないか、確認したうえで」


「ハッ、そのように致します!」


 クウォーク王国からの来訪者。一体、何者かと思えば、女性2名、男性1名の計3名。砂漠の国といわれるクウォーク王国からやって来た者たちの服装は、実に涼し気であった。


 しかし、何分にも生地が薄く、女性二人の服装はその場にいる男性たちが直視するのを避けるほど。だが、その場にいるのはアーロンと護衛の騎士たちを除けば、女性のみ。


「遠いところ、よくお越しくださいました。クウォーク王国から参られたとのことですが……」


「お初にお目にかかります。私はミランダ・クウォーク、クウォーク王国の女王でございます」


 クウォーク王国の女王と聞き、周囲がざわつく。それも無理はない、同盟関係でもない国の女王が丸腰で目の前にいるのだ。戸惑ってしまうのも無理はなかった。


「誰か、お三方に椅子を」


 マリアナの指示で、速やかに高級感のある革製の椅子が出された。さすがに、女王一行を地面に跪いた状態のまま、というわけにはいかないからだ。ミランダたちは革製の椅子を初めて見るのか、物珍しそうに眺めながら腰掛けた。


「マリアナ様、ご紹介が遅れましたが、私の右に控える者は妹のシモーヌ、左に控えるは愚息ロナルドです」


 ミランダに同行してきた男女は護衛などではなく、女王の妹と息子。王族3名が打ち揃い、丸腰で会いに来たことには驚いたが、マリアナにもレティシアにも、要件はおおよそ見当がついていた。


「マリアナ様。我々、クウォーク王国は貴国に従属します。現在の領土を安堵して頂き、民の暮らしも守っていただけるのでしたら、国内で混乱も起きない……いえ、起こさせません。ですから、何卒――」


「分かったわ。クウォーク王国の領土は安堵、民の暮らしもこれまで通りとします。ただし、ロベルティ王国クウォーク領と名前を変え、隣国であるヴァルダロス王国への侵攻に協力することが条件です」


 レティシアが意見を申し上げるまでもなく、マリアナはどうするべきかを判断し、実行。このマリアナからの条件を全面的に呑む形で、クウォーク王国は名を改めてロベルティ王国に従うこととなった。

第130話「歴史は繰り返す」はいかがでしたでしょうか?

今回はフレーベル帝国に続き、クウォーク王国もロベルティ王国に従う形に。

つまり、ルノアース大陸統一で残された問題は、ヴィクター・エリオットの動きと、ヴァルダロス王国の2つ。

ここからのナターシャたちの戦いがどうなるのか、楽しみにしていてもらえればと思います……!

次回も3日後、9/16(土)の9時に更新しますので、また読みに来てもらえると嬉しいです!

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