表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/143

剣術の稽古

 私は、アルーグお兄様とウルスドお兄様の剣術の稽古を見学することにした。

 二人は、いつも裏庭で稽古を行っているらしい。人目のないこの場所は、二人にとっては都合がいい場所だそうだ。


「踏み込みが甘い!」

「うわあっ!」


 アルーグお兄様の指導は、本当に厳しかった。ウルスドお兄様の攻撃を軽く受け流し、容赦なく反撃しているのだ。

 それに対して、ウルスドお兄様は膝をつく。どうやら、その一撃がかなり効いているようだ。


「……どうした? その程度か?」

「くっ……」


 アルーグお兄様は、そんな彼に対して剣を向けた。

 あれは訓練用の剣であるらしい。だが、それでも叩かれたら相当痛いだろう。あれで痛めつけられるのは、勘弁してもらいたいものだ。

 恐らく、ウルスドお兄様だってそう思っているだろう。だからこそ、中々立ち上がれないのではないだろうか。


「ウルスドお兄様、頑張ってください!」

「ルネリア……」


 私は、そんなウルスドお兄様を応援した。

 私の応援にどこまで効果があるかはわからない。それでも、この声が彼を奮い立たせてくれると信じて声を出すことしか、私にできることはないのだ。


「……妹の前で、みっともない所は見せられないだろう?」

「ああ……」


 ウルスドお兄様は、立ち上がってくれた。

 その目は、今までとは違う。何か決意のようなものが宿っている。


「うおおっ!」

「ほう……」


 ウルスドお兄様は、再びアルーグお兄様に向かって行った。

 だが、その剣は呆気なく受け止められる。やはり、技量に関してはかなりの差があるようだ。


「……いい気迫だ。その意気で来い」

「……もちろん、そのつもりだ」


 二人の剣が、激しく交じり合う。それは、私の目では追いきれない動きだ。


「おらあっ!」

「ふんっ……」


 ウルスドお兄様の必死の攻撃を、アルーグお兄様は全て受け止めている。それがわかって、私はあることに気がついた。

 それは先程から、アルーグお兄様が攻撃していないことだ。彼は防御に徹している。それはまるで、何かを待っているかのようだ。


「くっ……!」

「ここまでか?」

「うわああっ!」


 ウルスドお兄様の攻撃が緩まった刹那、アルーグお兄様の攻撃が始まった。

 その一撃を受け止めきれず、ウルスドお兄様は膝をついてしまう。かなり気迫に溢れていたが、結局彼の攻撃は届かなかったのである。

 そんなウルスドお兄様に、アルーグお兄様は剣の切っ先を向けた。だが、その表情は先程と比べて明るい。どうやら、今回の攻撃は彼にとってある程度評価できることだったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ