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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

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剣を持った二人

 イルフェアお姉様の部屋を後にしてから、私は廊下を歩いていた。すると、前方からアルーグお兄様とウルスドお兄様がこちらに歩いてきているのを発見する。

 別に、二人が一緒に歩いていることは何もおかしいことではない。ただ、私は二人が持っているものが少し気になった。二人は、剣を携帯しているのだ。


「アルーグお兄様、ウルスドお兄様、こんにちは」

「おっと……ルネリアか」


 私が声をかけると、ウルスドお兄様が驚いたような声をあげた。どうやら、私が来ていたことに気づいていなかったようだ。

 それは、おかしな話である。私が二人を認識していたのだから、二人も私のことは目に入っていたはずだ。


「ウルスドお兄様、どうかされたんですか?」

「いや、別に、どうかしたという訳ではないんだが……」

「ウルスド、お前は誤魔化せる程器用ではないようだな……」

「あ、兄上?」

「見ての通り、こいつは今緊張しているのだ」

「緊張? まあ、確かにそんな感じですね……」


 私の疑問に答えてくれたのは、アルーグお兄様だった。

 緊張している。それは一体、どういうことなのだろうか。


「どういうことか、聞いてもいいですか?」

「……今から、剣術の稽古なんだよ」

「剣術の稽古……ああ、だから、二人とも剣を持っているんですね」

「ああ、まあ、これは稽古用のものなんだが……」


 ウルスドお兄様の答えに、私は二人が剣を持っている理由を理解した。

 剣術の稽古なのだから、それを持っているのは当たり前だ。

 その剣術の稽古に、ウルスドお兄様は緊張している。そういうことなのだろう。


「剣術ですか……確かに、それは怖いかもしれませんね」

「いや、その……別に俺も剣術の全般が苦手という訳ではないんだが」

「そうなんですか?」

「えっと……言いにくいんだが、兄上の稽古は厳しいんだ」

「ああ、なるほど……」


 私の疑問に対して、ウルスドお兄様は少し気まずそうにしながら答えてくれた。

 アルーグお兄様の稽古が厳しいというのは、なんとなく理解できる。基本的に、彼は自分にも他人にも厳しい人だからだ。

 特に、アルーグお兄様はウルスドお兄様には厳しい。それは恐らく、弟として期待しているからなのだとは思うが、ウルスドお兄様からすればそれはたまったものではないのだろう。


「……もしよかったら、稽古を見学してもいいですか?」

「え? 見学?」

「はい、少し興味があるんです」


 そこで私は、そのようなことを頼むことにした。

 その理由は色々ある。言葉通り単純に興味があったこともそうだが、ウルスドお兄様を応援できると思ったのだ。


「まあ、別に俺は構わないが……兄上、いいよな?」

「ああ」

「ありがとうございます」


 私の頼みを、二人は受け入れてくれた。

 こうして、私はアルーグお兄様とウルスドお兄様の稽古を見学することにしたのだった。

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