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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

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口にするのは(イルフェア視点)

「……前提として、私はキルクス様のことが好きよ」

「そうなんですね……」


 とりあえず、私は前提を話すことにした。

 私は、キルクス様のことが好き。それを言葉にするのは、意外にも恥ずかしいことだった。

 それは、今までも心の中では思っていたことだ。だが、考えてみれば、こうやって言葉にする機会というものは少なかったように思える。

 そう考えると、ルネリアの悩みも少し理解できてきた。確かに、好意というものは難しいものかもしれない。


「彼のことが好き……えっと、そうね。例えば、ルネリアはサガード様に抱きしめられたいと思うかしら?」

「え?」

「……私は、キルクス様に抱きしめられたいと、そう思うのだけれど、ルネリアはどうなのかしら?」


 私は、まずそんな質問をしてみることにした。

 質問をしながら、私は自分の体が熱を帯びていることを自覚していた。

 妹達の前で、私は何を言っているのだろうか。口にしてから、自分の言っていることがどんどんと恥ずかしくなってきたのだ。


「そうね……言い方を変えましょうか。ルネリアは、サガード様に抱きしめられても大丈夫だと思う? 嫌だと思ったりしない?」

「それは……しないと思います」

「そう、そうなのね……」


 ルネリアが悩んでいたので、私は少し質問の仕方を変えてみた。

 どうやら、彼女はサガード様に抱きしめられても問題ないらしい。その答えだけでも、好意を抱いているといえなくはないだろう。

 だが、まだぎりぎり親しい友人の範疇という可能性もある。抱きしめてもらいたいならともかく、嫌ではないというだけなら、確証とはいえないだろう。


「私は、キルクス様の傍にいると安心するというか……なんていえばいいかはわからないけれど、心地いいと思えるのよね。ルネリアは、サガード様といてそんな気分になったりしない?」

「えっと……サガードといて、楽しいとは思います」

「楽しい、か……そうね。まあ、私もキルクス様といて楽しいとは思っているけれど……」


 私は、ルネリアに新たに質問してみた。

 だが、これはあまり有効な質問ではなかったような気がする。

 一緒にいて楽しい。それは、友人でも恋人でもそういえるだろう。

 正確には差があるはずだが、それは言葉にすると同じことだ。その差異を口にできる程、ルネリアはまだ自分の気持ちがわかっていないのだから、答えは出ないだろう。


「……中々、難しいものね?」

「そ、そうですね……」


 私とルネリアは、悩んでいた。

 好意を持っているかどうか。その結論を出すというのは、結構難しいようだ。

 何か明確なものはないか。私は、それを考えるのだった。

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