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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

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兄妹談義(イルフェア視点)

「ふぅ……」


 オルティナとルネリアに引っ張られて部屋に入っていくエルーズを見ながら、私はゆっくりとため息をついた。

 どうやら、今回の事件は二人が解決してくれたようだ。とりあえず、これで一安心である。


「……まあ、丸く収まって良かったと思う反面、本当に大丈夫なのかと思わなくもないな」

「あら? そう?」

「いや、エルーズは兄貴とはいえ、男な訳だし、妹と一緒に寝るというのは、なんというか変じゃないか?」

「まあ、エルーズの年を考えると普通ではないかもしれないわね。でも、あの子は今までそんな普通を体験してこなかった訳だし……」

「まあ、そうかもしれないが……」


 隣のウルスド的には、兄が妹と一緒に寝るのは微妙なことらしい。

 別に、そう思うのもそれ程おかしいことではないだろう。実際問題、この話を他の貴族なんかに話していいかといわれると、微妙な所だ。

 兄と妹の仲が良いなんて、思ってくれる方が少ないだろう。あることないこと言われるのは、容易に想像できる。


「そう思うなら、ウルスドがエルーズを誘っても良かったんじゃない?」

「いや、男同士で一緒に寝るというのも、なんだか変な話だろう?」

「そうかしら? お兄様はどう思う?」

「俺に話を振るな」


 男同士の同衾というのは、どうなのだろうか。そう思った私に対して、ウルスドもアルーグお兄様もあまりいい反応はしなかった。

 別に、私はオルティナやルネリアと一緒に寝るのに抵抗はない。むしろ、朝のことがなければ、ルネリアの部屋を訪ねてみようかと思っていたくらいだ。

 だが、男兄弟では、そういう訳にはいかないようである。微笑ましくて、いいと思うのだが。


「……でも、ウルスドなんかは、昔お兄様にべったりだったわよね?」

「え?」

「お兄様は覚えているでしょう? ウルスドがいつも後ろを追いかけていて、私は少し嫉妬していたことをよく覚えているわよ」

「ふん……」


 私の思い出話に、お兄様はため息をついた。それは、多分覚えているからこそ出たため息だろう。

 ウルスドは、アルーグお兄様に良く懐いていた。お兄様を取られて寂しい、弟が懐いてくれなくて寂しい。二つの意味で、私もよく嫉妬していたものである。


「その代わり、お前はオルティナに懐かれていただろう?」

「それは、そうだけど……でも、そういう問題ではないでしょう?」


 ウルスド以外の下の子達は、彼とは少し違っていた。

 エルーズはどちらにも平等な感じで、オルティナは私の方によく懐いていたのである。

 でも、私としてはウルスドにだってそんな風に接してもらいたかった。他の子に慕われていたとしても、それは変わらないのだ。


「欲張りな奴だ」

「でも、お兄様もそうだったんじゃないの?」

「それは、どうだかな……」

「やっぱり、お兄様は素直じゃないのね?」


 基本的に、アルーグお兄様はあまり素直ではない。本当は、皆のことが大好きなのに、それを表に出そうとしないのだ。

 そんな風な会話をしながら、私達は笑い合うのだった。

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