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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第五章 過去編

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打ち明けた時

 私は、サガードに自分の事情を話していた。

 私が公爵家の隠し子であるということ、最近公爵家に来たこと。全て包み隠さず話したのである。


「……そうだったのか」


 私の話を聞いて、サガードはゆっくりとそう呟いた。

 その絞り出すような声に、私は少し心配になってくる。これで、彼の態度が変わってしまうのではないかと。

 もちろん、サガードがいい人であることはわかっている。だが、それでも怖いのだ。


「……色々と大変だったんだな?」

「え?」


 そんな私にサガードは、そう言ってきた。

 その意味が、私にはすぐにわからなかった。彼は、何に対してそう言っているのだろうか。


「だって、そうだろう……母上を亡くして、公爵家に来て、大変だっただろう。俺は、そんなこと何も知らずにお前と接していた……それが、なんというか、情けなくてさ」

「情けない? どうして?」

「……俺は、お前の苦しみも立場も何も理解していなかった。何も知らずにへらへらしているだけだった。それがなんか、嫌なんだよ……」

「……そうなんだ」


 サガードは、真剣な顔をしていた。その身を震わせながら、必死に私にその思いを打ち明けてくれた。

 それは、言葉にならないものだったのかもしれない。だが、私には理解できる。彼の心が、伝わってきたのだ。


「ありがとう、サガード……サガードは、優しいね」

「そんなことはないさ……俺は……」

「ううん、優しいよ。だって、私は今、こんなにも嬉しいんだもん」

「そ、そうか……」

「うん、そうだよ」


 サガードは、優しい。私は、それを改めて実感していた。

 打ち明けられて、本当によかった。勇気をくれたリオネクスさんにも、感謝しなければならないだろう。


「リオネクスさん、ありがとうございます。あなたのおかげで、私はサガードに打ち明けることができました」

「いえ、私は何もしていませんよ」


 私のお礼に、リオネクスさんはゆっくりと首を振った。

 彼も、どこまでも優しい人である。そんな優しい人だから、お母さんはきっと。

 そこまで考えて、私は自分の考えを振り払う。それは、私の推測でしかないからだ。本当の所は、私にも未だにわかっていないことなのである。


「えっと……それで、先生はルネリアの母上の知り合いということなのか?」

「ええ、そういうことになりますね」

「……なんというか、すごい偶然だな」

「そうですね。私も、運命というものは色々と数奇だと思っていますよ」


 サガードの言葉に、リオネクスさんはゆっくりと笑みを浮かべた。

 確かに、私がリオネクスさんと知り合いで、そんな彼がサガードの家庭教師というのは、不思議な偶然である。

 そんなことを思いながら、私も笑みを浮かべるのだった。

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