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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第五章 過去編

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疑問を感じて(とあるメイド視点)

 彼が、どうしてここにやって来たのか。それを私は知りたいと思う。


「どういうことですか?」

「まず前提として話しておきましょう。あなた達のことは、私しか知らない。父上も母上も、あなたが今ここにいて娘とともに暮らしているとは知りません」

「……そうですか」


 アルーグ様の言葉に、私は少し驚いた。てっきり、これはラーデイン公爵家が主導していると思っていたが、そういう訳ではないようだ。

 彼は、気まぐれと言っていた。その言葉の通りなのだろう。今回のこれは、彼が独断でしていることなのである。


「八年前のあの日、私はあなたがやめたことに違和感を覚えていました。あなたは、一身上の都合でやめたと辞表に示していました。確かに、男爵家には問題があったようですが、その連絡をあなたがいつ受け取ったか、そこに私は疑問を感じたのです」

「違和感ですか……」

「父上の様子も変でした。あなたがいなくなってから、父は少し挙動不審だった。それにあれから酒も飲まなくなった。それも合わせて、私はあの時のことを記憶の片隅に留めていたのです」


 アルーグ様は、賢い人だ。当時はまだ彼も十歳くらいだったはずなのに、そこまで考えていたなんて、驚きである。


「それから数年経って、私はそのことについて調べてみようと思いました。私も、自分の手足として動かせる人員もできたのでね……それで、あなた達のことを知ったのです」

「そういうことだったのですね……」


 アルーグ様は、大人になったことで、自分の疑問を調べることにしたようだ。

 その結果、私が見つかりそれを監視していた。それが、彼がここにいる事情なのだろう。

 しかし、どうして彼が自らここに来たのだろうか。それこそ、部下にでも監視させていればいいのではないだろうか。


「……私があなたのことを調べようと思ったのは、万が一のことがあり得たからです。そして、実際にそれは起こっていた……」

「ルネリアのことですか?」

「ええ、彼女の存在は私にとって悩むべきものです。公爵家の血を引く者……それがどういう意味か、あなたもわかるでしょう?」

「それは……」


 私は、アルーグ様の言葉に怯んでいた。

 公爵家の血を引く。その意味はもちろんわかっている。

 ということは、やはり彼はルネリアを迎えに来たのだろうか。だが、それなら父にも母にも言っていないということと辻褄が合わない。

 私は、ゆっくりと息を呑む。アルーグ様が何を考えているかわからない。しかし、ただ一つだけわかることは、私はルネリアを守らなければならないということだ。

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