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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第三章 ウルスド編

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それらしい態度

 サガード様がラーデイン公爵家を訪ねて来たと聞いて、お母様やお兄様はとても驚いていた。流石に、王子様が来ると二人も動揺するらしい。

 しかし、イルフェアお姉様はまったく驚いていなかった。それはきっと、王城でのやり取りを知っているからなのだろう。

 そんな家族の反応を見てから、私は客室にやって来た。ここで、サガード様とお茶ということになったのである。


「やっぱり、突然来るべきじゃなかったよな……今度は、絶対に連絡するからさ」

「ええ、そうしてくれると助かります」


 サガード様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。

 流石に、お母様やお兄様を何度も焦らせたくはない。今度からは、事前に連絡をしてもらった方がいいだろう。


「でも、思い立ったからといって、よくここまで来ましたね。それなりに時間がかかるというのに……」

「うん? ああ、それは丁度、この辺りに用事があったからで……」

「用事? 何かあったのですか?」

「ああ、そうなんだ」


 どうやら、サガード様はわざわざ私に会いに来たという訳ではないようだ。

 考えてみれば、それは当然である。いくら友達がいなかったからといって、私に会うためだけにここまで来るはずはない。


「この辺りで、配給があったんだ」

「配給ですか? どうして、サガード様がそこに?」

「俺の家庭教師の先生が、今後のために行った方がいいと言って来たんだ。初めはどういう意味かよくわからなかったけど、実際にその光景を見て、先生がどういう意図だったかは、なんとなくわかったよ」

「そうですか……」


 サガード様の言葉に、私は少し考える。その話が、どこかで聞いたことがあるものだったからだ。

 確か、クレーナさんはウルスドお兄様に配給の様子を見てもらうと言っていた。平民のことを彼にも学んでもらいたい。そんな考えがあるそうだ。

 その思想は、サガード様の家庭教師と似ている。まさか、クレーナさんもその人から学んだのだろうか。

 家庭教師が言っているのだから、そういうこともあるのかもしれない。もっとも、単に偶然であるという可能性も捨てきれないが。


「それで、ラーデイン公爵家の近くだったからさ。少し寄ってみようかと思ったんだ。ほら、あれから特に何もなかっただろう?」

「ええ、そうですね……」

「……あのさ。なんというか、固くないか?」

「え?」

「その……王子だからといって、気は遣わないでくれないか? ほら、俺達は、友達なんだし……」


 そこで、サガード様はそんな指摘をしてきた。

 確かに、考えてみれば、少し固いかもしれない。ずっと敬語だし、距離感も感じるだろう。

 私は、彼と友達であると割り切った。しかし、これでは駄目だろう。もっと、友達らしい接し方があるはずだ。


「うん、わかった。それじゃあ、これでいいかな?」

「……ああ、そういう感じだ」


 私が少し態度を変えると、サガード様は笑顔を見せてきた。

 こうして、私はサガード様との接し方を変えることになったのだった。

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