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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

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とある考え(エルーズ視点)

 僕は、公爵家の別荘で過ごしていた。

 別荘は、とても心地いい場所にある。空気も綺麗なので、僕は庭に出て風にあたっている。


「ふぅ……」


 ゆっくりと伸びをしながら、僕はこれからのことを考えていた。

 お父様とお兄様は、何か話をしている。それは、僕にはあまり聞かせたくないことであるらしい。

 その内容は、正直さっぱりわからないが、今の状況があまりよくないということはわかっている。

 お父様は、明らかに憔悴していた。あれは、一体どういうことなのだろうか。それが、僕は気になっているのだ。


「もちろん、色々なことがあった訳だし、精神的に参っていると理解できない訳ではないけど……」


 お父様は、かつての過ちによって、この別荘で暮らすことになった。

 それは、仕方ないことである。事実として、お父様はお母様を裏切ってしまったのだから。

 ただ、本人として、それが辛いことであるのは当たり前だ。そのため、疲労していてもおかしいことではない。

 だが、今のお父様は流石に顔色が悪すぎるだろう。いくら落ち込んでいるからといって、あそこまでなるものなのだろうか。


「僕のように、体が弱いという訳でもなかったよね……」


 お父様は、別に健康だったはずだ。

 それなのに、あそこまでなっているというのは、どうにも違和感がある。

 その理由がわかれば、何かできることがあるかもしれない。そう思って、僕は思考を働かせる。


「……そういえば、昔の僕はあんな感じだったのかな?」


 そこで僕は、ふと気になった。

 もしかしたら、昔の僕はあんな感じだったのではないかと。

 あの頃の僕は、生きる希望というものを持てていなかったような気がする。

 どうせこんな体からと諦めて、前を見ていなかった。絶望して、何事にもやる気を出せていなかった気がする。


「そんな僕は、ルネリアのおかげで前を向けるようになった……彼女の涙を見て、僕は決意したんだ。元気になって、生き抜いてみせると」


 ルネリアの涙は、今でも記憶に刻みついている。

 妹を泣かせるなんて、兄としては情けないことだ。あんな涙は、二度と見たくない。

 だから、僕は元気になりたいのである。健康になって、ルネリアや皆を安心させたい。それが、今の目標であり、生きる希望なのである。


「もしかして、お父様は生きる希望がなくなっているのかな……」


 そこまで考えて、僕はとある可能性に思い至った。

 いや、それは誤りかもしれない。僕はそれを頭の片隅に置きつつ、考えないようにしていたのだ。

 だけど、考えていく内に、その可能性が高いことを悟ってしまった。一度そう思ってしまったら、もう止まることはできない。

 こうして、僕は自らが何をするべきなのかを理解するのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 難しい展開ですが、主人公にとっては父親で、このあとに泣いたり笑ったりがあると思います。なんとか主人公が笑って父親に飛び込める展開になってほしいものです。
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