表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第二章 イルフェア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/143

特別な存在(イルフェア視点)

 あれは、良く晴れた日のことだった。遠くにある小さな村から、一人の少女が家にやって来たのだ。

 その少女の名前は、ルネリア。私の腹違いの妹である。


「……特別か」


 鏡の前で、私はゆっくりと呟いていた。

 先日、私はルネリアにつけられた。なんでも、貴族の立ち振る舞いを学びたかったらしい。

 後で兄弟達のこともつけていため、それが本当かどうかは怪しい所だ。

 ただ、その辺りのことはアルーグお兄様が大丈夫だと言っていた。ということは、特に問題はないだろう。


「そんなに特別なのかしらね……」


 問題は、私がルネリアに言われた言葉の方だった。

 特別、私は彼女からそう言われたのである。

 それは、普通に考えればいいことなのかもしれない。ただ、それは私にとって、呪いのようなものなのだ。


『イルフェア様は、本当にお綺麗ですね……所作の一つ一つが華やかで……』

『ええ、本当に……私、イルフェア様のようになりたいと思っていますわ』


 私は、子供の頃からそんなことを言われてきた。

 こういうことを自分で言いたくはないが、私は憧れの存在だったのだ。

 貴族の女の子達が、こうなりたいと思う規範。それが、私なのである。


「貴族らしいとか、よくわからないのだけれどね……」


 それは、恵まれていることなのかもしれない。でも、私はそういわれる度に思うのだ。なんというか、距離を感じると。

 私は、特別な存在であるようだ。そんな存在に、人は近寄りたいとは思わない。恐れ多いとか、そういう理由で。


「別に、そんなに怖くなんてないのに……」


 私には、人が近寄って来ない。近寄るべきではないと認識されているため、親しくしてくれる人はいないのだ。

 そんな私にとって、家族というものはとても大切なものである。なぜなら、皆は私のことを特別扱いしないからだ。


「でも……」


 ただ、最近できた新しい家族は、私のことをそういう存在だと認識しているのかもしれない。

 別に、今まではそんな兆候はなかった。でも、先日の会話で、もしかしたらそうなんじゃないかと思ってしまったのだ。


「はあ……」


 ルネリアは、私のことを特別な存在だと思っているのだろうか。そうだとしたら、結構辛い。

 最初からそれがわかっていたなら、こんなにも辛くはなかったのだろう。親しくできるとわかってから、それが判明するというのは、思っていた以上に辛いものであるらしい。


「特別か……あら?」


 そこで、私は窓の外を見てみた。すると、見知った顔がいる。

 妹のオルティナが、庭の木の上に登っていたのだ。

 ルネリアは、彼女にはよく懐いている気がする。私も、あんな風になれたら、特別だと思われなくなるのだろうか。


「……って、止めないとまずいじゃない」


 そこまで考えて、私はオルティナを止めることにした。よく考えてみると、とても危ないことをしていたからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ