表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

119/143

口を滑らせて

「そういえば、そもそも話だけど……サガードは、一体何に疲れていたの?」

「うん? ああ、そのことか……」


 サガードは、私の隣で目を擦っていた。

 寝起きであるため、まだ少しぼんやりとしているのだろう。その表情は、少し眠そうだ。


「父上や兄上と色々と話したんだ。これからのこととか、色々と……」

「これからのこと?」

「ああ、俺の婚約のことさ……色々とややこしくなるから、どうするかはしっかりと話しておかなければならない。キルクス兄上にそう言われたんだよ」

「婚約……?」


 サガードの言葉に、私は少し混乱していた。

 まず混乱したのは、婚約という言葉だ。そういうことが、サガードにもある。その事実はわかっていたはずなのだが、それでも怯んでしまったのだ。

 さらに、彼の言っていることがよくわからないのも、混乱の原因である。色々とややこしくなるとは、どういうことなのだろうか。


「……あ、いや、その、別になんでもないんだ」

「なんでもない?」


 そこで、サガードは目を見開いて首を横に振った。

 先程までとは違い、その表情からは眠気が感じ取れない。どうやら、ここに来て完全に目を覚ましたようである。


「今言ったことは、忘れてくれ。これは、まだ秘密のことなんだ……」

「秘密……サガード、誰かと婚約するの?」

「いや、まだ決まった訳じゃない。あ、違う。なんでもない」


 サガードは、私の質問に反射的に答えてしまったようだ。まずいと思っているのが、その表情から伝わってくる。

 しかし、彼の婚約というのは、私にとっても気になることだ。それが、友人としてなのかどうかは、自分でもわからないが。


「寝ぼけているんだな……余計なことばかり、言ってしまう」

「ねえ、サガード、ここまで言ったんだから、もういいんじゃない?」

「え?」

「そんな風に言われると、こっちも気になるよ。話してくれないかな?」

「いや、それは……」


 私は、サガードから話を聞き出そうとしていた。

 それは、彼にとって困ることだということはわかっている。だが、それでも知りたいのだ。

 私は、その好奇心を抑えられない。いつもなら、引き下がる所だが、今回はそういう訳にはいかないのである。


「誰と婚約する予定なの?」

「さ、流石にそれは言えない。言ったら、大変なことになる」

「大丈夫、誰にも言わないから。サガードは、私のことが信用できないの?」

「そういう問題じゃないんだ。ルネリアに言うのが、そもそも駄目なんだよ」

「私に言うのが駄目? どうして?」

「どうして? それは、その……王族としての都合というか、なんというか……」


 サガードは、頑なに打ち明けてくれなかった。

 その様子に、私は少し違和感を覚える。

 何かがおかしいような気がするのだ。この感覚は一体、なんなのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ