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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

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貴族の結婚式(アルーグ視点)

「俺達貴族の結婚式というものは、お前のいた村に比べると、形式的なものだといえるかもしれないな」

「形式的なもの?」

「ああ、多くの者達に、この二人が結婚したという事実を示す場、とでもいうべきだろうか」


 俺は、ゆっくりとルネリアにそう語った。

 貴族の結婚式、それは楽しいものとはいえないだろう。少なくとも、ルネリアが体験したものと比べれば、つまらないものだ。


「関係する貴族達から、中身のない祝いの言葉を受け取るための場だ。楽しいものではないだろう」

「そ、そうなんですね……」


 俺も貴族の結婚式というものには、何度か参加したことがある。

 しかし、そのどれもがいい思い出とは言い難い。あまり進んで開催したいものではないのだ。


「アルーグ様、もう少し言い方というものがあるのでは?」

「取り繕っても仕方ないことだ。事実を伝えるべきだろう」

「でも、それは……」

「ルネリアは聡い子だ。嘘偽りも、すぐに見抜かれるはずだ」


 カーティアは、俺を諫めるようなことを言ってきた。

 だが、ルネリア相手に取り繕うのは無駄なことだ。

 彼女は、まだ幼いが鋭い所がある。少なくとも、俺が本心で言っているかどうかくらいは、見抜くことができるだろう。


「それでも、もう少し遠回しに説明した方がいいのではないでしょうか? 流石に、直接的なものといいますが……」

「えっと……カーティアさん、大丈夫です。確かに少しびっくりしましたが、本当のことを伝えてもらえて良かったです」

「ルネリアちゃん……」


 カーティアの言っていることは、俺も理解できない訳ではない。彼女にショックを与えないためには、もう少し誤魔化すべきだっただろう。

 しかし、俺はそれを問題の先送りにしかならないと思っている。いずれ、ルネリアは俺達の結婚式に参加する。いきなりそこに参加するよりも、事前にこのような情報を与えておく方がいいだろう。

 そうすれば、ある程度の覚悟が決められる。何も聞かされていない状態で結婚式に臨むよりも、そちらの方がいいはずだ。


「ルネリア、もう一つ言っておくことがある」

「は、はい……なんですか?」

「俺達の結婚式は、明るいものにはならないだろう。その理由は色々とある……あまり言いたくないが、父やお前のことで、他の貴族達はこのラーデイン公爵家を侮っている」

「それは……」


 俺の言葉に、ルネリアは悲しそうな表情になった。それは、そうだろう。今俺が語っているのは、彼女にとっては厳しいことだ。

 だが、これも伝えておかなければならないことである。


「もちろん、俺や他の家族達はお前のことを全力で守るつもりだ。しかし、それでもある程度の覚悟を決めておけ」

「……はい」


 ルネリアは、真剣な目で俺の言葉に頷いてくれた。

 恐らく、これなら大丈夫だろう。その目を見て、俺はそんなことを思うのだった。

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