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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

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わかりやすい表情(アルーグ視点)

 俺は、かつてルネリアと出会った時のことを思い出していた。

 思えば、あの時からお互いに随分と変わったものだ。特に、ルネリアは明るくなったといえるだろう。


「……あ、アルーグお兄様!」

「おや……」


 そこで、俺の存在にルネリアが気づいた。

 彼女は、俺に笑顔を向けてくれている。あの出会い方から、こうなるとは思ってもいなかったことだ。

 俺は、ゆっくりとルネリアとカーティアのいる花壇の前まで歩いていく。そんな俺に対して、カーティアは楽しそうな笑みを浮かべているような気がする。


「アルーグ様、どうもこんにちは」

「こんにちはではない。お前は、何をやっているんだ?」

「屋敷に来たから、ルネリアちゃんの姿が見えたものですから、つい話しかけてしまったのです。アルーグ様こそ、どうされたのですか?」

「お前が遅いから、様子を見に来たんだ」

「そうですか……」


 カーティアは、俺の言葉に嬉しそうにしている。顔は相変わらず無表情だが、俺にはそれがわかった。

 表情が見えるようになったからわかったことだが、カーティアは意外とわかりやすい反応をする。


「カーティアさん、嬉しそうですね?」

「うん、アルーグ様が、私のことを思ってくれているのは、素直に嬉しいよ」

「む……」


 そんなカーティアの反応をルネリアはしっかりと見抜いていた。それに、俺は少し驚いてしまう。


「アルーグお兄様? どうかされましたか?」

「いや……ルネリア、お前はカーティアの表情が読めるのか?」

「表情が読める?」

「カーティアの感情がわかるのかと聞いているのだ。あまり言いたくはないが、彼女には表情がないだろう?」

「ああ……」


 俺の言葉に対して、ルネリアは納得したように頷いた。恐らく、質問の意図が読めたのだろう。

 その意図が読めなかったということは、ルネリアにとってカーティアの感情が読めるのは、当たり前のことなのかもしれない。


「わかりますよ。カーティアさんは、確かに無表情ですけど……なんというか、わかりやすいというか」

「わかりやすいか……確かに、そうかもしれないな」

「え? 私って、そんなにわかりやすいんですか?」


 ルネリアにとっても、カーティアはわかりやすいようだ。

 不思議なものである。表情はまったくないというのに、どうして俺達にとって、彼女の感情はこんなにもわかりやすいのだろうか。


「ちなみに、今は喜んでいますよね?」

「ああ、そのようだな……」

「うっ……二人の前では、隠し事ができなさそうですね」


 俺達は、笑い合っていた。カーティアは表面上無表情だったが、その笑みも俺達にはわかるのだった。

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