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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

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本当の名前

「あなたのお母様は、男爵家の令嬢だったのです」

「男爵家の令嬢……」

「ええ、貴族のお嬢様だったのです」


 私は、驚いていた。お母さんが貴族だったなんて、今まで思ってもいなかったことだからである。

 ただ、理解できない訳ではない。なぜなら、お母さんが公爵家の当主と何故出会ったのかということが、それなら解決するはずだからだ。


「お嬢様は、ラーデイン公爵家の使用人として働いていました」

「なるほど、そういうことだったのですね……」

「ええ……」


 ゼペックさんの言葉に、私は納得した。

 お母さんは、このラーデイン公爵家の使用人だったのである。

 今まで、父と母の関係を私は知らなかった。しかし、私はそれを今知ることができたのだ。


「このラーデイン公爵家でのお嬢様のことを私はよく知りません。ただ、アフィーリア様から優秀な使用人だったと聞いています」

「そうだったんですね……」


 よく考えてみれば、お母様は私の母のことを知っていたということになる。

 もしかしたら、お母様はお母さんと仲が良かったのかもしれない。彼女の今までの態度から、私はそんなことを思った。

 もちろん、自分の夫が浮気した相手なのだから、ただ単に許しているという訳ではないだろう。それでも、早くに亡くなったお母さんに対する同情心のようなものが、お母様の中にはあったのかもしれない。


「しかし、ある時男爵家には不幸が起こったのです。お嬢様のお父様……つまり、あなたの祖父にあたる旦那様が、借金を作り……その結果、男爵家は没落してしまったのです」

「没落……」


 ゼペックさんは、悲しそうな顔でそう言ってきた。

 貴族が没落する。それは一大事だ。

 だが、彼の表情は、それだけを表している訳ではないような気がする。恐らく、もっと不幸があったのだろう。


「借金取りから身を隠すために、あなたのお母様は名前を変えて、あなたが生まれた村に行ったそうです。諸事情により、私はその所在を知りませんでしたが……」

「だから、母はあの村に……」


 お母さんが、どうしてあの村にいたのか。その理由は、ゼペックさんの説明で理解できた。

 どうやら、母もかなり壮絶な人生を送っていたようだ。


「私は、長い間お嬢様がどうなったか心配していました……ただ、彼女の所在はまったく掴めず、十年程の月日が経ってしまったのです。しかし、つい先日親戚のダルギスと会った時、知ったのです。あなたのことを……」

「ああ……」


 ゼペックさんの言葉に、私は理解した。

 庭師のダルギスさんとは、仲良くさせてもらっている。そんな私のことを親戚に話すというのは、自然な流れだろう。

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