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公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。  作者: 木山楽斗
第七章 日常編

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さらなる見学者

「先程の気迫は、中々のものだったぞ」

「……それでも、兄上には遠く及ばないようだな?」

「あまり舐めてもらっては困る」

「そうだよな……」


 アルーグお兄様は、剣を鞘に収めてウルスドお兄様に手を伸ばした。

 その手をゆっくりと取りながら、ウルスドお兄様は立ち上がる。その顔は、悔しそうだが晴れやかだ。


「ルネリア、ありがとうな。お前の声援のおかげで、なんとか自分を奮い立たせられたぜ」

「そうですか? それなら、良かったです」


 そんなウルスドお兄様は、私に声をかけてくれた。

 どうやら、私の声援には効果があったようだ。それなら、何よりである。


「まあ、俺も流石に妹の前でみっともない姿は見せられないからな……」

「ふん、その心意気を普段から見せられれば、もっと良かったのだがな……」

「うっ……」


 ウルスドお兄様の言葉に、アルーグお兄様は笑みを浮かべながら、そんなことを言った。

 確かに、先程のような気迫を普段から見せることができていれば、もっと良かったのは事実である。

 だが、誰かの声援というものが力になるというのも、また事実であるだろう。

 ウルスドお兄様は、そういう声援を力に変えられる人なのだ。それでやる気を出せるのだから、私は充分すごいと思う。


「……失礼してもいいかな?」

「え?」

「うん?」

「むっ……」


 そんなことを考えていると、声が聞こえてきた。

 それは、エルーズお兄様の声である。そう思って声が聞こえてきた方向を向くと、確かに彼がいた。


「エルーズお兄様? どうかされたのですか?」

「皆が裏庭に行くのを見て、どうしたのかと思って……」

「ああ、そういうことか……実はさ、兄上に剣の稽古をつけてもらっていたんだ」

「私は、その見学です」

「そうだったんだ……」


 どうやら、エルーズお兄様は私達が裏庭に行くのを見ていたようだ。

 それで気になって、見に来たということだろう。それなら、大体私と同じである。


「よかったら、お前も見学していくか?」

「え? いいの?」

「ああ、ウルスド、構わないな?」

「ま、まあ、別にいいが……なんというか、益々みっともない所が見せられなくなったな」

「それなら、僕も見学させてもらおうかな……」


 エルーズお兄様も、この稽古を見学するようだ。

 それに、ウルスドお兄様はプレッシャーを感じている。だが、そのプレッシャーをきっと彼は力に変えてくれるだろう。


「ふっ……みっともない所を見せられないのは、俺も同じなんだがな」

「兄上? そうなのか?」

「さてな……」


 そんなウルスドお兄様に、アルーグお兄様はそんな言葉を呟いた。

 どうやら、彼も私達の目があることによって多少は緊張しているようだ。

 それをまったく見せないのは、流石アルーグお兄様といった所だろうか。

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